今年6月にパリのトラノイ展で発表されたクリスチャン・ワイナンツとのコラボレーションは、日本の無縫製ニットの技術を使い、板締め絞りで製品染めをしたシルクコットン・ニット6ピース。ニットで独自の世界観を展開するワイナンツは、これまで世界各地のニットの技法を伝統工芸の職人とコラボすることで発表しており、今回もスズサンとのアイテム以外に、日本のニットメーカーを使ったメイド・イン・ジャパンのアイテムも2アイテム提案されている。
スズサンは有松絞りの絵刷りで100年以上の歴史を持つ鈴三商店(現スズサン)の5代目にあたる村瀬弘行が、ドイツのデュッセルドルフ国立芸術アカデミーに留学中の2008年に現地法人を設立。現在18ヶ国で商品を販売している。パリのレクレルール(L’eclaireur )やミラノのアントニオーリ(Antonioli)などのセレクトショップでも扱われており、今年3月には伊勢丹新宿店メンズ館でワークショップが開催された。
有松絞りは80年代半ばからその伝統工芸の技法に注目した東京のデザイナー達がコレクションに取り入れ、1992年には第1回国際絞り会議を同地で開催。以降、数年ごとに世界各地で開催。1994年に山本寛斎が演出した「アポルタージュ」では絞り作家・研究家の故・竹田耕三が作品を製作したことでも話題を集めた。