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スパイラルガーデンという「都市の渦」に、ライカ100年の軌跡が重なる
青山・表参道交差点から続く人の流れ。その延長線上にあるスパイラルガーデンは、ファッションやアートの新しい潮流が立ち上がる場所として知られています。その螺旋状の空間に、1925年に誕生した「ライカI」から現代のM型モデルまで、歴代のカメラが時系列ではなく、“記憶のレイヤー”として展示されます。ガラス越しに並ぶカメラは「骨格の美しさ」を強調するように照明を受け、工業製品である前に“小さな建築物”のように佇んでいるのが印象的です。

写真が「語る」のではなく、「呼吸する」──時間を抱えたイメージとの邂逅
展示の中盤では、植田正治と福山雅治による〈ライカで撮られた作品〉が静かな緊張感をまとって並びます。光は抑えられ、空気中のノイズがそっと沈むような空間。写真の前に立つと、自然と呼吸が深くなり、視線が“見えない時間”を追いかけるように写真の奥へ引き込まれていきます。植田の構図に漂う静寂、福山の視線が捉える微細な体温。どちらの写真にも共通しているのは、「瞬間を止める」のではなく、「瞬間を封じ込め、未来へ送り出す」というライカ独自の時間感覚です。
作品と向き合ううちに、“記録する”という行為が、いつの間にか“見つめ直す”体験へと変わっていく。この空間は、ライカが100年をかけて築いてきた「写真を撮ることの精神性」を、静かに、しかし深く体験させる場になっています。

特別限定モデル「ライカM11 100 Years of Leica “TOKYO JAPAN”」──都市名を刻んだ100台
展覧会にあわせて、M型カメラの特別限定モデル「ライカM11 100 Years of Leica “TOKYO JAPAN”」が発表されました。販売は日本限定、台数はわずか100台。ボディには“Tokyo Japan”の刻印が施され、100年の歴史を記録してきたカメラが「都市と結びついた瞬間」を視覚化しています。

ブラックペイントのトッププレートに、ライカのロゴ。触れた瞬間に温度を感じる金属の質感は、単なるカメラという枠を超え、「使われることで完成する工芸品」のような存在感を放ちます。

ライカという“モノ”ではなく、“記憶のためのデバイス”
時計やジュエリーと同様に、カメラもファッションやカルチャーと結びつく時代になりました。この展覧会は、その変化を静かに、しかし明確に示しています。“世界を美しくするためではなく、世界を見つめるための道具。”ライカIの誕生から100年。その視線は、これからも東京という都市で、新たな記憶を写し取り続けるのかもしれません。

【開催概要】
タイトル:ライカの100年:世界を目撃し続けた1世紀
会期:2025年10月18日(土)~10月26日(日)
会場:スパイラルガーデン (スパイラル1F)
東京都港区南青山5-6-23 | 11:00 - 19:00 | 入場無料 | 事前予約制
*状況により会期・時間が変更になる場合がございます
予約サイト:https://leica-camera-events.gateforce.jp