「不動産投資はしたい。しかし数億円の資金を一つの物件に集中させるのは不安だ。」
近年、こうした声を多く聞くようになりました。


都市部の収益不動産は価格が高騰し、投資対象としてのハードルは年々上がっています。その一方で、資産として不動産をもつ重要性はむしろ高まっています。こうした状況の中で注目されているのが、タイムシェア別荘という新しい資産保有の形です。

今回は投資・資産運用の観点から、その有効性を整理してみたいと思います。
○少額から始められる“分散型不動産投資”

従来、軽井沢などのリゾート地における高級別荘は数億円規模の資金が必要でした。個人が投資対象として検討するには現実的な選択肢とは言い難かったのが実情です。

タイムシェア別荘は、一つの物件を複数の所有者が共有持分として取得する仕組みです。そのため、一般的には1000万円~3000万円台から所有が可能になります。

この特徴の本質は「安く買える」ことではありません。初期投資額を抑えることで資産分散ができる点にあります。

都市部の収益物件と、価格変動特性の異なるリゾート不動産を組み合わせることで、ポートフォリオ全体のリスクバランスを整えることができるのです。

さらにタイムシェア別荘は、投資対象でありながら実際に滞在して非日常的な時間を過ごすことができます。
多くの投資用不動産が「収益のための資産」であるのに対し、タイムシェア別荘は、「体験価値を伴う資産」です。この違いは長期保有への心理的な安心感にもつながります。
○所有権という裏付けが生む資産性と出口戦略の明確さ

タイムシェア別荘の最大の特徴は、「利用権(会員権)」ではなく不動産の「持分所有権」として登記される点にあります。

従来の会員制リゾート(ホテル)の利用権は、運営会社の経営状況や制度変更によって価値が大きく左右されることがあります。一方で持分所有権は不動産そのものに登記という形で裏付けられた権利です。運営者リスクを極小化し価格変動を抑えたうえで、売却や相続といった資産運用上の選択肢も確保される点は大きなメリットと言えるでしょう。

また人気リゾート地では供給が限られていることから、売却市場も徐々に形成されつつあります。

実際に購入価格を上回る水準で取引される事例も見られ、タイムシェア別荘が単なる「余暇のための所有物」ではなく、投資対象として成立し始めていることを示しています。
つまりタイムシェア別荘は、「使える資産」であると同時に「出口を設計できる資産」でもあるのです。
○法人活用と税務面から広がる可能性

タイムシェア別荘は、個人だけでなく、法人の資産戦略としても活用が進んでいます
福利厚生施設や役員研修、顧客との関係構築の場としても機能するため、投資資産でありながら事業価値を生み出す可能性を持っています。

税務面では、不動産の共有持分として取得するので建物部分が減価償却の対象となり、償却保証金や管理費などの費用計上が可能となるケースがあります。

また個人取得の場合、一般にリゾート地では固定資産税評価額が実勢価格より大幅に低くなる傾向があり、長期的な相続税対策に有効な資産として取り上げられています。


一例として、私の会社で令和5年に販売したタイムシェア別荘は、販売価格1,680万円に対し固定資産税評価額は167万円とほぼ10分の1になっています。

このようにタイムシェア別荘は、活用しながら資産を保有できる柔軟な運用対象として評価が高まりつつあります。

次回は、多様化するタイムシェア別荘の類型とそのマーケットの広がりを、実際の利用事例などを交えながら解説いたします。

小野博康 おのひろやす 1988年上智大学卒業後、住友銀行に入行。中野、西銀座、新橋、青山、渋谷と都内を中心に営業の最前線で法人顧客を担当し、特に不動産関連の融資で実績を上げる。2006年、法人営業部次長の時に転職し、不動産企業の役員として総務・経理から営業、M&Aの窓口まで経営全般に携わった。2010年には、日本初の「タイムシェア別荘」を企画し、一棟目の開発を担当。 2019年に株式会社アセンドホームへ入社し、2020年に代表取締役社長に就任。 同年、日本初の「複数棟所有型タイムシェア別荘」である『旧軽愛宕Club Orbit』を開発。2023年にはその第2弾となる『Club Orbit PILINA』を販売開始。いずれも軽井沢の自然と調和した高付加価値リゾートとして注目を集めている。 タイムシェア別荘の先駆者として、進化するリゾート市場の潮流を捉え、不動産の新たな価値創出に取り組んでいる。
宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、相続支援コンサルタント、2級FP技能士、空き家対策士 この著者の記事一覧はこちら
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