会社員でも年収2,000万円以上の方などは、確定申告が必須です。住宅ローン控除やふるさと納税などを活用すると、税額を大きく下げられるメリットも。
仕事が落ち着いた年末年始にこそ考えておきたい、確定申告の大切なポイントをわかりやすく解説します。2026年の確定申告期間は、2月16日(月)~3月16日(月)です。

会社員の確定申告とは?

確定申告といえば自営業者やフリーランスで働く人をイメージするかもしれません。しかし条件に当てはまると、会社員でも確定申告の対象となります。

○確定申告の対象者

以下の5つのどれかに当てはまると、会社員でも確定申告の義務が生じます。

年収が2,000万円以上
副業による所得(収入から経費を引いた利益)が年間20万円を超える
2カ所以上から給与を受け取っており、メインではない給与の収入金額と、その他の所得(副業など)の合計が20万円を超える場合
災害減免法により源泉徴収の猶予・還付を受けた
年末調整をしてもらっていない(年の途中で退職し、再就職していない場合など)

特に副業を行っている場合、副業での収入が年間20万円を超えると確定申告の対象になるため、該当する方は多いと思います。
○確定申告の手続きの流れ

確定申告書の作成には、以下の3つの方法があります。

確定申告ソフト・確定申告アプリで作成する
確定申告書作成コーナーで作成する
手書きで作成する

確定申告が初めての場合、確定申告ソフト・アプリがおすすめです。入力画面に必要な項目を入力していくだけで、申告用のデータを作成できます。

ユーザーインタフェースがわかりやすく、直感的に操作しやすいのもメリット。初めて触れる方でも操作しやすいように工夫されています(すべての確定申告ソフト・アプリがそうとは言えませんが……)。
確定申告で押さえておきたい控除制度

確定申告では各種の控除を申請することで、課税所得が減り、税金負担を軽くできます。
控除とは金額を差し引くこと。かなり大雑把に言うと、所得税の対象となる課税所得が500万円だったとして、何らかの控除を100万円できれば、課税所得は400万円となって税額が下がります。

ここからは、会社員の方にぜひ押さえておいてほしい控除の制度を紹介します。
○給与所得控除

1年間の給与収入額に応じて、一定額を控除できる制度です。収入額が多くなるほど控除額は多くなるものの、 850万1円以上になると一括で195万円であり、これが上限となります。
○住宅ローン控除

住宅ローンを組んでマイホームの購入・増改築をした場合、要件を満たすと税額控除を受けられます。

金融機関から「住宅ローンの年末残高証明書」が10月ごろに届きますので、手元に用意しましょう。また、登記事項証明書なども手続きで必要になります。

なお、住宅ローン控除は制度の見直しが行われています。中古住宅に関して、適用限度額と減税期間を新築と同様の扱いにする方向で検討されています。

中古住宅を購入する方も、より住宅ローン控除のメリットを享受しやすくなります。
○ふるさと納税(寄付金控除)

好きな自治体に寄付をすることで、寄付金控除として控除を受けられ、さらに返礼品も受け取れる制度です。
所得税や住民税が安くなり、全国の特産品がもらえることから、節税意識の高い方々から根強い人気があります。

会社員の場合は通常、「ワンストップ特例制度」を利用すれば確定申告はしなくて済みます。しかし、自分で確定申告を行う場合は特例を使えないため、申請する必要があります。自治体から送付される寄付金受領証明書を手元に用意して申請しましょう。
○医療費控除

病気・ケガの治療や入院でお金がかかっていたら、医療費控除を申請しましょう。確定申告をすることで所得税や住民税を軽減できます。

控除額は、実際に支払った合計金額から、保険金などで補填される金額を差し引き、さらに10万円を差し引いた額となります。たとえば医療費が150万円、保険金が30万円の場合、医療費控除は110万円となります。

確定申告においては、医療費控除の明細書が必要です。1年間の医療費を照明する領収書、もしくは健康保険組合から送られてくる医療費に関する通知を活用しましょう。
○特定支出控除

会社員が職務遂行のため、特定の支出をした際に認められる控除です。具体的には以下の7種類が認められています。


通勤費
旅費
転居費
研修費
資格取得費
帰宅旅費(単身赴任などの場合に自宅に帰るための旅費)
勤務必要経費(図書費・衣服日・交際費など)

ただし、会社から補填される部分は対象外です。通勤費が支給される場合、特定支出控除に含めることはできません。

安藤真一郎 あんどうしんいちろう マーケティング会社に勤務した後、フリーランスのライターに転身。 多種多様なジャンルの記事を執筆するなかで、金融リテラシーを高めることや情報発信の重要性に気づき、現在はマネー系ジャンルを中心に執筆している。 ライターとして、知識のない人でも理解しやすいよう、かみくだいた文章にすることが信条。 ファイナンシャルプランニング技能士2級、日商簿記検定2級取得。 この著者の記事一覧はこちら
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