整理整頓や片づけは、少しでも生活を快適にするために避けては通れない課題の1つですが、いざ取り組んでみたところで「なかなか片づかない…」という方は少なくないようです。そこで、整理収納アドバイザーとライフオーガナイザーの資格取得の際に学んだ内容から、仕事や家事、気持ちを片づけるときの基準にしていることを紹介します。
心のボディーガード?「スン」とのつき合い方
最近、「スン」が気づけばそっと、そばにいます。
同僚がぼそりと言います。「なんかもう、どうでもいいんですよね。『無』です」
ああ…彼女の中にもスンがいますね。
わたしも他人事ではなく。
「まあ…わたしももう、ちょっと心が死にかけてるかも…」
はい、わたしの心にもスンがいます。最近はけっこう長期滞在中。
スンは、決して悪い子ではないのです。
日々の嫌なこと、理不尽なこと、終わらない仕事…。心を削っていきかねないそれらから、わたしたちの心をそっとガードしてくれます。
嫌なことを「感じにくく」してくれるから、なんとかかんとか、働き続けられる。この状態が、「スン」です。
スンは、心の「ボディーガード」のようなもの。
でも、ちょっと過保護すぎるところもあって…。嫌なことだけでなく、うれしいこと、楽しいこと、感動すること、そうした感情まで一緒にブロックしてしまうのです。そうなると、まるで周りに厚い防壁ができてしまったように、心に外の世界の刺激が届きにくくなってしまう。
あれ、心が動かない。
「スン」に頼るときには、心を守ると同時に、感受性を鈍らせてしまう可能性もあると思っておいた方がいいと思います。
実際、スンがずっといると、心は少しずつ元気がなくなっていきます。目の前の仕事はこなせる。指示されたことはきちんと実行できる。怒りや悲しみなどの負の感情はない。ある意味平和でいい感じ。
でも、そこには「生きた感情」があまりありません。
心が疲れてしまったときに、ひょっこり現れる、スン。これは、心が「もう無理!」と悲鳴を上げる前に、自分を守るために作り出した最後の砦のようなものなのかもしれません。
とはいえ、一時的な痛みを和らげる麻酔のようなスンに頼りすぎることは危険なことでもあります。根本的な解決にはならないし、むしろ問題を先送りにして、状況を悪化させる可能性もあるかもしれない…。このままスンに守ってもらい続けたら、いつの間にか本当に心が死んでしまうかもしれない…と感じることがあります。
長く一緒にいていい相手では、ない。
スンがなぜ自分の心にずっといるのか、その原因を探したり解決策を見つけたりする必要があります。それは、仕事のフローなどの改善かもしれないし、自分の心の持ち方を変えることかもしれません。
スンは、「このままでは、心が壊れてしまうよ! いったん心を守ってあげるから、その間に考えたり行動したりしてね」と、猶予をくれるために現れるのだと思います。
心がけたいのは、スンとの関係を「時々やってきて助けてくれる」存在くらいにしておくこと。
スンがやってきたら、「ああ、今回も守りに来てくれてありがとう。そうか~今ちょっと、わたしはヘトヘトなんだね。できるだけ短期滞在で帰ってもらえるように頑張るね」というくらいの向き合い方がほどよいような気がします。<text:なまけるための片付け/花太郎(整理収納アドバイザー) https://note.com/namake_kataduke>