新年、初詣の列であなたは何を願っただろう。「お金持ちになれますように」「年収が上がりますように」「よい銘柄に出会えますように」――。


だが、成功者ほど正月に“お願い”をしない。信仰心の問題ではなく、人生の主導権を「運」に渡さないというルールがあるからだ。

また、彼らにとって正月は、願い事をする時間ではない。まず手元と頭の中を整え、1年をどう動かすかを静かに決める、言うなれば“作戦タイム”なのである。

今回フィーチャーするのは、28歳で1.5億円を築き、現在は総資産10億円に至った投資家・武藤孝幸氏。早稲田実業野球部(春の甲子園ベスト8)から早稲田大学、三井住友信託銀行を経て独立し、今は株式会社VisionCreator代表としてマネーリテラシー教育を手がける。

成功者は正月に何を捨て、何を整えるのか。武藤氏に話を伺った。
神社は“お願い”より“お礼”をする場所

苦しい時ほど、人は神にすがり、運に頼りたくなる。だが、自分ではコントロールできない「運」に人生の主導権を委ねて、一体何が変わるというのか。武藤氏は、自身の半生を振り返りながら、世にはびこる「お願い文化」を一刀両断する。

「私が多くの成功者やお金持ちの方々から学んだ鉄則。
それは『神社はお願い事をする場所ではなく、お礼を言いに行く場所だ』ということです。『お金持ちになれますように』なんて、虫のよいことは言いません。『今年も家族が健康で過ごせました、ありがとうございます』と、現状の感謝を伝えに行く。これは信仰心というより、自分の人生に対する覚悟の問題だと思います」(武藤氏)

自分の人生は自分で責任を取る。その当たり前の前提に立てば、神にねだる言葉など出てこないはずだ。

「そもそも、自分の力でどうにかしようと腹を括っていない人間が、神頼みをしたところで運は巡ってきません。私自身、中学野球で理不尽にクビを切られたり、銀行員という安定を捨てて荒野に出たりしましたが、その時々に『誰かが助けてくれる』なんて期待は1ミリもありませんでした。『お願い』をしているうちは、思考が停止しています。運命を切り開くのは神様じゃなく、自分自身がどう動くか。その『自責の念』を持てるかどうかが、勝負の分かれ目になると思います」(武藤氏)

財布を開くたび、背筋が伸びる仕掛けを作ろう

精神論だけではない。彼らは「物理的な儀式」も徹底し、自身のマインドを戦闘モードに切り替えている。それは単なる験担ぎではなく、お金という「武器」に対する敬意の表明だ。


例えば、「財布」。武藤氏にとってそれは単なる道具ではなく、自身のスタンスを映し出す鏡のような存在だという。

「私はお財布を『お金のお家』だと定義しています。自分たちがゴミ屋敷に住みたくないのと同じで、お金だって居心地の悪い場所にはいたくないでしょう。レシートでパンパンなんて論外です。実は、私の銀行残高が10万円の時代(貧乏人時代)に一冊の書籍に出会い、財布との向き合い方が変わりました。その書籍には『お金持ちになりたければ、長財布に財布の金額と同じ金額もしくはそれ以上の金額を入れよう。可能であれば、ピン札で。』と書かれていたので、貯金を全て引き下ろし、ピン札に変えて財布に入れました。その時、心の底から『お財布とお金を大切にしよう』と思うことができたのです。大学生の頃はお尻のポケットに財布を入れて、そのまま座っていたこともあり、本当に失礼なことをしていたなと反省しました」

「それ以降も、お金持ちの方から『いい財布を使ったほうがいいぞ、どんどん財布のグレードを上げていけば、それに見合った収入になるぞ』とアドバイスをいただきました。財布の金額を上げたからといって、自動的にお金が増えることはありませんが、“よい財布に見合った人になろう”という努力をし始めるようになりました」

「また、財布は一生ものだと思って、若い時から少し背伸びをしてよいものを購入し、長く使おうと思いました。
私は『ベルルッティ』や『エルメス』といったブランド物を使用しておりますが、ブランドの好みは人それぞれだと思いますので、ご自身が好きなものを選んだほうがよいと思います」

「少し生々しい話になりますが、私は最近、エルメスの『べアン(クロコダイル)』という財布を150万円弱で購入しました。その財布にはピン札で100万円がちょうど入る設計になっているのですが、帯つきの100万円をそのまま入れています。財布の値段以下の金額しか入らない設計になっていますが、ここら辺はよしとしております(笑)」(武藤氏)

150万円の財布に、帯付きの100万円。そこには武藤氏の「戦略的な自己投資」の意味が込められている。

「もちろん、普段の買い物でその束を使うわけではありません。ただ、財布を開けるたびに帯付きの100万円が目に入ると、背筋が伸びるんですよ。『お前は今、この金額に見合う仕事をしているのか? 』と、常に自分に問いかけられる感覚になります。学生時代、借金してでも400万円を自己投資に回したときもそうでしたが、お金を単なる交換ツールとしてではなく、自分の未来を切り開くための『相棒』として扱う。その緊張感を保つための儀式みたいなものですね」(武藤氏)
新年にやるべきは、“価値観”の整理

では、これから資産形成の道を歩もうとする私たちは、まず何に手をつければいいのか。 武藤氏の答えは、小手先のテクニックにはない。彼が提案するのは、成功者の思考回路そのものをインストールする、いわば“根っこ”の強化だ。

「お金持ちになりたいと思っている方は、『お金持ちの生き方を真似する』ことが大切だと思います。
私の人生のブレイクスルーは『周りの5人をお金持ちにしろ』というワークです。そのワークでアクションを起こした結果、自分が関わる人たちが変わりました。お金持ちになりたいかどうかは人それぞれの価値観ですので、なりたい人は努力をすればよい。ただ一つ言えるのは『お金持ちの常識と一般人の常識は異なる』ということです」

「例えば、投資で財をなしたお金持ちは『投資をしないとお金持ちになれなかった』というでしょう。その一方で、『投資はギャンブルだから危ない』という一般人もいるでしょう。この記事を読まれている方の中で、すでに投資をされている方は、投資をしていない人との会話より、投資をしている人との会話のほうが楽しかったり盛り上がったりするでしょう。いつも出社している会社では投資の話をまったくしない(もしくはできない)が、投資コミュニティやSNSでは活発に交流をしている人もいるでしょう」

「あなたの今の価値観を形成しているのは、間違いなく『過去の選択と決断で得られた結果』です。もし今のまま未来に進んでいったとしても、お金持ちになる未来が見えない場合は、周りのかかわっている人を変えるのが手っ取り早いと思います。その時に、常識が違うことによる違和感はあるかもしれませんが、それは『成長痛』だと思ってください」(武藤氏)

そして武藤氏は、資産形成をする上で「適切な努力を継続する必要性」についてこう語る。その言葉には、地に足のついた、これまで努力を継続してきた人間特有の実感がこもっていた。

「多くの人は、社会人になってから勉強をやめてしまいます。受験の時は必死に勉強してきたにも関わらず、社会に出た途端、勉強をやめてしまいます。
投資もそうです。楽して稼ごうと思って、勉強も努力もせず人にお金を預けてしまったり、高利回りを保証する怪しい案件に、調査する時間をほとんどかけず大金を投じてしまいます。適切な努力を、継続できた人が資産形成で成功すると私は思っています。私はいい大学を出て、いい会社に就職すれば人生は幸せであるという教育を両親から学びました。大学卒業までかなりの時間とお金をかけて就職することができ、その結果、毎月給料がもらえていました。しかし投資となると、そこまでの時間やお金をかけず、そして努力もせず、楽をしてお金が増えると勘違いしている人もいます。当たり前のことを言っているかもしれませんが、わかるとできるは全くの別物です。資産形成する上で、腰を据えて勉強する姿勢を持つところがスタートラインです」(武藤氏)

最後に武藤は、「もし今、現状にモヤモヤしているなら、他人に期待したり神頼みしたりするのは一旦やめて、まずは自分の根っこを太くすることから始めてみてほしいです」と読者にエールを送った。

「新年、まずは自分の足元にある『根っこ』を見つめ直してみてはどうでしょうか。願う内容は自由ですが、願ったところで、お金は天から降ってきません。あくまで自分の努力に見合った金額が結果的に得られると思ってください。上記に示した通り、財布の中身を整えることは、誰だってできることだと思います。
財布を大切に使い、財布の中身を整理することも誰でもできます。そして投資の勉強を始めることもできるでしょう。今では、無料のコンテンツも充実しています。その小さな一歩が、将来の大きな資産形成につながります。新年からよいスタートが切れるよう、ぜひ素敵な一歩目を歩み始めてください」(武藤氏)

西脇章太 にしわきしょうた 1992年生まれ。三重県出身。県内の大学を卒業後、証券会社に入社し、営業・FPとして従事。現在はフリーライターの傍ら、YouTubeにてゲーム系のチャンネルを複数運営。専門分野は、金融、不動産、ゲームなど。公式noteはこちら この著者の記事一覧はこちら
編集部おすすめ