第51回衆院選が27日、公示された。今回の選挙で、各党が相次いで打ち出しているのが「消費税減税」だ。
家計支援として歓迎する声がある一方で、住宅ローン比較診断サービス「モゲチェック」を提供するMFSの取締役CMO・住宅ローンアナリストの塩澤崇氏は、「衆院選後の政策次第では、日本経済が"円安・インフレ・金利高"の負のループに入りかねない」と指摘する。

○消費税減税がつなぐ、3つのリスク

減税が実施された場合、懸念されるのは単なる税収減にとどまらない。塩澤氏は、3つのリスクが連鎖的につながる可能性を挙げる。

財政悪化懸念: 税収減による国債の信用低下(長期金利上昇)
円安の加速: 財政悪化懸念から円が売られ、輸入物価が上昇
さらなる物価高: 円安とインフレの相乗効果により、国民生活への負担が増大

「財政悪化→円安→物価高、という流れが一度回り始めると、自然には止まりません。これが"負のループ"です。もちろん、インフレの促進には税収アップや政府負債を実質軽減させる効果もありますが、やるにしても市場からの信任を維持することは大前提でしょう」(塩澤氏※以下同)

○歯止めがかからなければ、利上げは前倒しも

このループを断ち切る手段として考えられるのは、

消費税減税の見直し
社会保障費削減などの財政支出の見直し
利上げ

の3つだ。

ただし、消費税減税や財政支出の見直しが政治的に実行されない場合、選択肢は事実上「利上げ」しか残らない。

「消費税減税の見直しや、財政支出の見直しが行われない場合は、160円前後の恒常的な円安が続く可能性もあり、日銀は想定よりも早いペースでの利上げ(4月か6月)を余儀なくされる可能性がゼロとは言えないと考えています」

政策金利のターミナルレートについて、塩澤氏は1.5%をベースシナリオとしつつ、「状況次第では2%を超える可能性も否定できない」と見る。
○「変動一択」からの転換点に

こうした見通しを踏まえ、塩澤氏は住宅ローン利用者に対し、考え方の転換を促す。

「衆院選後の政治動向次第では、2027年までに政策金利が2%を超えるシナリオもゼロとは言い切れません。これまでのように“変動金利一択”の時代から、変動と固定をフラットに比較検討する時代になりつつあります」

今後は

変動金利と固定金利の両方をしっかりと検討する
銀行株など金利上昇の恩恵を受ける資産や円安の恩恵を受けられる海外インデックス投資を検討する
資産価値のある不動産を買い入れる

といった、複合的な家計防衛戦略が求められるという。

衆院選の公約は、目先の家計負担だけでなく、金利や資産価格にも影響を及ぼす。
選挙後、日本経済がどの道を選ぶのか──その行方は、私たち一人ひとりの資産戦略にも直結しそうだ。

塩澤崇 しおざわたかし 株式会社MFS 取締役CMO。2006年に東京大学大学院情報理工学系研究科修了後、モルガン・スタンレー証券株式会社にて住宅ローン証券化ビジネスに参画。モーゲージバンクの設立やマーケティング戦略立案、当局対応を担当。2009年、ボストン・コンサルティング・グループで、メガバンク・証券・生保の国内営業戦略・アジア進出ロードマップ等の経営コンサルティングに従事した後、2015年9月より現職。株式会社MFSの住宅ローン比較診断サービス「モゲチェック」では、属性や希望条件から最適な住宅ローンを提案する「住宅ローン診断」を無料で提供。借換ユーザーも借換メリット額が試算できる。 この著者の記事一覧はこちら
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