モデル・藤井サチが、28日に自身初となるフォト&スタイルブック『雨のち、サチ。』を発売する。
『Seventeen』でデビュー後、『ViVi』を経て、現在は『CLASSY.』を中心にモデルとして活躍するほか、情報番組のコメンテーターなど活動の幅を広げてきた。2025年には結婚も発表し、公私ともに充実した姿を見せているが、その裏には想像もつかないほど過酷な経験があった。

これまでほとんど語ってこなかった家族のこと、摂食障害やうつ病を経験した10代の自分について、本の中で初めて正面から言葉にした藤井。自分の感情を言語化できるようになった今、孤独と向き合った過去、そして「誰かの勇気になれたら」という率直な思いを聞いた。

○摂食障害やうつ病を経験、孤独を感じていた幼少期

――今回のフォト&スタイルブックでは、10代で摂食障害やうつ病に悩んでいたこと、ご両親の離婚もあって孤独感が強かった幼少期の経験など、赤裸々に語られています。こういったお話は、今回が初めてですか。

重くならない程度に、自分のYouTubeや取材で触れたことはありましたが、ここまで踏み込んで話したのは初めてです。

――なぜ今語ろうと思ったのか、改めて理由をお聞かせください。

いちばんは、「やっと涙なしで話せるようになった」というのが大きいです。それまでは、自分の思いをうまく言語化できなかったり、周りにどう思われるかが怖かったりして、いろいろな感情が渦巻いていました。でも、本にも書いている通り、治療やカウンセリング、セラピーを通して自分の不安と向き合う中で、少しずつ過去の出来事を言葉にできるようになったんです。

せっかくこういう仕事をしているからこそ、自分の経験を発信することで、誰か一人でも勇気づけることができたら、自分にも生まれてきた意味があるのかな……というと大げさかもしれませんが、そういう気持ちもあって。
かなり勇気は必要でしたが、今回、自分のフォトブックに載せることにしました。

――症状は20代前半で大分落ち着いたと書かれていましたが、発信するに至るには、もう少し時間が必要だったという感じでしょうか。

発信したい気持ちはあっても、どうすれば伝えたい形で伝わるのかが難しくて。今はYouTubeやInstagramなどのSNSもありますが、内容が内容なだけに、不特定多数に向けて発信することにはどうしても怖さがありました。

もともと本を出すのが夢だったので、モデルという仕事を通して私に興味を持ち、内容を理解したうえで手に取ってくれる人に向けてなら、安心して読んでもらえるし、共感してもらえるかもしれないと思ったんです。そこから、どんな形がいいのかを数年考えて、ようやくマネージャーさんに提案しました。

――「本を出す」こと自体は、以前からの目標だったんですね。

それこそ、モデルを始めた15歳の頃から、いつかスタイルブックや写真集を出したいという気持ちはずっとありました。昔はSNSもなかったですし、他のモデルさんやタレントさんの写真集を読むのがすごく好きで。長谷川潤さんや梨花さん、ローラさんなど、先輩モデルさんのものも読んでいました。

――自身と同じミックスルーツのモデルの活躍は、共感できるところが多かったのでしょうか?

おこがましいですけど、「こういうお仕事もできるんだ」「自分もこういう雑誌に出てみたいな」と思わせてもらいましたし、間違いなくロールモデルにはなっていました。

――当時から、周りにフォトブックを出したいという話はしていましたか。


私は目標などをあまり口に出して言えないタイプなので、準備万端でいつでもやれる状態になってからじゃないと……と思ってしまって。自分の中でアイデアを詰めて、ようやく勇気を出して言えました。

○自身の“選択”の決め手「少し極端ですけど……」

――本の中には、愛用のスキンケアやコスメ、通っているサロン、結婚式の様子まで幅広く収録されています。こうした内容も、ご自身で提案されたのでしょうか。

そうです。というのも、今はきれいな写真を見るだけならSNSでもできるじゃないですか。紙の雑誌がなかなか売れない時代に、写真集だけを出すイメージは自分の中でも持てなくて。誰にも、何度でも読み返したくなる本ってあると思うのですが、その仲間に加えてもらえるような本にしたくて、見ても楽しいし読んでも元気がもらえるような作品を届けたいという思いで作りました。

――紙媒体の厳しさを踏まえた、かなり現実的な視点ですね。

そういう意味では、結構現実的な方だと思います。今は紙1枚でも本当に高いので、出すからには、読み手にどんな価値を提供できるかは常に考えていました。

――ただ、美容の情報などを具体的に紹介しつつも、「そのまま真似をするのではなく、自分に合うものを見つけて選んでほしい」というメッセージはかなり一貫してあるように感じました。


ありがとうございます。そう思ってもらいたくて、インタビューの言葉も一つひとつ丁寧に考えたので、すごくうれしいです。私自身、昔はトレンドの美容法や腸活などを見かけると、結構すぐ飛びついてしまう性格だったんです。でも、自分に合うかどうかはまた別なんだということを経験から学びました。だから今回も、私のおすすめをただ信じるだけでなく、最後は自分に合ったものを探して、自分で選んでほしいという思いを込めて書きました。

――なるほど。そんなサチさんは選択に迷ったとき、最後はどうやって決断していますか?

内容にもよりますが、「やるか、やらないか」で迷ったときは「もしこれを逃したら一生できない」と言われたらどう感じるだろう、って考えます。少し極端ですけど。

――そう考えると、「やる」を選ぶことが多そうですね。

そうですね。うまくいかないこともありますが、失敗したほうが学びも多いし、人生は楽しくなるし、強くなれると思っているので、できるだけ挑戦するようにしています。

――小さい頃から好奇心は強いほうでしたか。


そうだったと思います。母がジャーナリストだったこともあって、物事を知りたい気持ちが強かったですね。本も、小説より新書を読むのが昔から好きで、知識をインプットすること自体が性格に合っているんだと思います。

○15歳でスカウトされ、芸能界入り 同期には広瀬すず岡崎紗絵

――スカウトをきっかけに業界に入られたサチさんですが、最初からモデル志望だったわけではなかったのでしょうか。

今はモデルが天職だと思っていますし、できる限り続けていきたいという気持ちもありますが、15歳のときにはまさかこんなに続くとは思っていなかったです。最初は、興味はありつつも、「ダメだったら学業に戻ればいいし!」と軽い気持ちで始めたのが正直なところでした。

ただ、『Seventeen』の専属モデルになって初めての大きなイベントで、ずっと雑誌で見ていた西内まりやさんや新川優愛さんと実際にお会いして、周りもかわいい子たちばかりの空間に初めて足を踏み入れたとき、一気に火がついたんです。「ここで頑張りたい」「私も個別の取材を受けたい」「単独表紙をやりたい」と具体的な目標が芽生えたことは、すごく覚えています。

――ただ、その強い思いが、結果的に摂食障害やうつ病につながってしまった。

シンプルに、頑張る方向性を間違えてしまったんだと思います。負けず嫌いでストイックな性格だからこそ、「こうじゃなくちゃダメだ」と極端に考えてしまったんです。

特に、私は「ミスセブンティーン」の同期が広瀬すずちゃん、岡崎紗絵ちゃんといった、早くから活躍する子ばかりで。
次々に仕事が決まっていく姿を見て、「自分は演技の道には行けないだろうから、モデルとしてやっていくしかない。そのためには痩せなきゃいけない」と、誰にも言われていないのに一人で思い込んでしまったんです。その焦りが暴走して、「カリッカリに痩せるための努力」に向いてしまいました。

――同期と比べて焦る気持ちは、誰しも持ってしまいますよね。

大人になった今だと、そういった経験は珍しくないと思えますが、15歳、16歳でそれを経験するのは、またちょっと違いましたね。学校でも多感な時期ですし、負けず嫌いだからこそ誰かに相談することもできなくて、自分の素直な気持ちも言いづらくて……

家庭で話せる人がいたら、また全然違っていたかもしれませんが、当時はうちの家族は本当にみんなそれぞれで話せる人もいなかった。だから、どんどん自分の負の思考回路のループにはまっていったんだと思います。

○自身のフォトブックで家族について触れた理由

――ご両親のことも今回かなり踏み込んで書かれていますが、このことを話そうと思ったきっかけは?

本にも書きましたが、今は離婚も珍しくないですし、片親で育つ人もたくさんいると思います。ただ、子どもの側から「意外と寂しいよ」という感覚を発信することは、自分のためにもなるし、共感してくれる人もいるのかなと思ったんです。それに、摂食障害やうつ病も、原因をたどっていくと幼少期の体験に行き着く部分があって。どうしても、そこは書いておきたかったんです。

――ご両親と、この本についてお話はされましたか。


実はしていなくて、ちょっぴり「読まないでくれ~」という気持ちもあります(笑)。かなり脱いでもいるし!(笑)

でも病気のことは、両親ともにもちろん知っているんですけど、心配をかけたくなくてあまり話していなかったので、ここまで尾を引いていたとは、びっくりしちゃうかもしれません。

また、姉に「ここまで書いて大丈夫かな?」という確認の意味で読んでもらったんです。そうしたら「当時ここまで追い詰められていたのは知らなかった」と、すごく謝られて。でも、全然そういうつもりはなかったんです。

ただ、自分が思っている以上に、周りに知られていないことを書いているんだということには気づきました。それをようやく言葉にして語れるようになった。だからこそ、刺さる人には刺さると思うし、似た経験をしたことがある人に、いろんな乗り越え方があることを知ってもらえたら嬉しいです。

■藤井サチ
1997年3月6日生まれ。東京都出身。身長170㎝。2011年にスカウトされ、芸能界入り。「ミスセブンティーン2012」に選ばれ、ファッション誌『Seventeen』(集英社)の専属モデルとなる。その後、『ViVi』(講談社)専属モデルを経て、現在『CLASSY.』(光文社)を中心にモデルとして活動中。1月28日に自身初のフォト&スタイルブック『雨のち、サチ。』(光文社)を発売した。スタイリング:乾 千恵 【衣装】ジャケット、ベスト、パンツ(すべてテラ/ティースクエア プレスルーム) レースキャミソール(ユナス/エストネーション) ネックレス、ピアス、バングル(すべてピルグリム/ZUTTOHOLIC) スニーカー(デイト/ティースクエア プレスルーム)
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