第84期順位戦(主催:朝日新聞社・毎日新聞社・日本将棋連盟)は、C級1組の最終11回戦の一斉対局が東西の将棋会館で行われました。このうち昇級候補同士の直接対決となった杉本昌隆八段―都成竜馬七段の一戦は112手で都成七段が勝利。
○勝てば昇級の大一番
3つの昇級枠をめぐり31名が争う今期のC級1組。7勝2敗の杉本八段と8勝1敗の都成七段が盤を挟む本局は、勝った方が昇級を手にする大一番。杉本八段の先手で始まった対局は後手の都成七段が趣向を披露。角を端に覗いて3筋の歩を突かせたのが誘いの隙で、手に乗って金銀を盛り上げる独自の序盤術を展開します。対する杉本八段は冷静に雁木に組み上げました。
形勢互角のまま終盤戦へ。先にリードしたのは杉本八段でした。桂打ちの王手に対して丁寧に面倒を見たのが薄い玉形を苦にしない好着想で、手順に駒を蓄え反撃を開始。この数手後、満を持して打った桂が痛快な飛車角両取りとなった局面で中継の将棋ソフトは先手に80%近い期待勝率を示しましたが、一分将棋に入ったところで杉本八段に疑問手が出ました。
○勝敗分けた桂の王手
秒読みの声に追われるように指した桂成りは銀を取りながらの王手で自然ですが、この手が敗着になったのが杉本八段の不運でした。桂を渡したことにより後手からは△6七桂という必殺手が生じており、一転して後手玉に詰めろをかけ続けなければならなくなったのが逆転のカラクリでした。
終局時刻は23時14分、最後は後手玉に詰みなしと認めた杉本八段が駒を投じて熱戦に幕が引かれました。一局を振り返ると、最初は杉本八段が丁寧な指し回しで優位に立つも、決め手を与えず辛抱強く指した都成七段の勝負術が奏功した逆転譜に。勝った都成七段は9勝1敗で首位昇級を決定。「本当に最後まで大変な将棋だった」と熱戦を振り返りました。
都成七段に続いて、西田拓也六段と岡部怜央五段も昇級を決めています。
水留啓(将棋情報局)
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