日立製作所は2月25日、水を電気分解して水素を製造する水電解システム向けに、10kV級の高電圧に対応した絶縁配管技術を世界で初めて開発し、実証機による耐電圧試験に成功したと発表した。この技術により、水電解システムの設置面積を最大50%削減できる想定で、都市部や既設プラントの狭小地での水素製造普及促進につながるとしている。


従来の水電解システムでは、電力系統から送電された高電圧を変圧器で段階的に低電圧へ変換し、1kV未満の電圧で水電解スタックを駆動していた。今回開発した技術では、スタックを10kV級の高電圧で直接給電できるようになるため、電圧変換に必要な変圧器の数を大幅に削減できるという。

開発にあたっては、同社が培ってきた高電圧インバータの知見や複合材料などを用いた独自の絶縁配管技術を採用。絶縁性に加えて、耐圧・耐熱・耐食性や水素ガスのバリア性といった多くの性能を同時に満たす複合材料の選定が課題となったが、各素材の絶縁抵抗やガス透過度などの特性を個別に測定・評価し、最適な材料構成を導き出した。その結果、従来のセラミック製配管では難しかった高い絶縁性能と機械的強度の両立を実現したとのことだ。
実証機を用いた試験では、配管部分に10kVの電圧を加え、水素ガスや水が混在する実際の運用環境を模擬して、絶縁破壊や漏えいなどの異常が発生しないことを確認している。

今後は、国内外のパートナー企業との連携や研究機関との協創を通じて、MW級以上の大容量システムの開発・実証を推進する。また、将来的には高電圧水電解システムで得られるデータを、同社のプラントおよび電力系統運用のドメインナレッジと統合し、AIで社会インフラを革新する次世代ソリューション群「HMAX by Hitachi」における要素技術の一つに発展させる方針だ。
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