磁気式スイッチとアナログ入力対応で、ゲーミングキーボード界隈ではすっかり定番になったWooting 60HEシリーズ。自分でも初代60HEを長く使ってきましたが、その後継モデルとなるWooting 60HE v2を購入しました。


今回はアルミボディで分割スペースキー仕様のモデルを選びました。カラーはブラックです。購入価格は合計で45,093円。本体が35,900円、送料が3,900円、関税が1,194円、税金の合計が4,099円という内訳でした。海外直販なので決して安くはありませんが、分割スペースキーと公式アルミケースが気になっていたことに加え、発売前にとあるイベントで実機に触れられたこともあり、購入を決断しました。
○随所に進化を感じるデザイン

Wooting 60HE v2は60%レイアウトのコンパクトなキーボードです。ファンクションキーや矢印キーは割り切って省かれていますが、実物を見るとまずアルミボディの質感に目が行きます。表面の処理やエッジの作りがしっかりしていて、触る前から期待値が上がってしまいますね。

エッジは意外と丸みがあり、ストラップを外してしまえば、いかにもなゲーミングデバイス感は思ったよりも控えめです。サイズは305×115×28.6mmで、重量はアルミモデルが945g。デスクに置いたときの安定感は抜群で、ゲーム中にズレることは皆無と言っていいでしょう。

内部構造もかなり凝っています。
FR4スイッチプレート、高密度ポロンフォーム、PETフィルム、シリコンブロックと、多層の吸音構造が組み込まれており、これが後述する打鍵音と打鍵感にしっかり効いています。

今回は分割スペースキー仕様を選びました。スペースキーが3つに分かれたことで、親指で押せるキーが増えています。例えばゲームなら、ジャンプは真ん中、しゃがみは左、プッシュトゥトークは右といった具合に役割を分けられます。最初は押し間違えますが、慣れるとむしろ普通のスペースキーでは物足りなくなりました。

キーキャップはダブルショットPBTで、文字が擦れて消えにくい構造。長く使う前提のキーボードとしては、ここも安心できるポイントです。

スイッチには新型のLekker Tikkenを採用しています。磁気式スイッチで、押下深度を正確に検知できるのは従来モデルと同じですが、今回はクローズドボトム構造になっています。その影響もあってか、音は低めで落ち着いており、全体的に高級感のあるフィーリングです。

○数日使って分かった使用感

すでに60HEを使っている状態で60HE v2に触ると、打鍵感の違いはかなり分かりやすいです。60HEはカチャカチャと軽快な印象でしたが、60HE v2はコトコトとした静かめの音に変わりました。
内部の吸音構造がしっかり効いていて、反響音がほとんど気になりません。

アルミボディの影響もあり、全体の安定感が一段上がっています。重量は増していますが、その分タイピング中の安心感があり、個人的には完全にプラスです。

質感についても一切不満がありません。表面処理は落ち着いていて、価格帯相応の仕上がりです。長く使うデバイスとして、お財布事情をいったん無視してアルミモデルを選んで正解だったと素直に感じます。

細かい部分ですが、ストラップマウントが着脱式になったのもポイントです。今回はストラップなしで使っていますが、左だけ、右だけ、左右両方といった選択もできます。使わない人にも配慮されているのは好印象。

○60HE+と60HE v2の位置付けについて

60HE v2と従来モデルの60HE+を比べると、立ち位置はかなりはっきりしています。60HE v2はケース構造、打鍵音、8Kポーリングレートといった部分を突き詰めた新世代モデルです。一方で60HE+は、性能と価格のバランスが取れた定番モデルと言えます。


仕様の違いをまとめると以下の通りです。

従来モデルの60HE+は1000Hz駆動ですが、競技シーンでも十分すぎる性能です。60HE v2は、そこからさらに数値上の性能も突き詰めたモデルという位置付けになります。
○Wootilityについて

Wooting 60HE v2の設定は、専用ソフトのWootilityで行います。キー割り当てやレイヤー設定、Rapid Trigger、可変アクチュエーションなど、一通りの機能はここに集約されています。ブラウザベースで動作するため、環境を選ばず扱えるのも便利です。

設定項目は多いですが、UIは比較的分かりやすく、触っているうちにだいたい把握できます。ライトな使い方から競技志向の詰めた設定まで対応できる柔軟さがあります。

60HE v2で特徴的なのが、True 8kHz Polling。単にポーリングレートが8kHzというだけでなく、キーボード内部のスキャンレートも8kHzで同期しています。PCが入力を要求したタイミングで、常に最新の状態が送られる仕組みです。

この機能を使うには、WootilityでTachyonモードを有効にします。
RGBの輝度を下げたり、ライティング効果をオフにすることで、処理能力をキースキャンに集中させます。見た目より性能優先という割り切り方が、Wootingらしさを感じますね。
○60HEを使ってきた人ほど分かる、着実に良くなったv2

Wooting 60HE v2は、60HEシリーズを知っている人ほど違いを実感できるキーボードです。特にアルミボディと打鍵感の進化は分かりやすく、触った瞬間に「あ、違うな」と感じます。

すでに60HE+を使っていて性能に不満がなければ無理に買い替える必要はありませんが、打鍵感や質感に惹かれる人、最新仕様を使いたい人にはかなり刺さる一台です。キーボードを単なる入力デバイスではなく、使っていて楽しいガジェットとして選びたい人には、しっかりオススメできます。
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