認知症予防というと、運動や脳トレなど「特別なこと」を足したくなりませんか? でも田頭秀悟先生が強調するのはむしろ逆のアプローチです。何かを足すのではなく、脳の健康を守る近道は、普段の睡眠を崩さないこと。


今回のテーマは「脳神経内科医が大切にする、睡眠の整え方」です。
睡眠は「脳の掃除時間」になる

なぜ睡眠が大事なのか。睡眠中は、脳にたまった老廃物を外へ流す仕組みであるグリンパティック系が働きやすいと考えられています。老廃物には、認知症に関連する物質のアミロイドタンパク質やタウタンパク質なども含まれます。 つまり、眠ることは脳の掃除時間を確保することでもあります。

では、先生自身は何をしているのか。答えはシンプルです。眠くなったら素直に寝る。睡眠不足を感じたら、そこで踏ん張らずに仕事や予定の量を減らす。 若い頃は徹夜もしたけれど、今は「睡眠を優先する」と決めて、生活を調整しているそうです。
運動は「やりすぎない」が正解

運動も無理をしないという考え方が重要です。目安は「良い睡眠につながる程度」の負荷。
頑張りすぎると、運動で発生した活性酸素が細胞を傷つける「酸化ストレス」が生じ、認知症を促進する方向に働く可能性もあるため注意が必要です。

ポイントは、運動量を翌朝の熟眠感で判断すること。よく眠れなくなったら、やりすぎのサインです。

特別な習慣を増やすより、まずは就寝時刻を30分早めてみる。寝る前のスマホを減らしてみる。忙しい現代人にとって、睡眠を大事にするのは簡単ではありませんが、できる範囲で一歩ずつ。無理なく続く形で積み重ねることが、脳の健康を守る習慣につながります。

○田頭 秀悟(たがしら しゅうご)

鳥取大学医学部 卒業 / たがしゅうオンラインクリニック院長 / 脳神経内科(認知症、パーキンソン病、ALSなどの神経難病)領域を専門とし、主として糖質制限食やストレスマネジメント指導を中心に内科疾患全般に対しての診療を行うオンライン総合診療医。 また東洋医学会専門医でもあり、問診によって東洋医学的な病態を推察し、患者の状態に合わせた漢方薬をオンライン診療で選択する治療法も得意としている。

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