楽天グループと楽天銀行は2月25日、フィンテック事業の再編に関する基本合意書を締結したことを発表した。両社は2024年4月1日付で開示した「フィンテック事業再編に向けた協議の開始に関するお知らせ」でフィンテック事業再編に関する協議開始を公表し、その後2024年9月30日付で再編の取り止めを公表していた。


2026年2月25日に開催された各社取締役会の決議に基づき、楽天銀行を含む楽天グループのフィンテック事業の再編に向け、再度協議を開始することについて合意し、再編に関する基本合意書を締結した。
○再編の形態

具体的には、楽天銀行、楽天カード、楽天証券ホールディングスなどのフィンテック事業全体を一つのグループに集約する組織再編を想定している。

再編後においても楽天銀行は引き続き楽天エコシステムを形成する上で楽天グループの重要な連結子会社であり、フィンテック事業は楽天グループのコアとなる事業セグメントの一つであるとの位置付けには変更はないという。

また、組織再編の具体的な形態や、楽天カードの普通株式の14.99%を保有するみずほ銀行、楽天証券の普通株式の49.00%を保有するみずほ証券の再編への関与方針については現時点で未定であり、今後協議が進められる予定。

なお、これらは発表時点における方針であり、監督官庁の許認可などを含め、今後の協議・検討の結果次第では、楽天グループのさらなる組織再編が必要になる場合や、今回の再編の全部または一部を実施しないという結論に至る可能性もあるとのことだ。
○再編に関する協議再開始の背景と目的

楽天グループは国内外において、Eコマースやトラベルなどのインターネットサービス、クレジットカードをはじめとした、銀行、証券、電子マネー、スマホ決済といったフィンテックサービス、携帯キャリア事業などのモバイルサービス、プロスポーツなど広い分野で70以上のサービスを提供し、楽天会員を中心としたメンバーシップを軸に「楽天エコシステム(経済圏)」を形成している。

国内外の会員が複数のサービスを回遊的・継続的に利用できる環境を整備することで、会員一人当たりの生涯価値(ライフタイムバリュー)の最大化と顧客獲得コストの最小化の相乗効果の創出、グループ収益の最大化を目指す。

フィンテック事業の各サービスは、人々の生活のニーズに応える総合金融サービスとして、会員基盤が拡大している。各フィンテック事業においては、キャッシュレス社会における事業全体のさらなる成長に向けて、これまで各サービス間の連携強化を進めてきた。

その一方、金融サービスに対する顧客ニーズが多様化し、よりシームレスかつ機動的なサービス運営が求められる中、楽天グループは今後の経営戦略と経営資源の最適配分、グループストラクチャーの最適化を継続的に検討中だ。

こうした検討を踏まえ、楽天グループと楽天銀行は、2024年4月1日付で開示した「フィンテック事業再編に向けた協議の開始に関するお知らせ」にてフィンテック事業再編に関する協議開始を公表し、その後に総合的な検討と協議を進めていた。

楽天グループにおいて複数の選択肢を比較検討した結果、当時は必ずしも再編を行うことがフィンテック事業のエコシステムのさらなる拡大と競争優位性の向上にとって最適とは言い難いとの判断に至り、2024年9月30日付で再編の取り止めを公表した。


その後、楽天グループは現在のグループストラクチャーの下でフィンテック事業全体の強化を図ってきたが、こうした事業環境の変化を踏まえ、楽天グループとしては楽天エコシステムのさらなる拡大と企業価値の長期的・持続的拡大の観点から、フィンテック事業のグループストラクチャーを改めて最適化することで、各ビジネス間の連携を強化し、データ連携やAIの活用、フィンテック事業全体の調達コストの最適化など、フィンテック全体戦略の検討を加速させる体制構築が必要との認識に改めて至り、2026年1月14日に楽天グループより楽天銀行に対して再編に関する再検討を提案。

楽天銀行は事業拡大の実現に向けて、楽天エコシステムを回遊する楽天会員を効率的に獲得し、かつ楽天グループ各社と協業して楽天エコシステムに存在する資金決済ニーズや資金需要などに対して銀行サービスを提供することにより、顧客数と取引機会を増やし、業容拡大の加速を狙う。

そうした中、国内金利の上昇に伴う調達コストの増加などの環境変化や金融サービスに対する顧客ニーズの多様化が進む状況を踏まえ、銀行・カード・証券の連携を強化することで、グループ内での迅速かつ機動的な意思決定や、より深度のある連携を実現可能とし、フィンテック戦略を一層加速できる体制を構築できると判断した。

これにより、金利上昇においても強固な預金調達力を有する楽天銀行の強みを最大限に生かし、多様化する顧客ニーズに応える総合フィンテック会社としての成長を、楽天銀行単独で事業運営を続ける場合と比べて一層加速できると考え、再編の検討・協議を進めることを決定した。

この再編を通じて、フィンテック事業のエコシステム強化と、より機動的かつ柔軟な意思決定を可能とする経営体制の構築を図ることで、楽天エコシステム全体の成長を実現し、楽天グループ全体及び楽天銀行のステークホルダーにとって大きな価値をもたらすと期待できるとのことだ。
編集部おすすめ