大規模なリフォーム・リノベーションを実施する際は、マンションの管理規約を入念にチェックしましょう。遮音規定、給排水管の扱い、専有部分と共用部分の境界の確認などを怠ると失敗します。
そこで、マンション規約でよくある定めや、規約に反しないリフォーム・リノベーションを行うポイントを解説します。

マンションリフォームにおける管理規約の重要性

マンションの管理規約とは、住民が安全・快適に過ごせるよう、基本的なルールを定めたものです。リフォーム・リノベーションに関しても、具体的な手続き・注意事項・制限が記載されています。

以下のような違反をすると、ペナルティが課せられる恐れがあります。

○許可なしでのリフォーム

たとえば賃貸物件で賃貸人が勝手にリフォームした場合、無断工事になります。また、管理規約で禁止されている内容の工事を行った場合は管理規約違反です。

工事が完了しない段階では、中止命令を受けるリスクがあり、完了した後は管理側から原状回復命令を受ける恐れがあります。原状回復のために余計な工事費用がかかり、時間もお金も消耗することになります。

原状回復命令に従わない場合は、契約の解除の理由になります。
○共用部分の無断での改造

廊下やエントランスなどの共用部分は、専用部分ではないため住民は通常リフォームをする権利はありません。勝手にリフォームしてしまった場合、住民とのトラブルになり、損害賠償を請求される恐れがあります。
○工事時間のルール違反

マンションの管理規約には、リフォームをする場合の工事時間なども定められています。
指定時間外に工事をした場合、騒音などで管理組合に通報され、時間を守るように警告を受ける恐れがあります。
管理規約を意識したリフォーム計画の策定のポイント

規約に違反しないようにリフォーム・リノベーションを行うためのポイントは以下のとおりです。
○専用部分の把握

まず専用部分と共用部分の違いを把握しましょう。専用部分は所有者が自由に使用・改修できる範囲です。

共用部分は全住民の共有財産であり、エントランスや廊下、外壁などです。共用部分を個人の判断で改修することはできません。

居室内に関しても、窓やドアは共用部分に該当します。玄関ドアや窓ガラスを交換するのは難しいでしょう。ベランダやバルコニーも非常時の避難経路となるため、共用部分として扱われます。
○間取りに関する規定

リフォームやリノベーションで、間取り変更を希望する方は多くいます。しかしマンションによっては間取りの変更が不可能な場合もあります。

たとえば建物を支えるのに重要な壁については撤去できず、間取り変更が難しいといったケースです。

○床材に関する規定

マンション管理規約には、床材の種類・遮音等級に関する制限が記載されているケースが多いです。管理規約で定められた遮音等級を満たさないと、住民と騒音トラブルになる恐れがあります。
○水まわりに関する制限

水まわり設備の位置を変更する場合、配管の変更が必要です。しかしマンションでは配管位置などに制限があるため、自由に変えられないケースが多く見られます。

管理規約で水まわり設備の移動自体を禁じている場合もあるため、事前にしっかり確認しましょう。
○工事時間などの規定

住民との騒音トラブルを防ぐため、工事時間などの制限が定められている場合があります。多くのケースでは午前9時から午後17時となっており、早朝や夜間の公示は禁止されています。

リフォーム工事を始める1週間前には、事前に近隣の住民へ挨拶・通知を行うことが望ましいです。
○管理組合に相談する

管理規約をひととおり確認したとしても、見落としているポイントがあるかもしれません。念のため、リフォーム・リノベーションをする前に、管理組合に相談することをおすすめします。

安藤真一郎 あんどうしんいちろう マーケティング会社に勤務した後、フリーランスのライターに転身。 多種多様なジャンルの記事を執筆するなかで、金融リテラシーを高めることや情報発信の重要性に気づき、現在はマネー系ジャンルを中心に執筆している。
ライターとして、知識のない人でも理解しやすいよう、かみくだいた文章にすることが信条。 ファイナンシャルプランニング技能士2級、日商簿記検定2級取得。 この著者の記事一覧はこちら
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