「20歳のときから10キロ以上太った」「ちょっと血圧が高い」「親族に糖尿病の既往歴がある」─ひとつでも当てはまったあなたは「かくれ糖尿病」かもしれません。この記事では、世界中の研究データからわかった最新の医学知識をもとに、糖尿病予備群・軽症患者の方でもムリなく続けられる「正しい改善ルールと生活習慣」を解説した『世界中の研究結果を調べてわかった!糖尿病改善の最新ルール』(著者: 坂本昌也/あさ出版)から一部を抜粋して紹介します。


今回のテーマは『ものすごく悪い糖尿病とそうでもない糖尿病の違い』。

○年齢によって異なる治療のゴール。

糖尿病という病気を統計で見てみると、高齢者に多いという数字が必ず目に入ります。厚生労働省の調査でも、70代以上では3人に1人が糖尿病またはその予備軍とされています。

こう聞くと「糖尿病は高齢者の病気」という印象を抱きやすいのですが、実はそれらの情報やデータはしっかり読み解く必要があります。

糖尿病の患者数が高齢者に偏って見えるのは、高齢になってから新しく糖尿病になる人がとても多いからではありません。実際には、もっと若い時期に糖尿病を発症した人が、その後もずっと糖尿病を抱えたまま年を重ね、高齢に達しているのです。

一方で40代や50代で発症した人は、心筋梗塞や脳梗塞、腎不全といった重い合併症を起こし、命を落とすリスクが高いため、高齢まで生き延びられないケースが少なくありません。

つまり「高齢者に多い」という統計の裏には、若い時期に発症した人は長く生きられない厳しい現実が隠れているのです。

こうした視点から考えると、糖尿病は発症した年齢によって意味合いがまったく変わってきます。

わたしは、30~50代で発症する糖尿病を「ものすごく悪い糖尿病」と呼んでいます。

この世代は、まだまだ人生が長く、糖尿病による血管へのダメージが長期間にわたって積み重なり、心臓や腎臓、脳といった大切な臓器にも深刻なダメージを与えます。
その結果、心筋梗塞や脳梗塞といった重大な合併症に襲われ、働き盛りの年代にもかかわらず命を縮めてしまうことも珍しくありません。

ご本人の健康が脅かされるだけでなく、家庭や社会に与える影響も大きくなるのがこの年代の糖尿病です。さらにいえば、高血圧・脂質異常症の合併や家族の発症歴がある方の場合、もっとも注意が必要です。

一方で、70代、80代になってから発症する糖尿病は、「そうでもない糖尿病」と呼んでいます。年齢を重ねてからの発症は、ガンの合併がなければ糖尿病の進行による合併症があらわれるよりも先に寿命が訪れることが多く、重大な合併症を抱えるリスクが小さいからです。

さらに高齢者にとっては、血糖値を下げすぎること自体がかえって危険につながることもあります。

血糖値が低くなりすぎると、ふらつきや転倒、骨折、意識障害といったトラブルが起こり、むしろ生活の安全が脅かされるからです。

そのため高齢者の糖尿病治療は、若い世代のように「血糖値をできるだけ正常に近づける」ことを目指すのではなく、「安全に生活できる範囲で保つ」ことを優先します。血糖値管理をあえて厳格にしすぎず、高血圧や脂質異常症などほかの病気の治療を主に行うことが多いのです。

つまり治療のゴール自体が、若い世代と高齢者とではまったく異なるのです。

ただし、「そうでもない糖尿病」だからといって、放置していいわけではありません。高齢者でも血糖コントロールが極端に悪ければ、感染症や脱水、認知機能の低下などのリスクが高まり、生活の質が大きく損なわれます。


高齢であってもムリのない範囲で血糖を安定させる工夫は欠かせません。

あくまで「厳しすぎる管理は不要」というだけであって、適切な見守りと調整が必要です。
糖尿病は、若い世代で発症すればするほど合併症のリスクが高くなります。血糖値が少し高い状態を放置すれば、その後の人生の長い年月を合併症の影に怯えながら過ごさなければならなくなります。

逆に高齢になってからの糖尿病は、それほど恐れることはありません。できる限り長く安定した日常を送れるように、血糖値に少しだけ気を配るようにしましょう。

○『世界中の研究結果を調べてわかった!糖尿病改善の最新ルール』(著者: 坂本昌也/あさ出版)

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