楽天モバイルは2025年12月25日、MVNOによるサービスも含めた全契約数が1000万を突破したと明らかにしました。目標の1000万契約を超え、黒字化にも近づくなど好調さを見せる楽天モバイルですが、2026年には乗り越えなくてはならない大きなハードルも待ち構えており、順風満帆というわけにはいかないようです。
楽天モバイルの2026年を占ってみましょう。
「月額0円」施策を見直し1000万契約へ

2020年4月に携帯電話会社として本格的にサービスを開始した楽天モバイルが、2025年12月25日に1000万契約を達成したと発表しました。この契約数はMVNOとしてのサービスを含むものではありますが、それでも本格参入から10年に満たない期間で、これだけの契約数を獲得したことは大きなインパクトがあります。

なぜ楽天モバイルが1000万契約の達成にこだわったのかといえば、契約数を増やすことが売上を増やし、ひいては最大の目標ともいえる黒字化の達成へとつながるからにほかなりません。楽天モバイルは、全国にネットワークを敷設するための先行投資が響いて大幅な赤字を計上し、一時は経営危機も叫ばれていました。

それだけに、黒字化の達成は楽天モバイル、さらに言えばその親会社となる楽天グループの安定的な経営のためにも非常に重要なのです。そこで楽天モバイルは、これまで契約数を増やすためにありとあらゆる手段を打ち出してきました。

過去を振り返りますと、最も代表的な事例となるのは「月額0円」施策でしょう。1つは、2020年の本格サービス開始時に提供した料金プラン「Rakuten UN-LIMIT」の契約者先着300万人に対し、1年間、月額0円で利用できるキャンペーンを実施したこと。そしてもう1つは2021年に提供された、通信量が1GB未満であれば月額0円で利用できる料金プラン「Rakuten UN-LIMIT VI」です。

これらはいずれも、月額0円で利用できるとあって大好評を博しましたが、一方で契約数が増えても楽天モバイルの売り上げにつながらないという問題も生み、経営悪化にも大きく影響してしまいました。

そこで楽天モバイルは、2022年の「Rakuten UN-LIMIT VII」で月額0円施策を廃止したのですが、そのことに不満を覚えたユーザーが大量に流出する事態を招いたことも確か。
それだけに以後、楽天モバイルの料金施策はより現実的なものに落ち着いています。

そのことを象徴しているのが、2024年に開始した「最強家族プログラム」です。これは家族で契約することにより、現在の料金プラン「Rakuten最強プラン」の月額料金を割り引くものですが、その割引額は月額110円と、1,078~3,278円というRakuten最強プランの月額料金では現実的な内容といえるでしょう。

それゆえ、最強家族プログラムは割引額こそ小さいのですが、家族契約で料金が割り引かれることに惹き付けられた人が多かったようで、好評を博し契約増にもつながりました。そこで楽天モバイルは、その後も契約拡大のため「最強青春プログラム」「最強こどもプログラム」など複数の割引施策を導入しています。

楽天モバイルを左右する2026年のローミング契約終了

一方で、楽天モバイルは契約数の拡大を売上の向上に結び付ける取り組みも強化しています。そのことを示しているのが、2025年10月に追加した、映像配信サービス「U-NEXT」をセットにした新料金プラン「Rakuten最強U-NEXT」です。

この料金プランがRakuten最強プランと大きく異なるのは、通信量に応じて料金が変化する段階制ではなく、月額4,378円の定額制を採用したことです。Rakuten最強プランでは、ユーザーの毎月の通信量に応じて楽天モバイルに入る売上が変化してしまいますが、U-NEXTの魅力を武器としてRakuten最強U-NEXTに移行してもらえば、毎月安定して4,378円の売上を確保できるのですから、楽天モバイルにとってメリットの大きいプランといえるでしょう。

それゆえ、Rakuten最強U-NEXTの狙いは、Rakuten最強プランからRakuten最強U-NEXTへの移行による売上の向上・安定化にあるといえ、今後楽天モバイルは既存ユーザーに対し、Rakuten最強U-NEXTへの移行をより積極化してくる可能性が高いと筆者は見ています。

このように、紆余曲折ありながらもようやく安定的に契約数を増やし、売上に結びつける施策を打ち出せるようになった楽天モバイルですが、2026年もその施策を続けられるかどうかは未知数です。なぜなら、2026年9月末にKDDIとのローミング契約が切れてしまうからです。


楽天モバイルは現在、未整備の地方エリアを中心にKDDIとのローミングでネットワークを補っています。そして実は、楽天モバイルがいま割引施策などを打って新規契約獲得に全力を注ぐことができるのは、ローミングの活用でネットワーク整備にかけるコストを大幅に抑えつつ、全国をカバーできているからなのです。

ですので、ローミングが切れてしまうと未整備のエリアをみずから整備する必要に迫られ、再びネットワーク整備に大きなコストをかける必要が出てきてしまいます。そうなれば契約数の拡大に向けた投資ができなくなり、契約を思うように増やすことができなくなってしまうでしょう。

それだけに2026年、楽天モバイルがどのような選択をするかで、同社の行方は非常に大きく変わってくるわけです。KDDIとのローミングを延長するのか、みずからインフラを整備する方針へシフトするのか、それとも2026年第4四半期のサービス開始を予定している、米AST SpaceMobileの衛星を活用した「Rakuten最強衛星サービス」で未整備のエリアを賄う“離れ業”を繰り出すのか。その選択が非常に大きな関心を呼ぶことは間違いないでしょう。

佐野正弘 福島県出身、東北工業大学卒。エンジニアとしてデジタルコンテンツの開発を手がけた後、携帯電話・モバイル専門のライターに転身。現在では業界動向からカルチャーに至るまで、携帯電話に関連した幅広い分野の執筆を手がける。 この著者の記事一覧はこちら
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