マイナビニュース・エンタメチャンネルの新たな定番記事を目指すお試し企画「日曜トライアル」。今回は、マイナビニュースがこれまでに取材してきた記者会見で、とりわけ独自の存在感を放っていた人を取り上げる【だから、記者会見はおもしろい】をお送りする。
第1回は、文字起こしをしながら、その美しい話し言葉にうっとりとしてしまう俳優・上川隆也を取り上げる。

○映画『二流小説家 -シリアリスト-』完成披露会見より(2013年6月6日掲載)

同作が初主演となる上川は、「自分の出演した作品を見るのはもともと照れくさくて、抵抗感が拭えないたち」と説明し、「それを……あろうことか大きなスクリーンに映し出されたものですから(笑)」と明かすと、片瀬那奈がすかさず「何年やってるんですか(笑)」と突っ込み。

照れ笑いを浮かべた上川は、「いつもだったら撮り終えると完成を待つばかりという心境になるんですけども、今回は取材を受ける機会が多かったものですから、撮り終えたあとから『自分が主演をしたんだ』と遅れて波が届くような感じで、自覚していきました」と新鮮な感覚を伝えた。
○テレ東系ドラマ特別企画『テミスの剣』製作発表記者会見より(2017年9月24日掲載)

52歳にして20代を演じることになった上川だが、「端的に申し上げて、20代を演じることには多大なる抵抗がありました」と苦笑。「舞台ならさほど抵抗なくやれる。翻って考えて、舞台でやれるんなら開き直ってやって仕舞えばいいんじゃないか」と考えを変えたことを明かした。

そして「ある種愚かしさも持ち合わせていたような若さというものが、自分の中にかけらでも残っていないかと探りながらの撮影でもありました」と振り返り、「そうしたアプローチをしていく時間は今となっては楽しかったなと思っています」と魅力を語った。

○舞台『魔界転生』制作発表会見より(2021年3月23日掲載)

緊急事態宣言が解除されたが、いまだ感染が止まらない新型コロナウイルス。稽古も感染拡大防止の観点から最大限の注意を払っているそうで、上川は「マスクを常につけ、しかもそれを二重マスクでみんな臨んでいます。自分の声がどれだけ届いているのか測りづらいところはありますね」と苦労を語りつつ、「接触を避けながらお芝居するのは全くもってございません」と演じる時は従来通りだという。

また、演出を手掛ける堤は「やはりこの時代、人と人の距離や接触を減らす、面積単位の人数の問題すら語られる時代になってしまいました。人海戦術そのものが厳しくなっています。
相互守る術をルールとして作りながら、今回はできるだけ簡略化や省力化、でも最大の効果を狙う装置転換を考えています」とし、「一番重要な演出ポイントは人間の芝居やアクション、感情表現。芝居の深さやスピード感はいけるんじゃないかと実感しています」と前作以上の出来に自信を見せていた。
日本テレビ系ドラマ『花咲舞が黙ってない』制作発表会見より(2024年4月3日掲載)

上川は、前作を立ち上げた加藤正俊プロデューサーへの思いを語る場面も。「加藤正俊さんとは2015年の作品が終わった後も何度となく、お酒の席などでご一緒させていただいていて、そのたびごとに“またやりたいね、花咲舞”という話は持ち上がっておりました。残念ながら2022年にこの世を去ってしまった加藤さんは、今回も“シリーズプロデューサー”としてこの作品に名を連ねています。ですから、今回の『花咲舞』の中にも加藤さんの思い、伊吹は息づいているものと僕は信じておりますし、その作品に改めて役柄を変えて参加できること、本当にうれしく思っています」と心境を語った。
○テレ東系ドラマ『能面検事』記者会見より(2025年7月7日掲載)

――七夕にちなみ、「ドラマのこんなところを見てほしい」と思うことを短冊に書く企画で、「初心忘るべからず」と記した理由を聞かれて。

上川「世阿弥さんの『風姿花伝』の中の言葉なのですが、実は、僕自身が映像のお仕事をさせていただくようになるにあたって、父が机の上にメモとして置いておいてくれた言葉なんですね。その父もすでに鬼籍に入っておりますが、それをこの作品では思い出させられるというか。これまでにないものに臨むのだからこそ、この言葉をどこかで携えていたいと思っているのと同時に、この言葉はどこかで不破という男の中にもあるのではないかと思ったりもするんです。彼がなぜ能面になったかというエピソードも後々明かされていくのですが、そこにも関連づけられるような言葉だと。不破でもあり、僕の中にもある言葉として、書かせていただきました」
編集部おすすめ