京都丹後鉄道のレストラン列車「丹後くろまつ号」の秋・冬のメニューが新登場。2024年10月から2026年3月までの金・土・日・祝日に、1日3便それぞれ料理が異なる「モーニングコース」「ランチコース」「海上自衛隊 舞鶴地方隊コラボコース」を運行。

今回は「モーニングコース」を紹介します。

|モーニングを楽しみながら天橋立駅へ

福知山駅から天橋立駅へと向かうモーニングコースは、「~大江山鬼退治伝説の地を味わう~」がテーマ。平安時代の鬼の頭領・酒呑童子(しゅてんどうじ)を退治する『大江山鬼退治伝説』の地を、食事を楽しみながら訪ねる約1時間40分の列車旅。福知山駅を10時8分に出発、天橋立駅に11時48分着で、1人¥7,000と気軽に楽しめるレストラン列車です。

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▲福知山駅10時8分発

モーニングコースへのアクセスは、大阪駅8時12分発のJR特急こうのとり1号に乗ると福知山駅に9時49分に到着。京都駅からは8時38分発のJR特急はしだて1号で福知山駅に9時54分に到着します。

京都丹後鉄道のレストラン列車『丹後くろまつ号』で楽しむ鬼退治伝説の地とモーニングコース

▲レストラン列車「丹後くろまつ号」

レストラン列車として使われる車両は、KTR700形を元に、新幹線や豪華寝台列車「ななつ星 in 九州」、観光列車「或る列車」などを手がけた水戸岡鋭治氏のデザインでリニューアル。黒ボディに金色のストライプや文字が入る上質な雰囲気です。今回は午後の「海上自衛隊 舞鶴地方隊コラボコース」があることから、スペシャル・ヘッドマークを装着。一方は護衛艦「みょうこう」、もう一方は2羽の鶴が向き合う舞鶴地方隊のマークです。

京都丹後鉄道のレストラン列車『丹後くろまつ号』で楽しむ鬼退治伝説の地とモーニングコース

▲「丹後くろまつ号」の車内 <画像提供:WILLER TRAINS(京都丹後鉄道)>

テーブルや椅子、窓枠や床には天然木を使い、窓にはセンタークロスのカーテンがかかるほか、テーブルごとに照明が灯り、クラシカルなレストランを思わせる車内です。

|地元のパティスリーが作るパイコルネが美味

モーニングコースのメニューをプロデュースしたのは、福知山などにお店を構える「 PATTISERIE CAFÉ KATASHIMA(パティスリーカフェ・カタシマ)」。酒呑童子にちなんで「大江山酒呑退治プレート」と「大江山デザートプレート」が楽しめます。

鬼の絵が描かれたプレートには「鬼のこん棒パイコルネ」2種と「鬼ババァーと菊芋のポタージュ」、「地物野菜のフレッシュサラダ」が並びます。

京都丹後鉄道のレストラン列車『丹後くろまつ号』で楽しむ鬼退治伝説の地とモーニングコース

▲一皿目「大江山酒呑退治プレート」

鬼のこん棒に見立てたパイコルネは、赤色がスモークサーモンとポテト、チーズのペーストを詰めた一品と、ロースハムと玉ねぎのムースの2種類。どちらも中身がたっぷり入ってボリュームも十分です。

京都丹後鉄道のレストラン列車『丹後くろまつ号』で楽しむ鬼退治伝説の地とモーニングコース

▲「鬼のこん棒パイコルネ」

スープは大江町の名物どぶろく「鬼ババァー」をフランベしてアルコールを飛ばし、ほっくりとした菊芋を使った温かいポタージュ。菊芋の滑らかでコクのある味と、どぶろくの優しい香りや旨みが楽しめます。

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▲鬼ババァーと菊芋のポタージュ

首を斬られても襲いかかってくる酒呑童子の絵は歌川芳艶の代表作。迫力満点です。

|途中下車して鬼伝説の地を散策

京都と言えば鞍馬山の天狗や今出川通の百鬼夜行と並んで有名な大江山の鬼・酒呑童子。京の若者や娘が酒呑童子や配下の鬼たちにさらわれたため、実在の武将・源頼光と藤原保昌によって成敗されたお話です。福知山市大江町では「鬼の里」をアピール。大江駅では鬼伝説の地も散策できます。

京都丹後鉄道のレストラン列車『丹後くろまつ号』で楽しむ鬼退治伝説の地とモーニングコース

▲駅の目の前に並ぶ無数の鬼瓦

大江駅には10時22分に到着して出発は11時1分なので、40分ほど時間があります。ここでは途中下車ができるので駅舎の目の前にある「大江山鬼瓦公園」を散策。全国の鬼師(鬼瓦製作者)の手になる鬼瓦72個が飾られます。

このほか鬼の街灯や鬼のマンホールなどもありました。

京都丹後鉄道のレストラン列車『丹後くろまつ号』で楽しむ鬼退治伝説の地とモーニングコース

▲駅には売店も。駅舎の2階は鬼瓦の展示スペースです

売店では地酒やお土産の菓子、地元の物産品のほか鬼グッズも並んで種類豊富。掘り出し物が見つかります。

|金太郎も登場「大江山デザートプレート」

二皿目は大江山の鬼退治で活躍した金太郎をモチーフにしたデザートプレートです。源頼光によってその怪力を認められた金太郎は、家来になって坂田金時と改名。源頼光の四天王のひとりとして、酒呑童子を退治した時も活躍したと伝わります。

「金太郎プレミアムロール」は、生クリームの中に福知山の老舗「山城屋茶舗」が焙煎する赤鬼ほうじ茶のジュレが入ります。「大江山BonBon 」のほか、モミジとイチョウのラングドシャを飾る秋を思わせるデザートプレートです。

京都丹後鉄道のレストラン列車『丹後くろまつ号』で楽しむ鬼退治伝説の地とモーニングコース

▲金太郎の笑顔が可愛らしい「大江山デザートプレート」

「大江山BonBon 」は、和栗の渋皮煮をバニラクリームとマロンクリームで包み、まわりをチョコレートでコーティング。フワリと柔らかな食感です。

京都丹後鉄道のレストラン列車『丹後くろまつ号』で楽しむ鬼退治伝説の地とモーニングコース

▲大江山をモチーフにした特製BonBon

コーヒーは京都丹後鉄道のオリジナルブレンド「丹鉄珈琲」。ウェッジウッドのカップでいただきました。

京都丹後鉄道のレストラン列車『丹後くろまつ号』で楽しむ鬼退治伝説の地とモーニングコース

▲コクがあって飲みやすい「丹鉄珈琲」

|小さな集落に在る神秘的な鳥居

伊勢神宮ができる50年ほど前に天照大神が祀られていた神社の鳥居を眺めたり、ツアーのオリジナルグッズを買ったりと、印象的な旅の想い出に出会えます。

京都丹後鉄道のレストラン列車『丹後くろまつ号』で楽しむ鬼退治伝説の地とモーニングコース

▲伊勢神宮内宮 皇大神社

大江山口内宮駅に近づくと一時停車して見えるのが、小さな集落の先に見える白い鳥居。天照大神のご神体が鎮座地を求めて各地を点々としていた時、伊勢神宮ができる54年前に4年間置かれた「伊勢神宮内宮 皇大神社」です。車窓からの思わぬ出会いに驚かされました。

京都丹後鉄道のレストラン列車『丹後くろまつ号』で楽しむ鬼退治伝説の地とモーニングコース

▲旅の最後に京都丹後鉄道の乗車を記念したオリジナルグッズの販売もありました

京都丹後鉄道のレストラン列車『丹後くろまつ号』で楽しむ鬼退治伝説の地とモーニングコース

▲記念乗車証

丹後くろまつ号のスタンプが押された記念乗車証がもれなくついていて、旅の想い出になりました。

美味しい朝食をいただきながら天橋立駅へ向かうレストラン列車「丹後くろまつ号」。途中酒吞童子や金太郎伝説の残る大江山や、山奥の小さな集落にある「伊勢神宮内宮 皇大神社」の白い鳥居など、日本の歴史や伝説にも触れられます。美味しい朝食と小さな発見がある列車旅をぜひ楽しんでみてくださいね。<text&photo:みなみじゅん 予約・問:京都丹後鉄道 https://travel.willer.co.jp/train/tantetsu/>

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