●『水ダウ』の検証から着想「キラキラした目で…」
「DOWNTOWN+」の見どころを紹介する大みそかの特番で話題のBSよしもと。そんな同局の年末では、芸人たちが夢の“冠番組”を懸けてプレゼン対決するという賞レース特番『THE CROWN BATTLE ~企画力で冠番組を掴み取れ~』(29日14:30~)にも注目だ。
出場ラインナップは、野澤輸出『野澤輸出の通り過ぎないで!東中野』、吉川きっちょむ『それゆけ!漫画教室』、マリーマリーえびちゃん『えびちゃんの人生最高のたかり酒』、ドンココ『お笑い国際サミット』、LLR福田恵悟『LLR福田の、そういうの全部数学ね。』、ヨネダ2000『ヨネダ2000の2000の寝坊対策』、田津原理音『田津原理音の令和の工作王に俺はなる!』の7本。どれも芸人たちの個性が注ぎ込まれた企画案が並んだ。
優勝した企画は実際にBSよしもとで放送され、その反響次第ではレギュラー化の可能性も秘めているというが、なぜ、芸人たちは多忙な合間を縫ってこのプレゼンに懸けたのか。その熱量の舞台裏を、編成の肥後篤人氏(BSよしもと)、演出の杉浦啓太氏(KAMPAI)、構成作家のもりあゆみ氏に聞いた――。
○BSよしもとが求めるど真ん中の企画
この番組で自身の企画が初めて通ったもり氏は「BSよしもとだからこその芸人さんが主役の番組でありながらも、面白いだけではない別の一面を見せるものにしたい」と着想。そこでヒントになったのが、『水曜日のダウンタウン』(TBS)で放送された「『冠番組』ということで喜んで受けたオファーが『世界の冠を紹介する』という番組のパネラーだったら?」という検証だった。
「かまいたちさんや、ぺこぱさんといった売れっ子の方たちが、“(自分たちの冠番組なら)こんなゲスト呼びたいよね”や“こんなことがやりたいよね”と、すごくキラキラした目で話しているのを見て、この冠番組への情熱をそのまま見せる番組にできないかなと思ったんです」(もり氏)
これまで、よしもとクリエイティブアカデミー(YCA)に通う構成作家の卵に企画募集をしてきた肥後氏は「今年6月末の募集でものすごくたくさん企画を出してくれたのが、もりさんたちのグループでした。どの企画も精度が高かったので、どれかは絶対にやりたいと思って、打ち合わせをさせていただきました」と振り返る。
その中で光っていたのが、もり氏による今回の企画。「うちはおそらくすべてのテレビ局の中で一番制作予算が低いので、いかにアイデアで勝負できるか。そして、BSらしいニッチなテーマで、かつ演者さんの熱量がしっかり乗ってくるという内容が、BSよしもとが求めるど真ん中でした」(肥後氏)と、番組化が決まった。
演出の杉浦氏が受けた第一印象は「まず、ありがたい企画だと思いました」。その真意を「制作側としては、どんどん新しいものを作っていかなければいけない中で、この企画は芸人さんたちと一緒に新たな企画を自動的に作れるシステムだと思ったんです」と明かし、「これを賞レースという形にすることで、BSよしもとに上手くハマると思いました」と画が見えたそうだ。
○ゼロイチの企画会議を20個超行う手間ひま
『アメトーーク!』(テレビ朝日)でも、定期的に「芸人持ち込み企画プレゼン大会」が放送されるが、これは「◯◯芸人」というフォーマットが存在する上でアイデアを持ち寄る形式。それに対して今回の番組は、ゼロイチで企画を作り上げるというハードルの高さがある。
そこで行ったのが、エントリーした芸人たちからのアイデアを受け止めつつ、彼らの強みを探っていく作業。コアな芸人候補を含む20組以上とリモートで打ち合わせし、趣味やハマっていることを聞いていくことで、熱量あふれる企画の種を見つけていった。
ここから収録に参加する7組を選抜することになる、いわば「予選会」だが、「どれも実現を考えて打ち合わせするので、ゼロイチの企画会議を20個以上やったようなものです」(肥後氏)と、手間ひまがかかった。それでも、「芸人さんたちの熱量をめちゃくちゃ感じました」(杉浦氏)ということで、制作側も熱量を持って向き合い、プレゼン資料や台本を共に作り上げていった。
●ヨネダ2000の脳内を具現化「こういうことだったのか」
芸人たちの熱量を象徴するエピソードが、ヨネダ2000の企画『ヨネダ2000の2000の寝坊対策』。寝坊対策に悩む人たちのためのライフハックを紹介するという内容だが、「正直、私たちは世界観がつかみきれなかったのですが、ご本人たちが“どうしてもこれがやりたいんです!”と一歩も引かなかったんです」(もり氏)と押し切られることに。
プレゼン用のVTRを撮るロケに同行しても「ピンときませんでした」(同)というが、収録本番にスタジオで流すと大盛り上がり。「ここで“ああ、こういうことだったのか”と、ようやく理解できたんです」(同)と、芸人の脳内が具現化される瞬間に立ち会った。
以前、月亭方正を取材した際、『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!』(日本テレビ)の企画会議で松本人志の出すアイデアが、会議中はおろか、ロケが終わってもポイントを理解できなかったものの、放送を見て初めて面白さが分かる企画が何回もあったという話をしていた。
肥後氏は「手探りで作り始めたものが、いざ形になった時にすごく魅力的になるというパターンは、まさに芸人さんが考える企画ならではだと思います。AIが出すようなそれらしい整った企画よりも、“本当に大丈夫か?”と心配になる企画のほうが出来上がってみると圧倒的な爆発力があるし、今回は芸人さん自身の“好き”や“偏り”から入った企画ばかりなので、それぞれの“らしさ“がすごく出ている。しかもその個性を“一気見”できるのが醍醐味です」と、今回の番組の見どころを解説した。
○90分番組の予定が急きょ2時間に拡大
今回の番組のもう一つの特徴が、審査員と提案者が質疑応答でディベートする「クラウンタイム」というコーナー。通常のお笑い賞レースであれば、点数を入れた後に講評が行われるが、「これはネタプレゼンではなく、番組プレゼンなので、プレゼン後のリアクションや質疑応答まで含めての審査にするべきじゃないかということで入れました」(杉浦氏)と演出した。
このディベートは、審査員だけでなく、他の出場芸人も参加してくることになり、スタジオが白熱する展開に。収録時間は、約5時間にもなった。
当初は90分番組での編成を予定していたが、「ディベートでの小ボケや細かいやり取りを泣く泣く削ることはできますが、プレゼンは段取りを追って説明しているので、切るところがないんです」(杉浦氏)ということで、急きょ2時間番組に拡大。このフレキシブルな対応も、BSよしもとならではの強みだ。
●インパルス板倉「“やっつけ”を持ってくると思ったら…」
今や多くの芸人が自分たちのYouTubeチャンネルを持ち、やりたい企画を自由に発信できる場があるにもかかわらず、今回の番組に熱量を注ぐのはなぜか。もり氏は「吉川きっちょむさんは、自分の大好きなマンガのYouTubeをやっているのですが、“テレビでお金をかけてちゃんとした番組にしたい”という思いがあって参加してくれました」と、一例を挙げる。
プレゼンという機会によって、プロの客観的な評価が得られるのも、モチベーションを上げる重要な要素。審査委員長の板倉俊之(インパルス)は「みんな“やっつけ”のものを持ってくると思ったら、ちゃんとした企画だった」と驚きながら、毎度的確な質問やコメントをぶつけ、出場芸人たちも刺激になった様子だった。
○早くも次回作に意欲「ネタは無限にある」
改めて今回の番組について、杉浦氏は「演者と制作の“エゴの塊”をプレゼンしているような番組なので、プレゼンもディベートも含めて、とにかく熱量が詰め込まれています。その熱を丸ごと飲み込める人に楽しんでいただければと思います」と紹介。
収録の手応えを感じた3人は、「ネタは無限にある番組なので、ぜひ定期特番化したいです」(肥後氏)、「今回収録に参加できなかった人の中には、スケジュールが合わなくてダメだったこともあるので、またやりたいですね」(杉浦氏)、「1回目にしてはトリッキーすぎるという企画で放送に出られない方もいたので、ぜひ次にも出てほしいです」(もり氏)と、早くも次回作に意欲を示している。

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