Appleが、動画編集や画像編集、音楽制作などのクリエイティブ系アプリをまとめた「Apple Creator Studio」(以下、Creator Studio)を発表。単体で数万円する人気のアプリがまとめて低料金のサブスクで使えることや、学割料金の圧倒的な安さなどが話題になっています。


Creator Studioは、さまざまなアプリが高度に連携して創作できるよう工夫され、作曲や動画作成、グラフィックデザインまでを1人のクリエイターが手掛けるようになった現代にマッチしたアプリだと感じます。

Appleの幹部は「Creator Studioは最新のAIを活用していますが、あくまでもクリエイターの創作活動を加速させるための存在であり、決して人間のアイデアや想像力を置き換えるものではありません」と、AI活用の理念をまず語りました。さらに「クリエイターの作品はAIモデルの学習に一切使用せず、彼ら自身のものであり続けます」と、生成AIにまつわる懸念がないことを強調。初代Macintoshからクリエイターに支持されてきたAppleらしい、クリエイターファーストのツールに仕上がっていました。

複数のアプリをスマートに連携して活用できる

Apple ワールドワイド・プロダクト・マーケティング担当副社長のボブ・ボーチャーズ(Bob Borchers)氏は「Appleはこれまでクリエイター向けのツールを多く提供し、クリエイターから多くのインスピレーションを受けてきました。現代のクリエイターは、作詞作曲だけでなく、動画なども手がけています。Creator Studioで、クリエイターのみなさんがより創造の世界にのめり込めるようお手伝いしたい」と意気込みを語ります。

Apple ワールドワイド・プロダクト・マーケティング(App担当)シニアディレクターのブレント・チュー・ワトソン(Brent Chiu-Watson)氏は、「Creator Studioはそれぞれのアプリが連携して動作できるようにしたほか、複数のアプリで主要なテクノロジーを共通して搭載するなど、アプリ全体で一貫した体験を提供するよう工夫しています」と解説。例として、Super ResolutionやAuto Cropの機能は、Pixelmator、Keynote、Pages、Numbersに共通して搭載されているとしました。

生成AIはクリエイターの作業を加速させる存在だ

Creator Studioは、文字起こしや検索、音楽解析など多くの機能はオンデバイスで処理しつつ、テキストからの高画質画像生成など一部でOpenAIの生成AI技術を活用しています。クリエイターにとって、生成AIの活用は制作作業の効率化やアイデアの創出につながる部分がある一方で、自分の作品が許可なくAIの学習データに使われる懸念も存在します。

Creator StudioのAI活用について、ボブ・ボーチャーズ氏は「AppleはAIについて、クリエイターの制作ワークフローを加速させ、創造性を広げるためのツールだと位置づけています。
決して人間のアイデアや想像力を置き換えるものではなく、人間の能力を増幅させる存在であるべきなのです。AIを活用することで、より素早く作業し、より多くのバリエーションを試し、新たな表現にたどり着くことができるでしょう」と語ります。

ブレント・チュー・ワトソン氏は、クリエイターが懸念するデータの無断利用は一切ないことを強調します。「何より重要なのは、音楽、映像、デザインといったすべてのクリエイティブ作品は、常にユーザー自身のものであり続けるという点です。Appleは包括的なプライバシー方針を採用しており、Creator Studio内のユーザーコンテンツがAIモデルの学習に使われることは一切ありません」

学生などクリエイター以外にも活用してほしい

Creator Studioのアプリは、MacとiPadの両プラットフォームに用意されているものと、Macのみ提供されるものが混在しています。この点について、ブレント・チュー・ワトソン氏は「Mac専用となっているアプリは、レンダリング処理やライブパフォーマンスなどで高い処理性能を必要とする用途を想定して設計しています。Appleは、こうした用途にはMac Studioのような高性能なMac環境が最適だと考えていますが、市場やユーザーの声に耳を傾け、ほかのプラットフォーム展開についても検討を続けていきます」としました。

Creator Studioは「クリエイター」と名が付いていますが、クリエイターに限らず多くの人に使ってほしいとも語ります。「Creator Studioはクリエイターはもちろん、学生やビジネスパーソンにも有用な存在となってくれます。情報を分かりやすく、かつ美しくまとめた資料を作れる力をもたらしてくれるからです。アウトラインから自動的にスライドの土台となるものを生成したり、スライドからスピーカーノートを作成したりする新機能は、その体験をさらに高めてくれるでしょう」

Creator Studioの料金は月額1,780円/年間17,800円ですが、大学生・教職員は月額480円/年間4,800円の学割料金で利用できます。この破格ともいえる学割料金がSNSで話題になっています。


ボブ・ボーチャーズ氏は料金設定について、「Appleは学生や教育者にもこれらのツールを届けることを重視しています。創造性はすべての人にとって本質的なものであり、教育の過程を通じて育まれるべきだ、という考えがあるからです。経済的な障壁をできる限り取り除き、より多くの学生に優れたツールを活用してもらいたいと考えています」と説明しました。

ボブ・ボーチャーズ氏は「Appleは、クリエイターの進化するニーズに応えるために革新を続けてきました。Creator Studioは、現代のクリエイターを念頭に設計しており、限界のない創造性をもとに真にユニークな表現を生み出すお手伝いができると思っています。もちろん、今回のリリースはまだ始まりに過ぎません。今後も、新たなコンテンツや機能によって進化し続けていきます。Appleは、クリエイターのみなさんがこれらのツールを使ってどのような作品を生み出すのか、心から楽しみにしています」とエールを送りました。
編集部おすすめ