Courtesy of HAPPO-EN
「継承と創造」の理念をかたちに
リニューアル全体の設計は、伝統と先端性の両立を目指す姿勢が随所に表れています。八芳園が守り続けてきた日本庭園はそのままに、館内はZEB Oriented(ゼブ・オリエンテッド)認証を取得。環境負荷を抑えながら快適な空間を実現する最先端の省エネ技術を導入し、自然と調和する「持続可能な美」を具現化しています。過去から受け継いだものを未来にどうつなぐか――その思想が、施設全体のデザインに込められています。

迎賓空間を象徴する「組子アート」とシンボルツリー
新たなロビーに入ると、まず目を引くのが日本の伝統技法「組子」を用いた大規模なアートウォール。釘を使わず木材を組み合わせる精緻な技術によって、光と影が織りなす幾何学模様が来訪者を迎えます。伝統工芸の粋を集めたこの意匠は、日本建築の美を現代的に昇華した象徴的存在です。

さらに、ロビー中央にはシンボルツリーを設置。自然光を取り込む吹き抜け空間に大樹がそびえることで、都会の真ん中にいながら自然と共にあることを実感させます。館内と庭園をシームレスにつなぐこの演出は、「都市と自然の共生」をテーマに掲げる八芳園の姿勢を象徴しています。

多彩な「食」の体験を提供
食の分野では、これまで以上に幅広い体験が用意されました。
- オールデイダイニング「FUDO」

白金台の地名の由来でもある「不動」から名をとったレストラン。和と洋の枠を超え、世界中の調理法と旬の食材を融合させたメニューが並びます。朝昼夜いつ訪れても新しい発見があり、庭園の景観を望みながら食事が楽しめます。
- 割烹「BUTAI」

名の通り「舞台」を思わせるライブ感が特徴のカウンタースタイル。目の前で繰り広げられる職人の調理はまるで舞台芸術のよう。旬魚の炭火焼や椀物の盛り付けなど、ひとつひとつの所作が食の美意識を表現します。
- パティスリー

NEWoMan TAKANAWA North 1F にオープンした洋菓子店「八芳園洋菓子店」では、四季折々の素材を生かしたケーキや生菓子を展開。八芳園の食文化の感性を受け継ぎつつ、日常に華やぎを添えるスイーツとして、手土産や自分へのご褒美にぴったりの一軒です。
これら3つの拠点が連動し、訪れる人に食を通じた豊かな体験を提供します。

今回の八芳園リニューアルは、単なる施設改修にとどまらず、日本の美意識を現代の感覚で再解釈し、建築・アート・食・ファッションを横断する「文化体験の舞台」を創り出しています。人生の節目を祝う場としての伝統を守りながら、都市の未来を見据えた八芳園。その新たな挑戦は、モードやライフスタイルの最前線を追う読者にとっても、必ず訪れるべき目的地となるはずです。

【施設情報】
所在地:東京都港区白金台1丁目1−1
電話:0570-064-128(代表)※平日 10:00~19:00 / 土日祝 9:30~19:30