キヤノンマーケティングジャパングループのキヤノンビズアテンダ(キヤノンBA)は12月25日、イツモスマイルデジタルソリューションズ(イツモDS)とともに、徳島県海陽町の宍喰(ししくい)地区(那佐、竹ケ島を除く)で、利用者が乗降地点を指定できる仕組みを導入し、柔軟な移動を可能にする公共ライドシェアサービスの実証運行を2026年1月5日から開始すると発表した。高齢化や公共交通の縮小といった地域課題への対応として、実証運行による住民の移動における利便性向上と、持続可能な交通サービスの実現を目指す。


実証運行の背景

近年、人口減少に伴う交通網の縮小・廃止により、駅やバス停が遠く、日常の移動が困難な交通空白が拡大しており、海陽町でもバスやタクシーが主要な公共交通機関として利用されている。

しかし、地域の過疎化に伴う利用者減少でバスの運行便数が縮小し、日常の移動に影響が出ていることから、利用者の移動ニーズと合致した柔軟な交通サービスの確保が喫緊の課題となっている。

こうした課題に対し、キヤノンBAはイツモDSとともに、海陽町の宍喰地区で公共ライドシェアサービスの実証運行を開始する。

実証運行の概要

同サービスは同町の公用車を使用し、利用者が乗車地点から目的地までを自由に設定して移動ができるサービスとなる。車両の予約は、海陽町の地域アプリである「ふるるんアプリ」で24時間予約を受け付けるとともに、スマートフォン操作が不慣れな町民向けに電話でも予約を可能にする。乗降場所や時間に縛られず柔軟に移動できることで、利用者の移動ニーズに合った利便性の高い公共ライドシェアサービスを実現するという。

今回、キヤノンBAは海陽町における新たな公共交通の設計・構築のために、交通空白地域に住む町民や高齢者が集う地域拠点でのヒアリング・調査、地域交通をテーマとしたワークショップの支援、調査結果の分析による町民の要望を把握した。

また、実証運行では、車両の電話予約と問い合わせ対応をキヤノンBAのコールセンターで行う。BPOサービスの業務効率化のノウハウを活用し、海陽町職員の電話予約受付や問い合わせ対応業務の業務削減に貢献し、創出された人手や時間は他業務への再配分や町民サービスの質的向上へと活用されることが期待されているという。

今後、海陽町は公共ライドシェアサービスを宍喰地区だけでなく、海陽町の全エリアでの展開を予定。また、将来的には公共ライドシェアサービスに加え、自家用車・一般ドライバーを活用して運行を行う日本版ライドシェアや、電動車両を活用した自動運転の検討により、町民や旅行者の移動ニーズに対応した新たな公共交通の実現を目指す。

キヤノンBAはイツモDSと資本業務提携契約を締結しており、イツモDSと海陽町の公共交通DXの推進を支援すると同時に、サービスを全国の自治体に展開していくことで、交通空白や地域交通における課題の改善を支援し、地域社会全体の持続的な発展に寄与する考えだ。
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