2026年2月、アメリカとイスラエルによる対イラン侵攻により、中東情勢は緊張を増している。連日のニュースでは「ホルムズ海峡封鎖」「第3次オイルショック」といった言葉が飛び交い、株式市場も一時急落した。
しかし、『Financial Free College』(FFC)CEOの松本侑氏は「市場は過剰反応している可能性が高い」と指摘する。

今回の情勢で個人投資家はどう動くべきなのか。プロ投資家の視点から、冷静な投資戦略を聞いた。
○イランにとって「海峡封鎖」は自傷行為

今回の衝突拡大において、市場がもっとも懸念しているのが「ホルムズ海峡の封鎖」だ。原油輸送の要衝が断たれればエネルギー価格が高騰すると世間は警戒しているが、松本氏の見解は世間の常識を覆すものだった。

「結論から言うと、ホルムズ海峡の封鎖が長期化する可能性は極めて低いです。長くても1週間から2週間程度で収束に向かうと考えています。理由は、イランにとって海峡の長期封鎖は『経済的な自傷行為』にしかならないからです。イラン自身も原油産出国であり、輸出にはこの海峡を使わざるを得ません。封鎖を長引かせれば自国の歳入を直撃します」
続けて、松本氏は「海峡付近にはアメリカの艦隊が展開しているため、封鎖期間が延びればアメリカの軍事介入を招く結果となります」と話す。

仮に海峡が完全に封鎖されても、サウジアラビアやUAEには海峡を迂回するパイプラインが存在するため、物資輸送が壊滅的になることは考えにくいという。
○日経平均3%下落でも、全然怖くない理由

ホルムズ海峡の封鎖が短期的なノイズに過ぎないのだとすれば、現在の株式市場の反応は過剰と言える。


3月3日の終値ベースで日経平均は3.06%マイナス、TOPIXは3.24%マイナスとなり、日経平均構成銘柄のうち値上がりしたのはわずか5銘柄程度だった。SNSなどで悲鳴が上がり、売り急ぐ個人投資家がいる中、松本氏はこの下落を別の視点で捉えているという。

「今の相場は、エネルギーセクター以外の銘柄に関して言えば『絶好の買い場』になり得ます。足元の市場はほぼ全セクターが下落していますが、これは各企業の業績悪化によるものではなく、イスラエル・イラン情勢という“外部の地政学リスク”によって引き起こされたものだからです」(松本氏)

事態が短期で収束に向かえば、エネルギーコストの上昇も一時的なもので終わる。そうなれば、不当に売り込まれたエネルギー株以外の優良銘柄は、今回の情勢悪化前の水準まで戻っていく可能性が高い。

「逆に、今から原油ETFや原油の投資信託などに飛びつくのは危険です。現在は地政学的リスクによって価格が押し上げられていますが、事態が収束すれば原油価格は下がる可能性が非常に高いためです」(松本氏)

世界情勢が不安定になるほど、市場は過剰反応しやすくなる。だからこそ、感情ではなくロジックで判断する投資家にとっては、むしろ好機が生まれる。

パニックの中で売るのか、それとも冷静に機会を拾うのか。有事の相場では、その違いが長期の資産形成を大きく分けることになる。

西脇章太 にしわきしょうた 1992年生まれ。三重県出身。
県内の大学を卒業後、証券会社に入社し、営業・FPとして従事。現在はフリーライターの傍ら、YouTubeにてゲーム系のチャンネルを複数運営。専門分野は、金融、不動産、ゲームなど。公式noteはこちら この著者の記事一覧はこちら
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