●目をつぶっても情景が浮かぶしゃべりの魅力を
1月29日・30日の2日間、東京・浅草公会堂で、『時代劇専門チャンネル presents プレミアム朗読劇「鬼平犯科帳 本所・桜屋敷」』が開催される。
声優の堀内賢雄が長谷川平蔵(鬼平)を、大塚明夫が剣友・岸井左馬之助を演じる本公演。
40年来の盟友でありながら、意外にも生舞台では今回が初共演。「40年分の襞(ひだ)」を持つ2人が語る、この公演への熱い思いとは――。
○「そろそろ船出してもいいんじゃないか?」
――今回のプレミアム朗読劇、「堀内さんが主演を務める」ということで、これだけの豪華キャストが集結したと伺いました。
堀内:(笑)。まぁ、経緯はどうあれ、(大塚)明夫と一緒に、芝居の掛け合いができる。しかも平蔵と剣友である、左馬之助役でしょ? それはやっぱりうれしいですね。
大塚:ここで、40年来の僕らの関係性が生きてくるよね。
堀内:そう。明夫とは40数年の歴史の中でいろんなお芝居をしてきたから、気心が知れている。そこはすごく大きいです。しかも、お互いこの年になって「舞台で初共演」するような気持ちなんですよ。
大塚:そこを推していこうか(笑)
――堀内さんは、アニメ版『鬼平』の鬼平役と共に、松本幸四郎さん主演のドラマシリーズ『鬼平犯科帳』の語りも担当されています。本作に対する思い入れは?
堀内:元々池波正太郎先生が大好きだったので、関わらせていただいた時は「人生でこんな至福の時があるのか」というぐらいに入れ込んでいました。先生の食通ぶりにも魅了されて、エッセイに登場する目黒の「とんき」や、銀座の洋食屋「みかわや」を巡ったりね。そういった背景を知りながら作品に携われるのは本当に楽しいです。
大塚:僕の方は、やっとその流れに加われたという感じです。『鬼平犯科帳』は元々小説で読んで「なんて味わい深い世界なんだ」と思っていましたし、中村吉右衛門さんのドラマも全部見ています。エンディングでジプシー・キングスの「インスピレイション」が流れるたびに、心の弦がブブブっと鳴るような。そんな大好きな作品に、左馬之助という最高にいい役で流れに乗ることができた。「そろそろ船出してもいいんじゃないか?」というくらいの気分です(笑)
――今回の演目である「本所・桜屋敷」は、左馬之助の初恋が軸となる物語ですね。
堀内:正直、「この本が選ばれたんだ!」という驚きはありました。声だけでどこまでメリハリをつけて、ホロホロっとくる情緒を出せるか。
大塚:そうですね。僕も燃えました(笑)
○どれだけ脳内のスクリーンに絵を浮かべられるか
――今回はスタンドマイクを前に、皆さんが入れ替わり立ち替わり演じられるとか。普段は見ることのできない「アフレコの舞台裏」をのぞき見するような、そんなワクワク感もありそうです。
堀内:もちろん本だけで十分面白いんですが、マイクの前でプロの声優陣が見事に入れ替わりながら、それぞれのセリフをつないでいく…。そんな光景を目にすること自体、結構貴重なんじゃないかと思いますね。明夫みたいなデカい人は、マイクの高さをどう調整するのか、とか(笑)。「プロの技ってすごいな」と思っていただければ。
――朗読劇という形式ならではの醍醐味は、どんなところにあると思われますか?
大塚:自分の呼吸で、自分の立体的な間尺でセリフが言えること。そこが吹き替えやアニメと一番違うところです。自分で泣けなかったら、泣けるまで待ったっていい。
堀内:リハーサルでも、明夫はすごく間を取ってたもんね。
大塚:そこが成立しないまま、「あ、自分の番だ!」と思ってセリフをポンポン言っちゃうと、聴いている方はどうしても上滑りしてしまう。だからといって、ただ長く間を取ればいい、というものでもない。そこを一生懸命「ギュッ」とやりたいですね。
――まさに、プロたちによる「間の饗宴」とも言えそうですね!
堀内:幸四郎さんの実写版の語りを担当した時も本当に素晴らしい出来だとつくづく思いましたが、朗読劇はある意味、お客様に絵を想像していただくもの。しゃべりでどこまでそこに近づけられるか。極端な話、目をつぶって聴いてもらってもいいくらい…。
――せっかくご本人が目の前にいるのに贅沢すぎます(笑)!
堀内:(笑)。目をつぶっていても情景が想像できるような、しゃべりの魅力を出したいですね。そこに、ピアノの生演奏が加わる。リハでも少し弾いていただいたんですが、ここからさらに深みが増していく予感があります。
大塚:生はいいですよ。ピアノが語ってくれます。
●「大好きな先輩」「ずっとうらやましい」
――長年共演されてきたお二人ですが、お互いの「役者としての姿勢」で尊敬しているところは?
大塚:この堀内賢雄という先輩はですね、僕がこの世界にのこのこやってきた時から既に活躍されていて。彼の何がすごいって、「人と人が仕事をしている」ということを、若い時からずっと大切にされてきたこと。僕はガキだったから「いい芝居すればいいんだろ?」なんて思い上がっていたけれど、この先輩と長年ご一緒するうちに「俺は間違ってたんだな」と気づかされた。もう、大好きな先輩です。
堀内:明夫はね、この世界に彗星のごとく現れて。若い時からむちゃくちゃ大人で、重厚な役を演じていた。その頃、僕は二枚目半のような役ばかりで、「芝居が若すぎる」と言われていた時期があったから、彼がずっとうらやましくてね。でも、お互いに一つずつ人生経験をして、やっとこの年になって、本物の大人の役ができるようになった。この2人だからこそ出せる「平蔵」と「左馬之助」がある。それが本当に喜びなんです。
大塚:僕の場合は、“若造が頑張ってやっていた大人”がようやくほぐれてきて、頑張らなくても大人と言える年齢になってきた。賢雄さんはマイルドで素晴らしい声を持っているけれど、決してテクニックに逃げず、お芝居の芯だけを、スッといい音で言葉に出せる人。だからずっと主役を張ってこられた。今の彼には、40年分の積み重ねが襞となって芝居に現れている。それが今の平蔵の深み、味わいになっているんです。
堀内:ちょっと、褒めすぎじゃない(笑)? そこまで言うと嘘っぽく聞こえるよ。
大塚:いや、本当だよ。
堀内:どんなイベントに行っても、本来「大塚明夫です」って入ってくるはずのところで、「堀内賢雄です」ってモノマネをしてね。人をギャグに使ってるんだよ(笑)
大塚:一種の憧れですよ。
堀内:それこそ『神々の山嶺』から『METAL GEAR SOLID 2 SONS OF LIBERTY』に『ハートブルー』…と、もう本当に数多くやってきましたからね。でも、いつも必ず僕の方が若い役なんですよね。
大塚:僕が66で、彼が68なんですけど。
堀内:でも、そんな僕らよりさらに先輩たちが、この声優界にはたくさんいますから。
大塚:そう。そこがまた面白いよね。
○和と洋の融合「覚悟の上でのチャレンジ」
――今回の朗読劇では、ビジュアル面でも挑戦的な試みがあるそうですね。
堀内:僕の衣装は、着物素材の光沢のあるスーツで、すごく凝っているんです。
大塚:左馬之助も斬新ですよ。和と洋が融合したような、洗練されたテイストでね。
堀内:普通の「鬼平」を想像してたら、ちょっとびっくりしちゃうんじゃないかな。
大塚:いや、そういう声が出ることも覚悟の上でのチャレンジです。
堀内:そうだね。若い人も見てもらえたら、きっと引き込まれるはず。浅草公会堂という歴史ある場所で、この新しい挑戦ができることに大きな意義を感じています。
大塚:僕が役者になりたての若い頃、井上ひさしさん主宰の劇団こまつ座で、『頭痛肩こり樋口一葉』という旗揚げ公演を、浅草公会堂でやりましてね。僕も切符もぎりのお手伝いをした、思い出の場所でもあるんです。だから、懐かしいなって。
――『鬼平犯科帳』の魅力を、ひと言で伝えるならば?
堀内:みんな心の中に良というものを持ちながら、傍から見るとそれが悪に見えてしまうというか。まっすぐ生きている人たちが、分かりやすく描かれている。鬼平も過去はならず者で、元々悪だったからこそわかる部分もある。そういう優しさが全編にあふれている作品なので、ぜひ若い人も人の心の機微に触れてもらえたらうれしいです。
大塚:人間ってバカだから、あまり進歩しないじゃないですか。時代劇であろうが、現代劇であろうが、本質的には一つも変わらない。だから、いまだにシェイクスピア劇が上演され、歌舞伎をはじめとする伝統芸能も続いているわけで。本質を見れば和服を着てようが、洋服を着てようが、人間の紡ぎ出すドラマとしてはすべて同じ。先入観を持たずに聞ける衣装になっていると思いますし、「江戸では、みんなこんな風に言葉を交わしてたんだな」と、スッと受け止めていただけるんじゃないかと思います。
――では改めて、読者にメッセージをお願いします。
大塚:ここは、座長の言葉でビシッと締めていただいて(笑)
堀内:アフタートークも含めて、素晴らしい舞台が出来上がると確信しています。これを第1弾として、これからも続くように、ぜひ皆さん会場に足をお運びください!
○公演情報
時代劇専門チャンネル presents プレミアム朗読劇『鬼平犯科帳 本所・桜屋敷』
日程:1月29日(木)夜公演/30日(金)昼・夜公演(全3公演)
※大塚明夫は30日昼・夜公演のみ出演
会場:浅草公会堂
アフタートーク: 各回開催予定
チケット料金:プレミアム席 30,000円/S席 15,000円/A席 10,000円
チケット販売:イープラスで発売中
渡邊玲子 映画配給会社、新聞社、WEB編集部勤務を経て、フリーランスの編集・ライターとして活動中。国内外で活躍する俳優・映画監督・クリエイターのインタビュー記事やレビュー、コラムを中心に、WEB、雑誌、劇場パンフレットなどで執筆するほか、書家として、映画タイトルや商品ロゴの筆文字デザインを手掛けている。イベントMC、ラジオ出演なども。 この著者の記事一覧はこちら

![【Amazon.co.jp限定】鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎 豪華版Blu-ray(描き下ろしアクリルジオラマスタンド&描き下ろしマイクロファイバーミニハンカチ&メーカー特典:谷田部透湖描き下ろしビジュアルカード(A6サイズ)付) [Blu-ray]](https://m.media-amazon.com/images/I/51Y3-bul73L._SL500_.jpg)
![【Amazon.co.jp限定】ワンピース・オン・アイス ~エピソード・オブ・アラバスタ~ *Blu-ray(特典:主要キャストL判ブロマイド10枚セット *Amazon限定絵柄) [Blu-ray]](https://m.media-amazon.com/images/I/51Nen9ZSvML._SL500_.jpg)




![VVS (初回盤) (BD) [Blu-ray]](https://m.media-amazon.com/images/I/51lAumaB-aL._SL500_.jpg)


