「糖化は老化」という言葉の生みの親であり、「糖化ストレス研究」のパイオニアである八木雅之氏が、「老けない食べ方」の新常識を解説した『最新科学でわかった 老けない食べ方の新常識 糖化博士が教える若返り46のコツ』(著: 八木雅之/三笠書房)。この記事では、書籍から一部を抜粋して紹介します。


今回のテーマは『老化予防におすすめのスイーツは「羊羹」』。

○老化予防におすすめのスイーツは「羊羹」

小腹が空いて、ちょっと甘いものがほしい……そんなときにおすすめなのが羊羹。

小豆をたっぷりの砂糖で煮てつくる餡は、糖質の多い食品です。単純に考えるといかにも糖化を進めそうですが、じつは血糖値の上昇が小さい食品なのです。

私たちは、健康な男女9人を被験者に、「白ご飯150g+ふりかけ2.5g」「つぶ餡89g」「こし餡80g」で血糖値の上昇を調査しました。

ちなみにこの3つは、炭水化物量を50gに統一した量です。和菓子1個に含まれる餡の量は20~30g。つまり、ご飯茶碗1杯分の炭水化物量は、和菓子2~3個に相当します。

調査の結果は、白ご飯の血糖値のピーク値は60/dL、つぶ餡は45/dL、こし餡は35/dL。白ご飯より25 mg/dLもピーク値が低かったのです。

α-グルコシダーゼ阻害薬という糖尿病治療薬の血糖抑制作用は、だいたい20~40 /dL。こし餡の和菓子を1個食べても、血糖値はゆるやかに上がる程度で、場合によっては糖尿病治療薬と同程度の血糖値上昇抑制効果を期待できます。


なお、α-グルコシダーゼ阻害とは、小腸の酵素「α-グルコシダーゼ」の働きを抑えることで、でんぷんや二糖類などの糖質の分解と吸収を遅らせ、食後の急激な血糖値上昇を防ぐ作用のことです。

私たちは和菓子の老舗、虎屋さんとの共同研究で羊羹を食べた後の血糖変化を調べる試験をしました。ちなみに、和菓子の中でも羊羹は、餡(小豆を砂糖で煮たもの)と寒天が主原料で、携帯にも適しています。最近は、一口サイズの羊羹(小形羊羹)を手軽に購入できます。休憩時に飴玉やスナックを口に入れるよりも、一口サイズの羊羹を食べたほうが血糖値の上昇が小さく、老化予防には役立つのです。

さらに、もう一つ、おもしろい研究結果があります。砂糖を加える前の「生餡」より、砂糖と熱を加えて攪拌してできた餡のほうが、α-グルコシダーゼ阻害作用が強いという結果が出ました。

では、餡の何が血糖値の上昇を抑えているのでしょうか。

その理由は、「餡粒子」と呼ばれる特殊なでんぷん構造にあります。餡を練る工程で生成される「餡粒子」が、小腸での糖の分解と吸収を遅らせ、血糖値の上昇をゆるやかにしていると考えています。

糖質制限を推進する専門家の方々は、糖質量だけを見て〇か×をつけます。しかし実際には、糖質量が同じでも、血糖値の上昇の仕方は食材に含まれる糖質の構造や量によって異なることがあるのです。
その代表ともいえるのが、餡なのです。

しかも、小豆はポリフェノールの宝庫です。ポリフェノールには、優れた抗糖化作用があることは伝えました。小豆にはアントシアニン、イソフラボン、ルチン、レスベラトロール、カテキンなどのポリフェノールが含まれています。しかも、その含有量は、ポリフェノールの豊富さで知られる赤ワインのおよそ2倍もあるのです。

なお、羊羹を食べる際には、濃いめの緑茶を添えましょう。私たちの研究では、羊羹だけを食べるより、濃いめに入れた緑茶を一緒に飲むと、血糖値の上昇が大幅に抑えられることも確認しています。

緑茶には、抗糖化作用に優れたカテキンが豊富です。昔から日本人は和菓子に緑茶をあわせて食べてきました。これも老化予防に非常に効果的な食文化なのです。

○『最新科学でわかった 老けない食べ方の新常識 糖化博士が教える若返り46のコツ』(著: 八木雅之/三笠書房)

本書では、アルデヒド対策に唯一効果のある最強の食べ方を紹介します。ポイントは、「タンパク質 × 脂質 × 酸」。
この3つを1食の中でそろえれば、アルデヒドの過剰発生を抑えて、老化を防ぐことにつながります。白ご飯、ラーメン、スイーツ、なんでも食べてOKです!食事を楽しみながら、若々しく、豊かに、人生を味わい尽くしましょう。

○八木雅之(やぎ・まさゆき)

同志社大学生命医科学部糖化ストレス研究センター客員教授。農学博士。京都生まれ。京都工芸繊維大学繊維学部卒業、同大学院修士課程修了。1989年、京都府立大学大学院農学研究科博士課程修了。日本抗加齢医学会評議員、糖化ストレス研究会理事。
糖化アミノ酸分解酵素を用いたグリコヘモグロビン測定系や、抗糖化作用をもつハーブ素材の開発などに従事。糖化ストレスに関する基礎研究から応用研究まで一貫して取り組む。2011年より現職。老化や生活習慣病の原因となる“糖化ストレス”の解明と対策に力を注ぎ、抗糖化素材や測定法の開発など、糖化研究の最前線を支える、日本を代表する第一人者。
「糖化は老化」「糖化ストレス」「抗糖化」という言葉の生みの親。
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