RoomClipに登録された新しいユーザーさんの中から、毎回お一人をピックアップしてご紹介する本連載。今回はご紹介するのは、奥ゆかしくも凛とした空間づくりをされているYさんと、そのお宅です。
今回ご紹介するのはこの方です!
Yさん工務店の3代目となる大工の夫と、夫が信頼する職人さん方のお陰で、暮らしやすい平屋の終の棲家が完成しました。
たおやかな家と端麗な暮らしを
■匠の技が光る、常に快適な空間
富山県某所にゆったりと佇むモダンな3LDKの平屋が、Yさんご夫婦のお宅です。玄関を入るとすぐ迎えてくれるのが、こちらのシックなダイニング&キッチン。オブジェのような佇まいのアイランドキッチン、冷蔵庫までノイズレスに一体化させたブラックガラスの壁面収納は、あるはずの生活感を一切感じさせません。このように、Yさんご夫婦は暮らし全体を、凛と快適に整えられています。

ダイニング&キッチンの最大の特徴であり、見せ場は屋根の勾配に沿ってつくられた見事な天窓と言えるでしょう。そこには、職人の技が光ります。2次元の図面では描ききれない、4方向すべて異なる角度の傾斜をピタリと3次元的に納めた美しい天窓は、見上げるたびにうっとりする存在だと、Yさんは語ってくれました。また、北側に位置するこの天窓のお陰で、夏場も暑さのない優しい自然光を楽しむことができるのだとか。夜は、天窓に向かう傾斜の中に設置されたタスク・アンビエント照明が、無駄なく効率よく、シーンにあった雰囲気と快適をつくり出してくれるそうです。
■心地よい静けさの理由

Yさん宅には、心地のよい静けさがあります。それは、飾るのではなく、無駄を削ぎ落とすことで美しさや心地よさを導き出しているからかもしれません。
例えば、ダイニングから1段下がり、L字に東側へ続くリビングに目を向けてみると、一般的にあるはずのテレビやカーテンがないことがわかります。テレビは思い切って断捨離をされ、カーテンは外側の塀を高くつくることでオフされています。

そんなテレビボードの向かい側には、大工であるご主人による造作のPCデスクがあります。ミニマルな空間の中だからこそ、一枚板の力強い存在感や独特の質感が際立ちます。Yさんのつくり出す空間は、無駄がそぎ落とされていますが、決して淡白さや殺風景さを感じさせないのが不思議です。その理由は、さっぱりとした空間の隅々に、ご夫婦のこだわりや思い入れが詰まっているからではないでしょうか。厳選された家具、造作の家具、考え抜かれた照明や収納計画、暮らしに不可欠なすべてにあふれる愛情が、しとやかで豊かな味わいを楽しませてくれている……そんな気がしてなりません。
■さっぱりだから見える味わい

Yさん宅は、そもそもの内装も意図的にさっぱりとしたものにつくりあげられています。全体的に巾木や床の見切り材をなくした、視覚的にも感触的にも滑らかな仕上がりは、密かなこだわりだと話してくださいました。そうして生まれた光景は、美術館や図書館にあるような落ち着きを醸し出しながらも、モダンアートのようにじわじわと知的好奇心を掻き立てる魅力を内包しています。

そんな、多くを見せず、多くを語る大人な光景は、時に大きな変化を見せてくれることもあります。
住まいづくり、インテリアづくりは、洗練しようとするほど最初は大変なこともたくさんあります。でも、丁寧にこだわった分、きちんと応えてくれるはずです。ぜひ、幸せを見逃さない軽やかで端麗なYさんの暮らし、参考にしてみてください。
Yさん邸の間取り図

Yさん宅は、3LDKの平屋です。平屋ならではの屋根の勾配を活かした天窓や、LDKからすべての部屋にアクセスしやすい快適な動線が特徴。全体に、ノイズレスなさっぱりとした内装にすることで、ライフスタイルの変化にも柔軟で、永く暮らしても飽きのこない、終の棲家とされています。
Yさんのお部屋ギャラリー
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執筆:RoomClip mag 編集部