「健診で引っかかったけど、症状がないから放置している」──そんな方はいませんか?
実は、糖尿病や脂肪肝、慢性的な炎症といった身近な病気が、将来のがんリスクと深く関わっている可能性があります。内科医の中路幸之助先生は、がんは突然発生するものではなく、長年の積み重ねの結果だと話します。
今回のテーマは「がんと関連が深い疾患や状態」です。
肥満・糖尿病が招くリスク
代表的なものとして、肥満やメタボリックシンドロームは、大腸がん、閉経後の乳がん、肝がん、子宮体がんなどと関連することが分かっています。
なぜ肥満ががんにつながるのか。体に脂肪が蓄積すると、慢性的な炎症が起きたり、ホルモンバランスが崩れたりします。つまり、太っているというだけで、知らないうちにがんが育ちやすい環境を作ってしまっている可能性があるということです。
そしてもう一つ、2型糖尿病も見逃せません。高血糖の状態が続くと、細胞の増殖を促すシグナルが強まったり、DNAが傷つきやすくなったりします。特に肝がん、大腸がん、膵がん、乳がんなどとの関連が指摘されています。糖尿病は自覚症状が少ないまま進行しやすいため、健診での血糖値チェックが重要だと中路先生は話します。
環境要因や免疫状態も影響する
さらに、がんのリスクは、体の内側だけでなく、私たちを取り巻く環境にも潜んでいると中路先生は指摘します。
アスベストやベンゼンなどの化学物質、大気汚染やPM2.5への長期曝露も、肺がんや中皮腫などのリスクを高めます。つまり、私たちが毎日吸っている空気の質も、将来のがんリスクに影響する可能性があるということです。
「がんは遺伝だから、生活習慣を変えても意味がない」そう思っている方も多いかもしれません。しかし中路先生は、がんは遺伝だけで決まるものではないと話します。自分でコントロールできる部分に目を向けることが、将来のがんリスクを下げることにつながります。
まずは健診結果をちゃんと見る、気になる数値があれば相談してみる。そんな一歩から、がん予防をスタートしましょう。
○中路 幸之助(なかじ こうのすけ)
1991年、兵庫医科大学卒業。兵庫医科大学、獨協医科大学での勤務を経て、1998年に医療法人協和会に入職。2003年より現在まで、医療法人愛晋会 中江病院 内視鏡治療センターにて臨床に従事。専門はカプセル内視鏡・消化器内視鏡・消化器病。学会活動および論文執筆にも積極的に取り組んでいる。【資格・役職】日本内科学会 総合内科専門医・指導医/日本消化器病学会 専門医・指導医・学会評議員/日本消化器内視鏡学会 専門医・指導医・学術評議員/日本消化管学会 代議員・近畿支部幹事/日本カプセル内視鏡学会 認定医・指導医・代議員/米国内科学会(ACP)上席会員(Fellow)
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