藤井聡太王将に永瀬拓矢九段が挑戦するALSOK杯第75期王将戦七番勝負(日本将棋連盟主催)は、両者1勝で迎えた第3局が2月3日(火)・4日(水)に東京都立川市の「オーベルジュ ときと」で行われました。対局の結果、力戦調の相居飛車から抜け出した永瀬九段が91手で勝利。
○異筋の金に観戦者あ然
ともに先手番で勝利して迎えた第3局。後手となった藤井王将は2手目に角道を開け、雁木を主軸とした受け主体の作戦を披露しました。しかしこの直後、早繰り銀の速攻を見せられたのに反応して右金を上部にドリブルさせたのが観戦者を驚かせた積極策。すでに局面は収まりがつかない形で、藤井王将の単騎の金を永瀬九段がどういなすかに注目が集まります。
異例の攻めを目の当たりにした永瀬九段は慎重に対策を考慮。それでも指し手のペースが落ちなかったのは「(本譜の53手目)までは進めてみようと思っていた」(局後の感想)からで、その確かな手つきからはタイトル奪取に向けた執念と用意周到さがうかがわれました。競り合いが一段落した局面は先手玉が危険ながらも、香得と駒効率の差で先手有利です。
○永瀬九段のパーフェクトゲーム
封じ手開封以降は永瀬九段の独擅場となりました。と金を捨てて金取りをかけたのがスピードアップの手筋で、取られそうだった飛車まで成り込めては勝負あり。2日目午後のおやつが出るころには期待勝率は先手90%近くにまで達しており、早い終局も予想されました。不安定に見えた永瀬玉ですが、結局2日目は一度も王手されることなく終局を迎えます。
終局時刻は18時13分、最後は藤井王将が形を作って投了。藤井王将が用意した積極的な仕掛けに対しても深い事前準備で対策を用意、リードを奪ってからは丁寧な読みで逆転の目を摘んだ永瀬九段らしさが光る快勝譜となりました。敗れた藤井王将は「(攻めを)呼び込まれる形で実際に進めてみると自信が持てない展開に。認識が甘かった」と敗局を振り返りました。
注目の第4局は2月17日(火)・18日(水)に和歌山県和歌山市の「和歌山城ホール」で行われます。
水留啓(将棋情報局)
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