Groqは12月24日(米国時間)、同社の推論技術についてNVIDIAと非独占的ライセンス契約を締結したと発表した。契約は、高性能かつ低コストの推論へのアクセス拡大に向けた両社の共通の取り組みを反映している。

契約の概要

契約の一環として、Groqの創業者のJonathan Ros(ジョナサン・ロス)氏、社長のSunny Madra(サニー・マドラ)氏、そしてGroqチームの他のメンバーがNVIDIAに加わり、ライセンス技術の進化とスケール拡大を支援する。

Groqは引き続き独立した企業として事業を継続し、今回の契約に伴いSimon Edwards(サイモン・エドワーズ)氏がCEOに就任し、クラウドサービスの「GroqCloud」は中断することなく運営を継続するという。

AI推論処理に特化したチップとソフトウェアを開発するGroq

Groqは2016年に米国で設立された半導体企業で、AI推論処理に特化したチップとソフトウェアを開発。最大の特徴は、従来のGPUやTPUとは異なる「TSP(Tensor Streaming Processor)」アーキテクチャを採用し、超高速かつ低レイテンシでAI推論を実現する点にある。

これにより、生成AIやLLM(大規模言語モデル)の推論を効率化し、クラウドやエッジ環境でのAI利用を加速させている。同社はGroqCloudを通じて、開発者や企業が容易にAI推論を利用できる環境を提供しており、近年では金融、医療、製造など幅広い業界で採用が進んでいる。

また、オープンな協業姿勢を示しており、今回のNVIDIAとの非独占的ライセンス契約はその一環となる。これにより、Groqの推論技術がNVIDIAのエコシステムに統合され、グローバル規模でのAI推論の高速化が期待されている。米IBMも10月に開催したT開発者・技術者向けの年次イベント「TechXchange 2025」でGroqとの提携を発表している。

業界評価も高く、同社は“AI推論のゲームチェンジャー”として注目されており、特に生成AIの急速な普及に伴い、低コスト・高性能な推論基盤の需要増加を背景に存在感を強めている。競合がGPU中心の戦略を取る中、独自アーキテクチャで差別化を図り、AIインフラ市場における重要なプレイヤーとして急成長を遂げている。
編集部おすすめ