「普通に話しているつもりなのに、相手をイラッとさせてしまった」「よかれと思って言ったのに、傷つけてしまった」「職場の同僚や友人の輪に、なかなか溶け込めない」こんな悩みはありませんか。この記事では、これまで2万人以上の個別相談を受け、延べ6万人以上に企業研修・講演を行ってきた大野萌子氏の著書『いつも感じがいい人はこんなふうに話している』(アスコム)から一部を抜粋して紹介。
誰でも感じがいい人になれる、言葉の選び方について解説します。

今回のテーマは『無意識のうちに使ってしまう「安心できない言葉」の数々』。

○無意識のうちに使ってしまう「安心できない言葉」の数々

身近なフレーズのなかにも、知らず知らず相手を追い込んでしまうものがあります。

次に挙げるのは、あくまで例ですが、しょっちゅう使ってしまいがちな言葉です。

こうした言葉も、どうすれば相手を「安心」させることができるか、という視点で考えれば、言い換えの言葉が自然と思い浮かぶようになります。

「この言い方は、相手より自分の都合を優先させていないかな」ということを心の片隅に置いておくだけでOKです。

次の言葉の「どこが安心できないのか」、「どう言い換えればよいのか」を考えてみてください。答えを見る前に、いったん立ち止まって考えてみることで、「感じのいい思考」があなたのなかにインストールされていきます。
○~してあげる

安心できない理由

「あげる」には「自分が上で、相手に施す」というニュアンスが含まれています。言った側は親切のつもりだったとしても、言われた側はムッとすることもあるので要注意です。

言い換え例

ポイントは上から目線を外すこと。そして相手の選択肢を奪わないことです。
「よかったら私がやるよ」「私がやろうか?」と言えばグンと印象がよくなります。
○~していいよ

安心できない理由

「でも」や「普通は」と同じく相手の自由や立場を無意識に奪う構造にあります。やさしい許可や親切のようでいて、「していいよ」は"私が許す"という上から目線になっています。相手の意思より自分の判断を優先する表現で、相手に「あなたの選択は私の承認があってこそ」と感じさせがちです

言い換え例

「~してみるのはどう?」「~するのもいいかもね」と「提案」の言い方にして、相手に選択してもらいましょう。「~してくれたら助かる」「~してくれたら嬉しい」という、「感謝」「歓迎」で相手に自分の気持ちを示すのも効果的です。
○あなたのためを思って

安心できない理由

一見、親切心のかたまりのような言葉です。しかし、受け取った側はどう感じるでしょうか。シチュエーションにもよりますが、多くの場合「本当に私のため?」と心がざわつくはず。そこには、話し手の意見や価値観を押しつける響きが潜んでいます。

言い換え例

やはり相手の自由意思の尊重がポイントです。「私はこう思うけど、あなたはどう?」という言い方で、相手がどう思うか、どうしたいのか聞いてみるのがいいでしょう。相手に「提案する」、その上で選んでもらうことがポイントです。

○みんなそう言ってるよ

安心できない理由

一見、意見の裏付けを示しているようで、実は集団の圧力を使った否定です。相手の考えに対して「多数派は違う」と告げることで、「自分の意見は少数派で価値がな「い」と感じさせます。これを繰り返すと、相手は自由な発言を避けるようになり、沈黙を招くことに。「普通」や「常識」と同種類のNGワードです。

言い換え例

「みんな」という同調圧力を利用せずに「私はこう思う」と言うのが基本です。ただし、実際に多数の人が同意見の場合には、「他の人からも似た意見が出ていたよ。あなたはどう感じる?」と言えば、情報を共有しつつも、相手の考えも尊重できます。
○いや、そうじゃなくて

安心できない理由

かなり強めの否定ですが、これもつい口をついて出やすいフレーズです。「いや」で始まる瞬間、相手の発言は一度"間違い"として扱われます。それによって相手は一気に警戒モードに。繰り返しになりますが、否定の言葉を冒頭に置く癖は、議論の雰囲気を冷やし、意見交換を難しくします。

言い換え例

指摘したい内容があっても、まず「なるほど」と一拍置くだけで印象は大きく変わります。
「なるほど、その視点もあるね。私が考えていたのはこうで・・・・・・」と、まず受け止めてから自分の考えを述べてみましょう。
○それよりさ

安心できない理由

話題を変えたい時の常套句ですが、相手の話を打ち切るサインにもなります。自分にとっては軽い話題転換でも、相手にとっては「あなたの話は重要じゃない」と受け止められかねません。特に、上司と部下という関係で、上司側が使いがちです。こういう言葉を常日頃から使っていると、無自覚にハラスメントをしてしまう恐れも。

言い換え例

「この話が落ち着いたら、別の件も相談したい」というように、相手を尊重しつつ、自分の言いたいことも言いましょう。相手の話が長い時は、時として聞くのが苦痛な場合もありますが、きちんと最後まで「聞き切る」という姿勢は大事です。
○別にいいけど

安心できない理由

一見、譲歩のように見えますが、上から目線の許可の響きが潜みます。「まあ、あなたがそうしたいなら勝手にどうぞ」という温度が伝わり、相手は気持ちよく動けません。本音では反対なのだけど、角が立つのも嫌だから、「許可する」という立場を装って、自分のプライドを守ろうという姿勢が透けて見えます。

言い換え例

やはり「許可」ではなく、相手に選んでもらう言い方に換えることが重要です。
協力したいなら、「それも面白いね、私はこう思う」と言えば、相手を尊重しつつ、自分の意思も示せます。ここでも受け止めてから、提案するという姿勢が大事です。

安心できない言葉の数々をご紹介しましたが、これらは一部です。ほかにもさまざまなケースがあるので、全部を覚えようとするのは無理な話です。

ですが、基本的な考え方は共通しているので、その考え方さえ身につければ、いつどんな時でも感じよく対応できます。

つまり、エッセンスは共通しているのです。

まずは、会話のなかで否定的な言葉を使わない代わりに、肯定的なクッション言葉などで、いったんは「受け止める」ことが先決です。

そして相手に言葉をかける時は、「お願い」「提案」の形をとること。

さらに、こちらの言い分を相手に押し付けるのではなく、相手に主体的に「選択」してもらう、という流れを守れば安心感を与えられます。

○『いつも感じがいい人はこんなふうに話している』(大野萌子/アスコム)

どうすれば、感じのいい話し方ができるのか。 そもそも、感じが悪い言葉遣いも、悪気があって発せられることはほとんどありません。むしろ、本人は「よかれ」と思っていることさえあります、いわば無意識に感じの悪い言葉が出てくる状態です。
「無意識なら防ぎようがない。やっぱり、どうしたらいいのか分からない」と思うかもしれませんが、大事なのは「考え方」を変えること。普段から「感じのいい考え方」をしていれば、感じのいい言葉が頭に浮かんできます。この本では、読むうちに「感じのいい人の考え方」が自然とインストールされるように工夫しています。「考え方を身につけよう」と頑張る必要はありません。本文中に身近なシーンを題材にした具体例や、根拠となる心理学的エビデンス、さらにあなた自身に考えてもらう設問も用意しました。つまり、「読んで終わり」ではなく、「読んでいるうちに変わる」本。いってみれば、読むだけで感じがよくなる本です。読み終える頃には、あなたの中に「感じがよくなる考え方」がしっかりと根づいているはずです。
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