仙台の奥座敷・秋保温泉に2024年4月に開業した星野リゾートの温泉旅館【界 秋保】。伊達政宗が築城以来発展を遂げてきた仙台の街と武家文化。
|伊達な文化を体験する
東北エリアでは青森の「界 津軽」に続く界ブランドの2施設目。秋保温泉には仙台藩主・伊達家の御殿湯が整備されたことから、館内のいたる所で “伊達なおもてなし” に触れられるしつらえや工芸品が見どころです。
▲“仙台の奥座敷” 秋保温泉にある温泉旅館
仙台駅西口からバス「仙台西部ライナー」を利用して30分ほど。界 秋保の玄関先に停車するのでたいへん便利です。

▲エントランスにかかる暖簾もご当地を表わす色
暖簾の緑は仙台藩伊達家の家紋の笹、赤は仙台七夕まつりの短冊をイメージ。界 秋保の赤いロゴマークは、秋保で産出する「秋保石」で作られています。

▲狭いエントランスを抜けると、広大なロビーラウンジにつながります
井の高いロビーラウンジは解放感抜群の空間。伊達政宗が紙の生産を奨励したことから、フロントの背後を照らしているのは、江戸時代から宮城県白石市で作られる「白石和紙」です。

▲ロビーの窓際には景色を楽しむためのソファーを用意
春は新緑、秋は紅葉、冬は真っ白な雪景色。四季折々の景色が楽しめる特等席です。

▲ロビーラウンジに飾られた「仙台ガラス」の置物
仙台市内を流れる広瀬川の、川砂を溶かした緑色のガラスの作品です。

▲客室フロアの廊下には、山形県米沢市笹野地区に伝わる様々なデザインの「お鷹ぽっぽ」が飾られます
頭の赤いお鷹ぽっぽは、200年前の形を復刻させたもので、モダンな絵柄に魅せられます。「花鳥」はコシアブラの木をねじるように削り出し、花の上にとまる鶏を表現。見事な作り込みでした。
|ご当地部屋「紺碧の間」
界ブランドの旅館では地域の特色を活かした “ご当地部屋” を用意しますが、界 秋保では宿の横を流れる名取川の下流にある峡谷「磊々峡(らいらいきょう)」が、かつては “紺碧の深淵” と言われていたところから、深い青をテーマカラーにしています。ルームナンバーの行灯には「白石和紙」が使われるなど、宮城のご当地要素を採り入れたしつらえです。

▲58平米の「紺碧(こんぺき)の間」
まるで額縁のような窓と真っ青なソファーが印象的な「紺碧の間」。季節によって色彩や印象が異なる風景や山並みを楽しめます。壁には丸い仙台ガラスのオブジェが掛けられ、杜の都仙台を象徴する美しい緑色や川のせせらぎ、水面のきらめきを表わしています。

▲寝心地のいいベッド
寝室には小上がりの上に星野リゾートのオリジナルマットレス「ふわくもスリープ」が敷かれ、ふかっと柔らかな寝心地を実現。枕元の障子にはこけしのシルエットが散りばめられていました。

▲こだわりの品々に出会えます
お着き菓子は仙台の人気店「和菓子 まめいち」のイチジクとクルミ、きなこを絶妙なバランスで練りあげた「美人さんのおやつ」が置かれます。

▲「紺碧の間」のシャワーブース
大浴場があるため、バスタブはなくレインシャワーのあるシャワーブースを備えています。
|「日本三大御湯」と称えられた名湯
チェックインを終えたら即、温泉!もちろんそれも魅力的ですが、1,500年とも言われる歴史を誇る秋保温泉だからこそここは少し我慢して、16時15分から湯上がり処ではじまる「温泉いろは」に参加しておきましょう。入浴前に秋保の歴史や入浴法を覚えておくのがおすすめです。

▲温泉いろは
古くは皇室の御料温泉として “御湯” の称号を受け、信濃御湯(別所温泉)、犬養御湯(野沢温泉)とともに「日本三大御湯」と称えられた名湯です。「温泉いろは」は温泉の泉質や入浴方法を教わるほかに、60.2度の旅館の自家源泉で温めたおしぼりが笹の葉に包まれて運ばれ、源泉の熱を体感する界 秋保ならではの趣向も用意します。

▲男湯の内風呂。壁には「こけし」がいるので探してみてください
「あつ湯(かけ流し)」と「ぬる湯40度」のふたつの湯船があって、浴室内は男女で造りが異なります。温泉は敷地内の2本の自家源泉が引かれ、泉質はナトリウム・カルシウム-塩化物泉。檜の湯船の「あつ湯42度」のみ源泉掛け流しで、少し茶色がかった濁り湯です。男湯の「ぬる湯」の湯船は岩風呂風で、温度の違うお風呂の入りくらべも楽しめます。

▲景色に目を休めながらの湯あみができる露天風呂

▲入浴の前後で利用したい湯上がり処
「温泉いろは」が行われる湯上がり処は、入浴の前後に水分補給をしたり、入浴後に身体を休めたりと、健康的な温泉利用に役立つスペースです。

▲お風呂前後のドリンクも
「界オリジナルはだか麦茶」と宮城県産のちりめん紫蘇が鮮やかな「赤紫蘇ジュース」の他、アイスキャンディーも用意され、湯上りのクールダウンにもおすすめです。
|「せせらきラウンジ」でくつろぎのひととき
ラウンジがあるのは界ブランドの旅館では2施設目。足湯を備えたテラスもあって、名取川の四季折々の風景に出会えます。「せせらき」とは、せせらぎの古語で「その時々」という意味もあり、その時々の川の水音や移ろっていく風音に、秋保の自然が感じられます。

▲せせらきラウンジ
くつろいだ雰囲気のラウンジには、伊達家の家紋になった牡丹や藤、伊達政宗がお寺に所望した白萩など、季節に合わせて由縁のある花などが飾られます。本棚には宮城に関連する書籍が並び、ブックエンドには秋保石が使われていました。

▲足湯のあるテラス
広いテラスに出ると、足湯や目の前を流れる名取川を見下ろす席もあり、ドリンクを飲みながら、ゆったりとした時の流れに身を任すことができます。

▲15時から22時までお菓子やアルコールがフリーです
「仙台麩のかりんとう」や落花生や玉子を使った焼き菓子「仙臺まころん」など、ご当地お菓子をそろえるほか、藩政時代から庶民の間で親しまれてきた「仙台駄菓子」、季節の花などをかたどった生菓子などが宝石のように並びます。

▲ドリンクはフリーで楽しめます
アルコールドリンクは、ワイン作りで震災復興を目指す「秋保ワイナリー」のワインをはじめ、ニッカウヰスキー宮城峡蒸溜所で作られた「ブラックニッカ リッチブレンド」と「アップルワイン」、宮城県大崎市に蒸留所があるクラフトジン「欅(けやき)」など、“地酒” をそろえます。

▲ラウンジでは毎晩ライブを開催
ロビーでは、毎晩21時より仙台ゆかりの演奏家による生演奏を開催。毎日異なる和洋楽器のライブがおこなわれ、この夜は篠竹で作る日本の伝統楽器「篠笛(しのぶえ)」の美しい音色を聴くことができました。
|武家の酒宴を体験する「伊達な宴」
界ブランドの旅館では、その土地の伝統を体験できる “ご当地楽” が行われます。界 秋保では一年を通してご当地楽「伊達な宴」を開催。

▲専用の宴の間
“勝色” とされる紺色に、金の丸が輝く伊達家の軍旗をモチーフにするしつらえ。参加者は、紫の地に赤・青・緑・黄・白の星を表す円形模様をあしらった陣羽織を着用。武家の心得に触れられる特別な体験です。

▲ずんだ餅を作る
テーブルには杯と、ずんだ餅を作る準備ができています。木彫りの馬と鼠(ねずみ)は、お酒の注ぎ方に係わりがあるので、ぜひ覚えておきましょう。

▲自分で枝豆をすり潰し、ずんだ餅を作ります

▲武家の作法で注がれるお酒
ここで行うのが、「鼠尾、鼠尾、馬尾(そび、そび、ばび)」の掛け声と共にお酒を注ぐ武家の作法。1度目と2度目は鼠の尾のように少しだけ注ぎ、三度目に馬の尾のように太く長く注ぎます。この日は1661年に創業した宮城県最古の蔵元、内ケ崎酒造の「純米吟醸鳳陽」のにごり酒で、ふわりと優しい甘みが広がります。お酒が飲めない方には甘酒が用意され、年齢制限もなく誰でも参加が可能です。
|朝の体操で身体が心地よく目覚めます
界ブランドの旅館で毎朝行われているのが、自由参加の朝の体操。朝食前に身体を目覚めさせ、一日の始まりを迎えるヘルシーなひと時です。

▲界 秋保オリジナルの朝の体操
いつもは「せせらきラウンジ」のテラスでおこないますが、この日は雪が降っていたため、ロビーで開催。施設ごとに異なるオリジナル体操が用意されますが、ここでは名取川での渓流釣りをイメージして、釣竿を持ち、釣糸を遠くに投げるように身体を伸ばします。しかも普段使っていない筋肉を動かす本格派。身体のあちこちが刺激され、身も心も目覚める体験です。
|界 秋保オリジナルキーホルダー作り
秋保石と仙台七夕のカラフルな和紙を使ったキーホルダー作りは、想い出のお土産にぴったり。体験料 ¥2,400

▲気に入った形の秋保石を選びます
色とりどりの仙台七夕和紙は、実際に仙台七夕まつりの飾りに使われた和紙を使います。シュレッダーバサミで切り込みを入れ、選んだ秋保石に合わせます。

▲オリジナルキーホルダーが完成
まるで七夕まつりの飾りのような出来上がり。水琴鈴のオルゴールのような優しい音色に癒されます。いいお土産ができました。
仙台藩初代藩主、伊達政宗により発展した仙台の街と武家文化。