コンピュータ及びインターネット用のセキュリティ関連製品の開発と販売で有名なトレンドマイクロ社が2020年10月2日に公表したセキュリティ調査によると、2019年4月~2020年3月までにサイバー攻撃によって日本の企業や個人が被った被害総額は1億4800万円に上りました。

同調査によると企業が1年間に経験したセキュリティインシデントの71.9%は「フィッシングメール詐欺」でした。


そして次に多かったのは「不正サイトへのアクセス」で26.5%に及びました。サイバー攻撃は、一般企業だけでなく個人をターゲットにしたものも増加しているので心配になります。

PCでインターネットを利用するユーザーの多くはGoogle Chromeを使いますが、「ウイルスが検出されました」という警告表示を最近よく目にします。

そこで今回は、Chromeの警告表示が出る原因と対処法を詳しく説明します。




【Chrome通知】「ウイルスが検出されました」が表示されるのはどんなとき?



Google Chromeでインターネット検索をしていて「ウイルスが検出されました」という警告表示はよく目にしていると思います。

この警告表示が表示される原因は何でしょうか。

不正サイトにアクセスしてしまったとき



まず考えられるのは、コンピューターウイルスに感染するリスクのある不正なWebサイトにアクセスしてしまったことです。

不正サイトには大きく分けて4つの種類があります。

実際に存在する金融機関などを装い口座番号やクレジットカード番号を盗み取るフィッシング詐欺サイト、アダルトサイトや出会い系サイトで有名なワンクリック詐欺サイト、偽のソフトを購入させる偽のソフトウェア配布サイト、本物のWebサイトそっくりに作成された偽サイトの4つです。

誤ってこれら4つの危険Webサイトにアクセスすると「ウイルスが検出されました」という警告表示が出されます。

偽物の警告



もう1つ考えられるのは、人の心理を悪用したフェイク表示です。

「ウイルスに感染しています」という警告表示を見れば誰でも動揺します。

パニックになってしまうと冷静に物事が考えられなくなるため、偽のWebサイトの指示に従うままになり、サイバー犯罪者の待ち構えるリンクに誘導されてしまい大きな被害を受けます。

フェイク表示の数も被害者数もとても多いので注意が必要です。


【Chrome通知】「ウイルスが検出されました」が表示される原因は?



ウイルスに感染したことを警告する表示がどうして出るのか理由はこれで分かったと思います。

では、その原因をより深堀りしていきましょう。


「〇〇が次の許可を求めています」を許可したから



警告表示という「爆発」を引き起こす最初の「地雷」は、ポップアップです。

WebブラウザでインターネットにアクセスしてWebサイトをいろいろと訪問していると、「…が許可を求めています」というポップアップが画面上部に表示されることがあります。

これを許可すると訪問したWebサイトからお知らせが届くようになります。

広告がほとんどですが、中には危険なものもあります。

一度許可を出してしまうと一方的に通知が送られてくるようになります。

身の安全を考えて、不用意に許可を出さないようにしましょう。

「〇〇が当たりました!」なども同じ理由で表示されるようになる



最初の一歩を踏み出すと後戻りができなくなります。

ポップアップ表示に関しても同様です。

一度許可を出してしまうと相手側から色々な広告が通知されるようになります。

中には魅力的な内容のものもあり、思わずクリックしてリンクにアクセスしてしまうかもしれません。

しかし、アクセスしてしまったらもう後戻りはできなくなります。

「…当選おめでとうございます!」といった調子のいい宣伝に騙され、サイバー犯罪者の待ち構えるリンクに誘導されるケースはたくさんありますが、最初の一歩を踏み出さなければ防げることです。


【Chrome通知】「ウイルスが検出されました」の削除方法



ウイルス感染という危険なエリアに足を踏み入れる第一歩はポップアップによる通知許可であることが分かりましたが、このポップアップがPCの画面に突縁現れたらどうすべきでしょうか。

これから、「ウイルスが検出されました」という警告表示を誘発するポップアップをどのように消し去ることができるかを説明します。

ポップアップ画面を閉じる



通知許可を求めるポップアップがPC画面に表示されたら、興味本位で許可を出すのではなくすぐにポップアップを閉じるようにしましょう。

ポップアップの閉じ方は簡単です。


表示されるポップアップには必ず「×」が右隅に表示されています。

それを押せばポップアップは閉じます。

ただ表示されるポップアップ、特に悪意のある人物が意図的に表示させるポップアップの場合、「×」が小さく見にくい場合があります。

もしそうならフルスクリーンでブラウザを表示させれば「×」も大きく表示されるので、その後「×」を押してポップアップを閉じるようにしましょう。

ブラウザ自体を閉じる



悪意のあるポップアップの多くは、表示されるポップアップを消せない場合があります。

通常ポップアップの右隅に表示される「×」を何度押してもポップアップが閉じないというかなり悪質なものもあります。

もしポップアップが閉じないようなら、使用しているWebブラウザを終了してしまえばポップアップも消えます。

ポップアップに表示されている「×」を押そうとして間違って「許可」を押してしまうことだけは避けたいので、心配なら最初からブラウザを終了させるようにしましょう。

ブラウザが閉じれないときはタスクマネージャーを呼び出そう!(Windows)



ポップアップを消し去る方法で最も確実なのはWebブラウザを終了して閉じてしまうことですが、中にはWebブラウザを終了できない場合もあります。

ポップアップが表示されたWebサイト自体に細工が施されているためかもしれません。

もしWebブラウザを終了してポップアップが閉じられないなら、タスクマネージャーを開いて問題になっているプログラムを強制的に終了させる必要があります。

タスクマネージャーの起動方法と操作方法を説明します。

Windows PCの画面下にある「スタートボタン」を押しましょう。

Windowsのプログラムが一覧になって表示されます。
画面を下に向かってスクロールすると「Windowsシステムツール」があるのでクリックしましょう。

隠れメニューが表示されます。表示されている項目の中に「タスクマネージャー」あるのでクリックしましょう。


タスクマネージャーの簡易画面が立ち上がります。画面の下に「詳細」があるのでクリックしましょう。


タスクマネージャーの詳細画面が立ち上がります。画面の上メニューの中に「詳細」があるのでクリックしましょう。この画面でポップアップが立ち上がった問題のプログラムをチェックできます。見つけたら右クリックをしましょう。


プルダウンメニューが表示されるので「タスクの終了」をクリックしましょう。これで強制的にプログラムを終了できます。



【Chrome通知】「ウイルスが検出されました」の表示が変わらないときの対処方法



上記の方法を試しても警告表示が消えない場合はどうすべきでしょうか。

これから3つの対処法を紹介します。


怪しいアプリを削除してみる



まず行うべきことは、怪しいアプリを除去することです。

ウイルスに関する警告表示が出始めるようになったきっかけとなったソフトウェアがあるかもしれません。

無料ソフトウェアの中には、サイバー犯罪者が作成した悪意のあるものも多くあるので注意が必要です。

サイバー犯罪者のツールであるソフトウェアがPCにインストールされている限り、警告表示が消えることはありません。

削除方法を説明します。

先ほどの手順で「Windowsシステムツール」をクリックすると「コントロールパネル」があるのでクリックしましょう。


コントロールパネルが立ち上がるので「プログラム」の中にある「プログラムのアンインストール」をクリックします。


プログラムの一覧が表示されるので、除去したいプログラムを選び右クリックします。「アンインストール」のプルダウンが表示されるのでクリックしましょう。


閲覧履歴を削除してみる



次に行うべきことは履歴の削除です。

操作方法を説明します。

Google Chromeの右上に「︙」があるのでクリックします。プルダウンメニューが表示されるので「履歴」をクリックします。別のプルダウンメニューが表示されるので「履歴」をクリックしましょう。



履歴の一覧が表示された画面が立ち上がるので、画面の左側に表示されている「閲覧履歴データの削除」をクリックします。


「閲覧履歴データの削除」画面になるので「全期間」を選び、3つの項目にチェックが入っているのを確認したら「データを削除」をクリックしましょう。


ポップアップのブロック設定をする



履歴の削除が行えたら、次に行うべきことはポップアップのブロックです。

設定方法を説明します。

Google Chromeの「︙」を押し、プルダウンメニューを表示させましょう。表示されている項目の中から「設定」を選びクリックします。


「設定」画面が立ち上がったら、左メニューにある「プライバシーとセキュリティ」をクリックします。画面の右側に「プライバシーとセキュリティ」画面が立ち上がるので「サイトの設定」をクリックしましょう。


「サイトの設定」画面になったら「ポップアップとリダイレクト」をクリックします。


「ポップアップとリダイレクト」画面になったら「ブロック」を「ON」に設定しましょう。



【Chrome通知】「ウイルスが検出されました」が表示されないようにするには?



ここまで、ウイルスに関する警告表示が出てしまった後の処理やPCのクリーンアップの方法を紹介してきました。

続いては、二度と警告表示が出ないようにするための予防方法について説明していきます。

Chromeの設定からブロックしよう!



警告表示を二度と出さないようにするために行える予防措置とは、警告表示を誘発した「ブラックリスト」の危険なWebページをブロックして二度とPCに侵入できないようにすることです。


手順①「サイトの設定」→「通知」を選択



操作手順を説明します。

すでにこの記事で紹介した手順に従い、「設定」→「プライバシーとセキュリティ」→「サイトの設定」へと進みましょう。「サイトの設定」画面になったら、表示されている項目の中から「通知」を探しクリックしましょう。


手順②リストから対象のドメインを選択→ブロック



「通知」画面になったら、画面の上に表示されている「通知を送信するかどうかの確認をサイトに許可する」を見てください。ここが「OFF」になっていると、通知はすべてブロックされます。ここが「ON」になっていると許可するWebページを選択できます。


「通知を送信するかどうかの確認をサイトに許可する」を「ON」に設定すると、画面の下部に通知許可をしているドメインが一覧になって表示されます。その中からブロックしたいものを選び「︙」をクリックしましょう。


プルダウンメニューが表示されるので「ブロック」をクリックしましょう。


アクションセンターから設定画面に移動することもできる



ブロックしたいドメインをブロックするには、Google Chromeの「設定」を開き「通知」画面に行く必要がありますが、WindowsにはGoogle Chromeを開かずに直接Google Chromeの通知設定にアクセスできる方法があります。

アクションセンターを利用する方法です。アクションセンターとは通知センターのことです。

操作方法を説明します。

Windowsトップ画面の右隅に「吹き出し」アイコンがあるのでクリックします。

アクションセンターが表示されるので、ブロックしたい通知を選び「歯車」アイコンをクリックしましょう。


プルダウンメニューが表示されるので「Chromeの通知設定に移動」をクリックしましょう。これで直接「通知」画面を開けます。



ポップアップが出ても許可を与えないようにしよう!



サイバー犯罪が世界中で脅威となっていること、また標的になっているのが企業や政府組織だけでなく一般ユーザーも含まれることを考えると、自分のPCが被害に遭わないように対策を講じることの重要性がよく分かります。

コンピューターウイルスの脅威から自分のPCを守る第一歩は、ポップアップの通知許可が出ても決して許可を与えないことです。

興味本位で危険なサイトをクリックしてしまわないよう注意してくださいね。


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