香十は、天正年間に京都で創業し、御所に香を献上した由緒ある御香所(おんこうどころ)です。秀吉や家康にも仕え、日本の香文化を支えてきました。
450年という長い歴史の中で、香十はただ伝統を守るだけではなく、時代の美意識に応じて香のあり方を進化させてきました。その拠点を銀座に移したことは、伝統を現代へと開く大きな節目といえます。銀座という街は、伝統と革新が交差する場。そこに根を張ることで、香十は香文化の“昇華と再生”を実現しています。

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Courtesy of KOJU

空間を染める“香りの演出”
銀座店は地下に広がる静謐な空間で、訪れる人は一歩足を踏み入れた瞬間に、香りそのものに包み込まれる体験を得ます。音や光の演出に慣れた都市生活者にとって、香で空間を設計するという発想は新鮮であり、同時に深い余韻を残します。香十の銀座店は、香を単なる商品として売る場ではなく、都市における感性の“装置”として提示しています。それはまるで現代アートのインスタレーションのようで、来店者一人ひとりの感覚を呼び覚ます仕掛けになっています。

創業450年の香司・香十。京都の伝統が銀座で描く“香り”の新しい美意識
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プロダクトに宿る伝統美
香十のプロダクトには、日本独自の香文化が息づいています。練り香は、古来より宮中や茶の湯で愛されてきた形態を現代に受け継がれたもの。塗香(パウダー香)は、香をもっと日常に取り入れやすくする工夫が込められています。香袋は、衣服や空間に柔らかく香りを添える、伝統的でありながらモダンな存在感を放っています。
いずれも、長きにわたって培われた調合法を大切にしながら、現代の生活様式にフィットするデザイン性が加えられています。香を炷くという行為は、心を落ち着け、空間をしつらえる営みであり、日常の時間を豊かにする、現代的で美意識に根ざしたアプローチでもあるのです。

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香りを学び、創造する場へ
香十は、香を届けるだけではなく、それを文化として体験し、未来へと伝える活動にも積極的です。ワークショップ「座 香十」では、参加者が自ら香を調合し、香の深い世界に触れることができます。また、香器デザインコンテストを通じて、新しい感性を持つデザイナーや職人との交流を生み出しています。こうした取り組みは、香十を単なる老舗ブランドにとどめず、“文化を開く実験場”として機能させています。伝統をただ守るのではなく、現代に響く表現へと進化させる姿勢が、ここに現れています。

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新商品「香宮」に宿る“古今の響き”
今回全国展開された新商品「香宮(こうぐう)」は、香十の歴史を凝縮しながら、現代の感性にも応える特別な香です。宮中に献上されてきた伝統の名を冠し、その調香には厳かさと軽やかさが共存しています。沈香や白檀といった高貴な素材に、柔らかな甘みを持つ香りを重ねることで、過去と現在の感覚を同時に呼び起こします。リラックスのために炷くのはもちろん、現代のライフスタイルにおけるセルフケアやギフトとしても映える存在です。香十の銀座展開とともに登場した「香宮」は、まさに古今を繋ぐシンボルといえるでしょう。


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未来へと広がる、香十の美意識
香十が提示するのは、香を懐古的な伝統に閉じ込めるのではなく、現代生活の中で新たな美意識として響かせることです。京都で生まれ、銀座で磨かれた香十の香りは、日本人だけでなく、訪日外国人にも通じる“静かな贅沢”として共感を集めています。ギフトにもセルフケアにも、ジェンダーや国境を超えて受け入れられる香り。その普遍的な魅力が、今後さらに広がっていくことでしょう。

創業450年の香司・香十。京都の伝統が銀座で描く“香り”の新しい美意識
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■店舗情報
香十 銀座本店
住所:東京都中央区銀座4-9-1 B1階
電話:03-6264-2450
営業時間:11:00~19:00

香十 二寧坂
住所:京都府京都市東山区桝屋町349-8
電話:075-551-0285
営業時間:11:00~18:00

香十 東京
住所:東京都中央区八重洲2-1八重洲大地下街中2号(東京駅 八重洲地下1番通り)
電話:03-3274-4006
営業時間:10:00~20:00

香十 浦和
住所:埼玉県さいたま市浦和区高砂1-12-1コルソ1F
電話:048-824-5315
営業時間:10:00~19:00
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