明治大学の公認サークルであり、フリースタイルフットボールとフリースタイルバスケットボールのプレイヤーが所属する「Pelusa(ペルーサ)」。フリースタイルフットボールサークルとしては日本で最大規模。
フリースタイラーとしてのキャリアとPelusaの存在意義
-まずはお二人の自己紹介をお願いします。
田邉:フリースタイルフットボーラーの田邉大智(DAICHI / D.I.L)です。22歳で、フリースタイルフットボールを始めたのは中学2年生の時で、Ball Beat Crewのパフォーマンスを見たのがきっかけで競技にのめり込むようになりました。最近は国内外の大会に積極的に参加しています。以前はサークル代表も務めさせてもらって、カルチャーを育てることにも目を向けて活動してきました。
丹:同じくフリースタイルフットボーラーの丹です。今大学3年生でPelusaの代表をしています。フリースタイル歴は3年くらいです。大学では建築とインテリアを学んでいて、フリースタイルとその建築を両立させながら活動しています。
-Pelusaとは簡単に言うとどんなサークルなのですか?
田邉:明治大学の公認サークルで、フリースタイルフットボールサークルです。フリースタイルバスケットボールのプレイヤーも所属しています。多分歴史も含めて日本で一番でかいフリースタイルサークルなんじゃないかと思いますね。
―Pelusaに入ってよかったなと思う点はどんなところですか?
田邉:友達が増えました(笑)。高校生の頃から関わっていたので、Pelusaがきっかけで50人以上の仲間が増えたのが単純に嬉しかったですね。
丹:フリースタイラーにとっての「窓口」みたいな役割があるところですね。Pelusaがなければ知り合いのフリースタイラーはもっと少なかっただろうと思います。「Pelusaです」といえばフリースタイラーの人たちには伝わるので、それも助かりました。
あと、明治大学の体育館という良い練習場所があるのが魅力的です。雨風しのげて明るくて床もきれいで、行けば誰かしらフリースタイラーが練習している環境が整っているんですよ。
JAM(練習会)の様子―田邉さんはコロナ以前のPelusaもご存じだと伺いましたが、世代を超えてサークルにはどんな変化がありましたか?
田邉:コロナ期間もあって、自分が代表になった直後はサークル自体が元気なくて、人も少ない状況でした。ただその分内側のパワーが強くなったなと感じていて、黙々と練習するストイックな人が増えた印象です。全体的にエンタメ寄りというよりかはバトルに出る人が増えて、スキル寄りのカルチャーになったようにも感じています。
―田邉さんは先日のShibuya World Openで準優勝、丹さんもJFFCにてTOP16まで勝ち上がるなど、バトルシーンでも結果を残されています。Pelusaが自身のフリースタイルに影響を与えたことはありますか?
田邉:以前代表をやっていた時期もあって「しっかり背中でみせなきゃいけない」という責任感をPelusaに対して持つようになりました。
丹:大智さんを含めいろんな先輩たちを見ていて、バトルに対してだけではなくてフリースタイル自体への向き合い方などを学ぶことができています。あとは人間性の部分でも学べることが多いです。
明大祭パフォーマンスを終えて
―まずはパフォーマンスお疲れ様でした。本番を終えた率直な感想をお願いします。
田邉:盛り上がるか不安なところもあったんですけど、実際やってみたら結構人が集まってくれて、声も聞こえたのでうれしかったですね。今回はMCも担ったんですが、MCとプレイを一緒にやるのが大変で緊張感がありました。でもそれも新たなチャレンジで良かったなと思っています。
丹:予想以上にたくさんの人に見てもらえたことが、個人的にもサークルとしてもよかったなと思います。
―明大祭にはどんな思いを持って臨まれましたか?
田邉:見に来てくれたみんなに楽しんでもらいたいという思いで臨みました。
丹:お祭りなので、自分のやりたいことだけを100%出すっていうよりは、見ている人がどうとらえるか、みんなに楽しんでもらえるかということを考えながら構成を作りました。
―準備期間を通して苦労した点はありましたか?
丹:今回、7人中3人が1年生で、パフォーマンス経験も浅いメンバーだったので、振付を難しくしすぎずフリースタイルの魅力を分かりやすく伝えるっていうバランスをとるのが難しかったです。メンバーが楽しんでプレイできるように心がけていました。
個人的には振付などを覚えるのが早いタイプなので、初心者に対してどうすれば丁寧でわかりやすく振付や技術を教えられるかという点は苦労しました。
田邉:バトルにおいては緻密なスキルが重視されるが、人に見せるショーケースにおいてはもっとシンプルでもいいのではないかという視点からメンバーにアドバイスしました。よりすごいものを見せようとして技の難易度を上げたりしても、観客に伝えようとする上ではノイズになってしまうような動きもあるので、そういった細かい部分を第三者目線で修正しながらショーケースを作っていきました。
丹:ショーケースの練習期間を通して結果よりも、みんなで協力して楽しめたかというプロセスを大事にしたいと考えていました。 今後もそれを大事にして活動していきたいです。
田邉:そういった意味では今回のパフォーマンスではメンバー全員がチャレンジできていたと思います。僕らであればMCもこなす、1年生たちは人前で技を決めるとか。各々の課題を持って取り組めるのも、Pelusaのショーケースの魅力かなと感じています。
Pelusa主催のイベント「HYPE MOMENT」について
―今年も7月に開催されたHYPE MOMENTについてお伺いします。まず最初にこのイベントを始動したきっかけは何ですか?
田邉:5つ上のOBの先輩たちがやっていた「GREEN PEACE」というイベントに高校生の時に出させてもらって、それがすごく楽しかったのが原点にあります。コロナ禍でイベントが減ってしまった時に「そろそろ何かやりたい」と思ってeito(Pelusa所属、田邉と同い年のフリースタイラー)に相談して、2人でHYPE MOMENTを始めました。
当初の目的はとにかく行動を起こすこと、そして普段の練習のアウトプットの場にしたいっていうのがテーマでした。あとは下の年代からカルチャーを底上げできるようなポジティブなムーブメントを起こしたいという思いも込めています。
これが第3回まで続いているっていうことに対しては、素直に嬉しいです。そうなってほしいなとは思っていましたが、HYPE MOMENTという形でなくともそれぞれの代で楽しいと思えることが実現されていればいいなという気持ちでした。
―HYPE MOMENTの魅力はどんなところにあると考えていますか?
田邉:自由にボールを蹴れて、みんなの練習の成果の発表会のような場になっているところです。バトルのコンテンツも特に勝敗をつけているわけでもなく、とにかく自由にボールが蹴れるコンテンツを作っているところが魅力的なイベントになっていると思います。
丹:Pelusaが主軸となることで、ゲスト出演とは違うメンバーの心構えが生まれる点ですね。あとは、小さめな会場で開催することで距離感が近くなることです。普段関わりのないフリースタイラーやそれ以外の他カルチャーの人たちとの繋がりができるのも魅力だと思っています。
―HYPE MOMENTを主催する経験を通して得たものや感じたものはありますか?
丹:正直、第3回を主催した際は辛かったです。会場選びから出演者キャスティング、予算管理まで全てこなさなければいけないので大変な労力が必要でした。でも、この経験を通して普段イベントを開いてくれる運営側へのリスペクトがより大きくなりました。だからこそ自分が出場する大会やイベントは最大限楽しむことで貢献するようにしています。
田邉:初めての運営は当時の大会などのスケジュール感もあってすごいタフになったんですけど、新鮮な経験ができました。人が喜んでくれたりすると辛かった状況でも達成感はあるし、自分たちでやり切ったからこそ思い出に残るイベントになったなと思います。
こういったイベントに限らず、特に学生世代は「やってみたい」「楽しそう」と思ったことはとりあえずやってみることが大事なんじゃないかなと思いました。あとはとにかくお金を払って身に来てくれる人達や他カルチャーでも快くショーケースを引き受けてくれる仲間達、こうして取り上げてくださるメディア全てに感謝したいです。いつも本当にありがとうございます。
普段の生活について
―週にどれくらいの頻度で練習していますか?
田邉:僕はフリースタイルフットボールをライフスタイルの一部と捉えていて、基本的に毎日ボールを触るように心がけています。その中で週に4~6回、2~3時間の本格的な練習をして、疲れすぎずに楽しくやることを心掛けてます。
丹:僕は固定で練習時間は決めていないです。ボールを蹴ること自体が楽しいライフスタイルなので、深くは考えていないですね。週に10回くらい蹴りに行くこともあれば、全く蹴らない時もあります。
―サークルメンバー同士で今ハマっていることや力を入れていることはありますか?
丹:メンバーで卓球にハマっています。
田邉:あとは、大学生らしくみんなで飲みに行ったりもします。今後個人的に力を入れたいのは、TikTokを活用してサークルメンバーの楽しそうな姿を共有していくことです。
フリースタイルシーンにおけるPelusaの意義
―現在の大学生シーンについて思うことはありますか?
田邉:大学生フットボーラーはたくさんいると思うんですけど、個人の力が分散しちゃってるなってイメージがあります。Pelusaみたいなコミュニティは絶対必要だと思いました。集まって活動すれば達成感につながるし、大きな一歩を踏み出せると思います。
あとは「大学生ブランド」を上手く使えてないと思います。フリースタイルのスキルを高めることに熱中してるだけじゃなくて、他の方向にもそのパワーを使えたらもっとシーンが盛り上がるだろうなって思います。
丹:Pelusa以外に名前が出てくるサークルとかが出てきたら、大学生のシーンができてくるのかなと思います。始めたばっかりだと大会で勝つのは難しいこともあるので、スキルを蓄えるだけでなく活躍できる場所を自分たちで作ってしまう方がいいと思っています。
―唯一のフリースタイルフットボール・バスケットボールのサークルとして、Pelusaがシーンに対して還元していると思うことはありますか?
田邉:Pelusaが分かりやすいコミュニティとして存在していることが大きな意義だと思います。明治大学の体育館は、OBや海外のプレイヤーも訪れる「聖地」の一つになっていて、フリースタイルを始めたばかりの人や一人では心細い人にとってハブ(プラットフォーム)みたいな役割を果たしていると思います。
丹:フットとバスケとの仲間意識が強くて、お互いのカルチャーを応援しあっていることも、シーンに対して還元できている部分だと思います。
―今後Pelusaをより良いサークルにしていくために必要だと思うことはありますか?
田邉:Pelusaは今、土台はしっかりしているけど白黒の状態で、ここからいくらでも色付けできそうな段階にあると思ってます。今後はもっと遊び方を増やすことが大事ですね。組織の堅苦しさを考えるよりも、楽しそうなことしている姿を見せることが根本にあるべきだと思います。
丹:練習場所が「聖地」となっているイメージを払拭して、もっとオープンにしたいです。サークル自体、競技自体を魅力的に伝えるやめにTikTokなどを活用したり、新しい遊び方を更新していって、自分たちのポジティブなパワーを発信していく必要があると思います。
―2人の今後の展望を教えてください。
田邉:フリースタイルフットボールをプレイしない人にも楽しさを見せたり、広めたりしていきたいというのが今後の展望です。この文化を外に向けてかっこよく見せていきたいですね。
丹:最近は勝つためだけじゃなくて、自分がただフリースタイルのことが好きで楽しむためにバトルに出るという見方に変えたらすごく楽しめるようになりました。なので今後はバトルもショーももっと楽しんでいきたいです。
―最後にこれからフリースタイルを始めようと思っている人や、Pelusaに興味を持っている人に向けたメッセージをお願いします。
田邉:フリースタイルフットボールをやったことがないけど、やってみたいっていう人はもうやっちゃった方がいいと思います。Pelusaに入ればみんな優しくて厳しいルールもないので、自分のやり方で自由に楽しめます。興味を持っている人は一度足を運んでみて欲しいです。
丹:フリースタイルフットボールは「こうあるべき」というものはなく、人生を楽しむためのコンテンツの一つだと思っています。深く考えずにボールを蹴るのが楽しいとか好きだったら自分のやり方で好きに楽しんでほしいですね。ボール一つでコミュニケーションが取れるツールでもあるし、フリースタイルを始めれば人生が豊かになります。
インタビューを終えて
フリースタイルシーンにおいて重要な役割を担う「Pelusa」を背負う2人からは、フリースタイルを競技としてだけでなくライフスタイルとして向き合っていく姿勢が見て取れた。「人生を豊かにするコンテンツ」としてのフリースタイルの在り方は、今後この文化が広まっていく中でより重要になってくる視点であるはずだ。
また、インタビューを通して2人が強調してくれたのはコミュニティの大切さである。競技としてバトルで勝つだけではない、フリースタイルフットボールの魅力が詰まったサークルであることが伝わった。
「HYPE MOMENT」をはじめ、様々なイベントでも活動するPelusa。今後も学生世代の中心となり、さらにカルチャーの輪を広げてくれる存在となることに期待したい。
The post 日本最大級のフリースタイルサークルPelusa。代表の2人が語る魅力とは。 first appeared on FINEPLAY.



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