米Boseは、同社のネットワークスピーカー「SoundTouch」シリーズのサポート終了(End of Life:EoL)に向けた対応として、製品のAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)ドキュメントを公開した。クラウドサービス終了による機能制限を補完する狙いであり、モダンデバイスがメーカーのサポート終了とともに利用価値を失ってしまう問題に対し、一つの対応策を示した形として注目されている。


Boseは2025年10月、SoundTouchシリーズのクラウドサポートを2026年2月18日に終了すると発表した。SoundTouchはインターネット経由のクラウド機能を前提とした製品であり、サポート終了後はセキュリティ更新が停止し、利用可能な機能が制限される。このため、購入から年数が経過していても物理的には十分使用可能な製品が、いわゆる“文鎮化”(使用不能になること)する可能性が懸念され、長年のユーザーから不満の声が相次いだ。

こうした反応を受け、Boseは方針を一部修正し、クラウドサポートの終了時期を2026年5月6日まで延期した。クラウド終了後もユーザーの利便性を一定程度維持するため、以下の機能は引き続き利用可能であると説明している。

Spotify ConnectおよびAirPlay 2:音楽サービスのアプリやApple製デバイスから直接スピーカーに音声を送信する方式であり、Boseのクラウドを介さないため、EoL後も利用できる。

ローカル再生:Bluetooth、HDMI、AUX、光デジタル(Toslink)といった物理接続や近距離無線接続は維持される。

専用アプリ: 2026年5月6日にアプリが更新され、クラウドを利用せず家庭内ネットワーク上で動作する機能に対応する。これにより、音量調整、再生操作、スピーカーのグループ化、初期設定などの基本操作は引き続きアプリから行えるとしている。

さらにBoseは、外部の開発者がSoundTouchを制御する独自ツールやアプリを開発できるよう、APIドキュメントを公開した。公式アプリの機能が将来的に限定される中でも、開発者コミュニティが代替的な操作手段や追加機能を提供できる可能性を残した形だ。

かつてのオーディオ機器は、適切なメンテナンスを行えば長期間使用できる耐久消費財であった。
一方、クラウド接続を前提とするモダンな機器は、メーカーがサービスを停止すれば本来の機能を失うケースが少なくない。Boseの今回の対応は、製品の全面的な延命とは言えないものの、電子廃棄物(E-waste)の増加を抑え、既存ユーザーが可能な限り製品を使い続けられる道を残した点で、一定の評価を受けている。
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