●CS後に郡司裕也から届いたメッセージ「あとは任せた」
ダイエー時代からホークスファンであることを伝えると、驚いたような表情を見せながら、心の底から感心したように「すごいですね!」と白い歯を見せる。いつしかファンから、親しみを込めて“わいのタツル”と呼ばれるようになった柳町達(福岡ソフトバンクホークス)の笑顔には、優しさと実直さ、そしてどこか繊細さが交錯する。
○近藤健介の「練習しなきゃダメだ」に感銘
2025年、12年ぶりの単独最下位からパ・リーグ連覇、悲願の日本一を達成したホークス。その激動の裏側を追った長編ドキュメンタリー映画『HAWKS SP!RIT -273日の記憶-』は、柳町の貴重な“素顔”も捉えている。
「日本一という結果だけを見ると、すごく順風満帆で良いことが多かったシーズンのようですが、実際は良いことばかりではなく、裏側では悪いこともありながら、それに対してしっかり練習して準備したり、考えたり。苦悩の部分は密着してもらえないと分からないと思いますので、そこがみなさんに伝わったら嬉しいです」
光と影の中で選手、そして小久保裕紀監督が紡ぎ出す言葉の数々は、選手のみならずファンにとっても希望の灯となる。柳町の心に突き刺さったのは、近藤健介の高い意識を象徴する“叫び”だった。
「やっぱりコンさん(近藤健介)の『練習しなきゃダメだ』と言うシーンはすごいですよね。あれだけ結果を残している人が言い放つあの言葉、すごく響きます」
○高校時代の反省と誓い「もうこれ以上、絶対に後悔はしたくない」
本作は「練習」と真摯に向き合う選手たちの姿も映す。奇しくも昨年末、牧原大成が臨んだ契約更改で、データに偏る若手選手の練習量が少なくなっているのではと提言したことが話題になった。柳町にもまた、「練習」に対して強い覚悟がある。
「結果を出すために何をやるべきなのかと考えれば考えるほど、練習というものは勝手に、必然的に増えていきます。量を増やすというより、もう“当たり前に増えていくもの”といいますか。自分でそうやって考えながらやらないと、結果は出せないものだと思います」
高校時代から、重く引きずっている後悔がある。
「本当に僕自身、高校時代に後悔していることがあります。納得のいくまで、しっかり練習すべきだったと……。『今やらなきゃいけない』と常に危機感があるのはその経験があったからこそですが、練習を含めてきちんと野球と向き合えていれば、もっと高校時代に良い結果が出たはずです。もうこれ以上、絶対に後悔はしたくない。だから今、真剣に野球に打ち込めています」
○慶応大時代の“侍ジャパン”が転機に
その“後悔”は、痛みを伴った苦い記憶として彼の脳裏に刻まれている。夏の大会を終えた直後、最善を尽くさなかった己を今更ながら恥じた。
「高校で夏の大会が終わって……ですね。その後は大学に入ったのですが、高校の夏が終わったときに、『もっと頑張れたんじゃないか』と悔しさを一番感じました。甲子園には程遠かったので、その悔しさを大学時代にぶつけることができたのかもしれません」
プロの道を夢見るには、少し距離があると感じていた中での大学進学。しかし、後悔を背負いながら野球と一心に向き合う柳町を、野球の神様は見捨てなかった。
「野球は継続していきたいと思っていましたが、大学進学を決めたとき、実は『もうプロは遠いかもな……』と諦めかけていたんです。
○CS敗戦後、ホークスナインに拍手を送った郡司裕也
転機となったのは、大学4年時に招集された“侍ジャパン”での経験だった。アメリカ戦での手応えは、大きな弾みとなる。
「大学4年のときに侍ジャパンとしてアメリカ代表と試合をして、首位打者を獲りました。侍ジャパンに選ばれたこともですが、そこでしっかり結果を残せたことが、自分の中ですごく自信にもなりました」
共に代表として名を連ねていたのが、柳町と同じ慶応義塾大学野球部でキャプテンだった郡司裕也(北海道日本ハムファイターズ)。柳町にとって、かけがえのない同期の戦友。その名前を出すと、彼は優しい笑みを浮かべる。
「そうですね、彼と一緒に代表入りしました。大学時代は、言葉で引っ張るというより、試合でしっかり結果を残して、そういう姿で引っ張るタイプ。すごく頼りになるキャプテンでした」
今ではプロの世界で、ユニフォームこそ違えども変わらぬ友情を築いている。
「もうめちゃくちゃ仲良いです(笑)。親友と言っていいレベルだと思います。プロに入ってからも結構頻繁に連絡取ってますね。
2025年のクライマックスシリーズでは、敵味方に分かれて戦った二人。ファイターズは最終戦でホークスに敗れたが、郡司がホークスの選手たちに向けてベンチから拍手を送る姿は大きな話題となった。
「全力でぶつかり合ったからこそお互いを称え合う姿は、今も昔も変わらないです。CS終わった直後も、『あとは任せた』と連絡をくれました」
環境が変わっても、絆は変わらない。今も昔も、そしてこれからも。かつての仲間とプロの舞台で真剣勝負を繰り広げられること──それは、柳町にとって何よりの誇りであり、喜びだ。
「確かに……関係性は全然変わらないですね(笑)。何よりも、お互いライバルチームで野球をできていることが、僕にとっては本当に嬉しい。大学時代に一緒に戦っていた二人が、CSで敵チームとして対戦し、しかもあれだけヒリヒリするような試合をすることができたのは幸せでした。良きライバルでも、良き親友でもある……大切な存在です」
2025年、郡司は4番としてもチームを牽引。111試合に出場し、打率.297・10本塁打・42打点の好成績を残した。
「試合に出てさえいれば、必ず活躍すると思っていました。長打を打てますし、右方向にもコンパクトに打ち返せる技術力の高いバッターです。すごく器用なので、活躍は想像できていました」
先発の柱としてホークスを優勝へと導いてきた有原航平の電撃移籍。さらなる厚みを増したファイターズの先発陣は、ホークスにとって今年も脅威となる。
「そうですね……すごく手強い相手になりそうです」
●小久保監督「自分で考えて、自分で実行して、突き抜けろ」
○「親近感を持って応援したくなるような選手であり続けたい」
映画の中で、大きな存在感を放っていたのは小久保監督だ。言葉で選手を導く姿は、映像を通して多くの人の心にも訴えかける。
「4月中はすごく苦しくて大変な部分がありましたが、そういう苦しい状況の中でも自分の芯を貫く監督だと感じました」
柳町自身も、大きな壁にぶつかった。交流戦で首位打者を獲得した直後に30打席ノーヒット。どん底の中で監督から贈られた言葉は、野球人生に大きな影響を与える。
「試合前の練習で、『苦しいときに助言を求めて参考にしたくなる気持ちはわかる。でも、苦しいときに誰かに助けてもらうと、次にまた同じ状況になったとき、自分で打破できなくなる。今はしっかり自分で乗り切れ。
愛情をもって選手を名前で“呼び捨て”にする小久保監督のスタイルもまた、ファンの注目を集める。
「そうですね。最初からずっと“タツル”と呼ばれていました」
昨シーズン中、ネット上では「柳町」から「タツル」に変わったのではないかという声もあったが、「そうなんですか!?」と驚きをあらわにする。
「あれ? どうだったかな……あまり意識したことないですね(笑)。僕の記憶の中では、ずっと“タツル”呼びだったと思います」
そして、今では「わいのタツル」として、チームの象徴に。タオルが累計販売数1万枚を超えたことも話題になった。
「そうみたいですね! 詳しい金額は聞いてないですけど(笑)。もう僕のタオルといえばアレですよね。
彼の活躍とともに、Xでは「#わいのタツル」の輪が広がる。その愛称を通して繋がる“タツルの保護者”たちについて、本人はこう語る。
「ここまで流行るとは思わなかったですけど、今となってはすごく嬉しいですね。みなさんが僕に親近感を持ってくれて、応援したくなるような選手であり続けたいです」
○柳町達にとっての「一度壊す」とは
昨シーズンにキャリアハイの成績を残し、一躍“主力”へと駆け上がった柳町達。迎える2026年、彼は“追われる側”になる。
「気持ち的には変わらずに。今シーズンは今シーズン、来シーズンは来シーズン。僕自身にとっても、新たな挑戦のシーズンになります。もう一回しっかり体を作って、悔いが残らないように挑みたいです」
新たなポジションへの挑戦も始まる。外野に加えて、一塁を守る可能性もあるという。
「ファーストは未知数です(笑)。しっかり準備をして、あとは監督に委ねます」
パ・リーグ3連覇、2年連続日本一に向けて、小久保監督が新たに掲げたテーマ「一度壊す」。選手として大きな転機を迎えた柳町もまた、その言葉をしっかりと受けとめている。
「タイトルホルダーになることはできたのですが、いったんは忘れて切り替えたいです。良かった部分を一回壊して、来シーズンは新たな気持ちで、レギュラーとして試合に出るための競争を勝ち抜くという強い思いを貫いて、これまでの成績は関係なく、“新たな自分”で挑みたいです」
インタビューの最後に、「ありがとうございました! がんばります!」と笑顔を見せた柳町達。だが、その表情の裏には、幾度となく味わった後悔、そしてそれを乗り越えてきた覚悟が刻まれていた。
スランプ時に小久保監督から授かった言葉「苦しいときこそ、もっと苦しめ」、親友でありライバルでもある郡司との関係性「全力でぶつかり合ったからこそ、お互いを称え合える」、そして柳町自身の強い信念「もうこれ以上、絶対に後悔はしたくない」――それらの積み重ねが、今の彼を形作っている。
そして、2026年。新たな頂に挑むその姿は、きっとファンだけでなく、同じ時代を生きる人々の励みにもなるはずだ。
「諦めなければ、自分の力で必ず乗り越えていける。だからこそ、もっと強くなれる」
後悔と友情と覚悟を胸に、“わいのタツル”はこれからもバットを振り続ける。

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