サンローラン(SAINT LAURENT)は、アンソニー・ヴァカレロによる2026年ウィメンズ冬コレクションを発表しました。今季ヴァカレロが焦点を当てたのは、メゾンの最も根源的な要素である構造と仕立てです。
ノスタルジーをそぎ落とした純粋なフォルムによって、身体のための建築としての服を提示しました。

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Courtesy of SAINT LAURENT

コレクションの冒頭を飾るのは、シングルとダブルのブラックスーツです。1970年代後半から80年代初頭を思わせる厳格なシルエットをほのかに感じさせながらも、単なる権力の誇示ではなく、現代的な感情の深みを宿したスタイルとして提示されました。女性性と男性性のあいだで生まれる静かな対話が、サンローランのテーラリングに新しい意味を与えています。

テーラリングの純度──サンローラン 2026年ウィメンズ冬コレクション
Courtesy of SAINT LAURENT
力強く主張するショルダーラインは、柔らかくシャープに絞られたウエストへと流れるシルエットを形成します。コレクション全体を通してこのラインが繰り返され、終盤にはメゾンを象徴するタキシードスタイル「ル・スモーキング」が再解釈されて登場しました。そのダークなエレガンスは、誇示的な強さではなく、どこか無頓着な余裕を感じさせます。

テーラリングの純度──サンローラン 2026年ウィメンズ冬コレクション
Courtesy of SAINT LAURENT
ヴァカレロはまた、文化や芸術と自身の美的衝動が交差する地点を探究しています。今回のコレクションのイメージの中心にあるのは、アンニュイなエレガンスを体現した女優ロミー・シュナイダー。とりわけ1971年の映画『マックスとリリー』における彼女の姿が着想の源となっています。さらに、テネシー・ウィリアムズの小説『ストーン夫人のローマの春』や、ゴア・ヴィダルの『都市と柱』といった文学作品に見られる人物像も、コレクションの内面的な物語に影響を与えています。

テーラリングの純度──サンローラン 2026年ウィメンズ冬コレクション
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ヴァカレロが見出したのは、親密さと脆さの中に潜む美しさです。
その象徴として登場したのが、シリコン加工を施したシアーレース。テーラリングのような構造を保ちながら、布は溶けるように身体に沿って動きます。脆さは強さへ、構造は誘惑へと変化し、既成概念が静かに覆されていきます。

テーラリングの純度──サンローラン 2026年ウィメンズ冬コレクション
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テーラリングは徹底してブラックで構成される一方、その他のルックではバーントシエナ、ティール、フレンチブルー、深みのあるブラウンなど絵画的な色彩が登場します。さらに、空へ舞い上がるようなゴールドの鳩をかたどったジュエリーが、コレクションに象徴的なアクセントを加えました。

テーラリングの純度──サンローラン 2026年ウィメンズ冬コレクション
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ショーの舞台は、ガラス、木材、レザーで構成されたミニマルな空間。中央には、かつてムッシュ イヴ・サンローランのアパートに置かれていた胸像を拡大したレプリカが据えられています。ガラス張りの壁の向こうにはエッフェル塔が見え、サンローランの精神的な故郷がパリであることを改めて印象づけました。

テーラリングの純度──サンローラン 2026年ウィメンズ冬コレクション
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構造と感情、脆さと強さ。
サンローランの2026年冬コレクションは、その静かな緊張関係の中から、現代のエレガンスを描き出しています。
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