Photo by ©FASHION HEADLINE
人体構造を映し込む服
コレクションの象徴的なピースは、トラックジャケットやパンツ。テープが関節を思わせるラインを描き、膝を曲げる動作はそのままデザインとして残されます。ロゴを前面に押し出さず、むしろ隠すことで、身体の“見えない部分”へ視線を誘導するアプローチも印象的でした。健康的でありながらも不気味さを帯びるこの造形は、スポーツウエアを「機能性」と「精神性」の両面から読み替える挑戦です。

都市と肉体の交錯する映像表現
会場では、都会の真ん中で自由に踊る男性や、眼球・細胞・血液といったモチーフが映像に投影されました。それは一見無秩序でありながら、人体が秘める複雑さとエネルギーを象徴しています。空間中央には糸でぐるぐるに巻かれたミイラのようなトルソーが吊るされ、「幽体離脱」という身体と精神の分離を示唆する造形が観客を圧倒。スポーツブランドとしてのヒュンメルが“不可侵領域”に挑む姿勢を鮮烈に刻みつけました。

新しいスポーツブランド像
HUMMEL 00が提示したのは、スポーツウエアを単なる競技や健康の象徴として終わらせないという意志です。森川氏は、人体そのものを一つのランドスケープとしてとらえ、服をその写し鏡にしました。


