シャクって乗せたときの衝撃度は数あるイカ釣りの中でもナンバー1ともいえる東京湾のテンヤスミイカ。

ここ数年は数がのびずに苦戦していることもあり、今シーズンは開幕当初からモンゴウイカ(標準和名カミナリイカ)狙いで出船している。



モンゴウイカはスミイカよりも大型化するのが特徴の一つで、最大は2kg級とまさにモンスターサイズ。

乗せたときの重量感もハンパなく、竿で抜き上げようものなら破損の危険性すらある。

今のところ数はいい日でトップ10杯ほどだが、平均1kg前後と5杯も釣れば十分なサイズがそろっている。

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いい日はツ抜けも狙える

サバフグ対策は必須

この釣りの天敵ともいえるのがサバフグ。

普通にエサを使っていたのではいくらあっても足りなくなってしまう。

エサを保護するカバーやエサの代わりに餌木やスッテを使うのも一手だ。

東京湾のテンヤスミイカ 不調はモンゴウイカがカバー
仕掛けの写真

東京湾のスミイカ(標準和名コウイカ)は例年10月10日ごろから始まって、翌年3月ごろまで続くのが通例だった。

ところが昨今は肝心のスミイカが釣れなくなってきたこともあり、スタートは11月に入ってからと遅れ、加えて全国的?シャコの不漁によるエサ不足などもあるのか、スミイカ乗合を出す船も少なくなってきている。

さらに追い打ちをかけるように東京湾ではサバフグが増殖中。

貴重なエサをあっという間にボロボロにされてしまう被害も頻発。

このままではスミイカ釣り自体が成立しなくなってしまうのではないかとさえ思ってしまう。

しかしテンヤのスミイカ釣りは独特の釣趣から根強いファンも多い。

このまま廃すれてしまうにはあまりに惜しい。



そんなところへ一筋の光明?

昨シーズン辺りからスミイカの不調を補うようにモンゴウイカ(カミナリイカ)を狙い始めたところ注目を集めるようになり、今シーズンは最初からモンゴウ狙いを視野に入れて出船が始まった。

東京湾のテンヤスミイカ 不調はモンゴウイカがカバー
釣行の写真

スミイカに比べ平均的に釣れる傾向にあるとか

スミイカとモンゴウイカの違い

12月1日に訪れた東京湾奥金沢八景・一之瀬丸の渡辺直人船長に聞くと、シーズン初期にスミイカを狙う中ノ瀬は今年まだ行っていないとのこと。

ちなみにスミイカ釣りは湾奥の水深10m台から始まって、季節が進むにつれてポイントが南下、水深も20~30mから40~50m、終盤には久里浜~下浦沖の水深70~90mなんて深場を狙うこともある。

対してモンゴウイカの釣り場は大貫~竹岡沖の水深20~35mほどが中心で、季節によるポイント変動や水深の変化はほとんどないという。

また、スミイカもモンゴウイカもほかのイカ類同様に寿命は約1年。

スミイカはシーズンが進むにつれ少しずつサイズアップしていく実感があるが、モンゴウイカはいきなり大型が釣れているのはなぜなのか?

こんな疑問に対して渡辺船長は産卵期が違うとかではなく、モンゴウイカのほうが成長のスピードが早いのでは?と話してくれた。

まあ生態を詳しく調べたわけではないから正解は分からないが、では釣るほうに関してはどうだろう?

モンゴウのほうがデカイから単純に衝撃度では上のような気がするが。

「合わせた瞬間はスミイカのほうがガシッときますね。モンゴウはタコを乗せたような感触で、最初はグイグイ引くこともあります」

昔はスミイカ釣りでモンゴウが交じるとなんだ~って感じもあったが、モンゴウ主体になって釣り人の客層は変わったか聞くと、それは変わらないという。

昔からのスミイカファンもいれば、新たに挑戦しにくる人もいるという。

まあテンヤをシャクって乗せられれば釣れるイカはなんでもOKということだろう。

それこそがこの釣りの魅力を示しているとも思える。

東京湾のテンヤスミイカ 不調はモンゴウイカがカバー
釣行の写真

スミイカは外套膜の縁がゴールドに輝く

東京湾のテンヤスミイカ 不調はモンゴウイカがカバー
釣行の写真

モンゴウイカは外套膜の縁が青緑色

初めてならおすすめはダウンショット

取材日に船上を見渡すと、ほとんどの人がスミイカ専用竿を使っていた。

スミイカ専用竿は全長2.4m前後で8:2の先調子。



合わせの効く張りの強い胴、シャクリやすい長めのバットなどがほかの釣りの竿とは違って特徴的だ。

専用竿以外では、テンヤタチウオ竿なども使える。

渡辺船長によると、ガチガチすぎないほうがいいとのこと。

製品にもよるが、8:2調子のMHクラスがベストか。

リールは小型の両軸でよく、道糸にはPE1.5~2号を巻いておく。

フロロカーボン4~5号のリーダーもあったほうがよく、FGノットなどのシステムが組めなければ電車結びやチチワ同士をつなげるループtoループでもいい。

仕掛けは大まかにテンヤとダウンショット(胴つき仕掛け)に大別できる。

テンヤの場合はオモリ20~25号で、テンヤの上にスッテを付けるならテンヤと被らないよう40~50cm上に15cmほどの枝スを出しておく。

ダウンショットはテンヤの代わりに25号のオモリを付けた感じの胴つき仕掛け。

ただしテンヤ仕掛けとは違って枝スを40~50cmと長くしておいたほうがいいとのこと。

またさきほども紹介したが、サバフグ対策は必須。

エサにカバーを巻いたり、エサの代わりに餌木を使ったりする。


一方、ダウンショットで使うスッテは今は購入のしやすさなどからデュエルのウルトラスッテ一択で大丈夫とのこと。

カラーはグリーンやオレンジ、ブラウン系(アジカラー)のほか赤白なども効果的とか。

そのほか仕掛けの注意点として、接続金具類はなるべく小さめのほうがいいとアドバイスしてくれた。

スッテの接続もスナップを使うのではなく、直結がベストとのこと。

なお、この釣り初めての人がチャレンジするならテンヤとダウンショットどちらがいい?と聞くと渡辺船長はダウンショットをすすめてくれた。

東京湾のテンヤスミイカ 不調はモンゴウイカがカバー
仕掛けの図

釣り方はスミイカよりも簡単

スミイカもモンゴウイカも、釣り方自体は変わらない。

加えて言えば、テンヤでもダウンショットでも、釣り方が大きく変わるということはない。

ここではテンヤを例に説明するが、仕掛けが着底したら糸フケを取り、テンヤを海底で安定させる(①ステイ)。

このときウネリによる船のアップダウンでテンヤが動かないようにするため竿はやや斜め上に構えておく。

そのままテンヤが動かないように軽く糸フケを出しながら5~10秒ほど待ったら、竿先を下げながら余分な糸フケを巻き取り、テンヤが海底から50cmほど跳ね上がるイメージでシャクリを入れる(②シャクリ)。

餌木シャクリのアオリイカと同様、スミイカ釣りもシャクリは合わせを兼ね備える。

シャクったときにガシッと抵抗があったらイカが乗った証拠、そのまま竿を立てつつリールで巻き合わせる。

アタリがなければ竿先を下げ、テンヤを再着底させる(③誘い)。



スミイカの場合はここが重要ポイントとされ、テンヤをスミイカに見せつけるように竿先にテンヤの重みを感じながらゆっくり下ろしていくことがコツになる。

対してモンゴウイカの場合はそこまでナーバスになる必要はなく、ストンと下ろしてしまっても大丈夫とのこと。

また、待ちの間隔もあまり長く待つ必要はなく、さらに船下でシャクリを繰り返すよりも、ある程度投げて手前に探ってきて頻繁に仕掛けを入れ直したほうがいいそうだ。

語弊があるかもしれないが、釣り方としてはスミイカよりもモンゴウイカのほうが簡単で、大雑把に釣っていてもチャンスはある。

釣り手のテクニックよりも、乗るかどうかはイカの機嫌次第といったところがある。

東京湾のテンヤスミイカ 不調はモンゴウイカがカバー
釣り方の図

モンゴウイカはデリケート

さて、当日は8時ごろに大貫沖の水深20m前後から釣りスタート。

開始早々に4人にヒットして3キャッチ、1バラシ。

いずれも1kg前後の良型モンゴウイカだった。

ちなみにイカが乗ると船長が速攻ダッシュでタモですくってくれるので、座席にはなるべく荷物を置いておかないようにしよう。

次の流しでは今では貴重なスミイカも1杯交じり、ポツリポツリとモンゴウイカが乗る。

ただ、見ている感じではテンヤ、ダウンショットにかかわらずスッテに乗っているほうが多い気がした。

とはいえテンヤの場合はスッテを付けるか付けないかは好みの問題。

昔からのスミイカファンはテンヤだけにこだわる人も少なくないから、確率の問題か。



開始1時間もすると右舷はほぼ全員が型を見て、左舷は半数くらい。

船長に聞くとモンゴウイカもスミイカ同様に潮先有利の傾向はあるようで、この時点では船は右舷に流れていたのがその理由のようだ。

とはいえ、それほど極端に差がつくような感じではない。

スミイカの場合は潮先の人の独壇場になりだれか一人が独走することもあるが、モンゴウイカの場合は比較的平均に釣れる傾向にあるとか。

そして開始2時間半もすると風向きが変わったのか今度は左舷でよく釣れるようになり、船中18人でオデコは残り5人。

全員型を見られるのも時間の問題か。

ところが下げ潮止まりとなった11時半ごろからピタリと釣れなくなってしまう。

時どきポツンとモンゴウが乗ってくるが続かず、後はサバフグとの戦いが続く。

このまま終わりそうな気配もしたが、13時ごろから上げ潮が効き始めたのか船中連発。

中には2kg近いビッグサイズもいて、ポンポンと連チャンする人も出始める。

船長によるとスミイカよりもモンゴウイカのほうが潮時などに敏感で、何かが気に入らないといても全く乗ってこないという。

スミイカのほうがデリケートなイメージだったが、実態は違うらしい。


それでいて、釣れるときには簡単に釣れてしまうから、なかなかにつかみどころのないイカだ。

午後3時に沖揚がりとなり、結果はトップ6杯、5杯の人が8人いたから、まさに平均的に釣れた感じ。

おそらく今シーズンのスミイカはこのままモンゴウイカが主役に居座り続けそう。

もちろんスミイカが釣れるに越したことはないが、モンゴウならではの独特の重量感をぜひ味わってほしい。

東京湾のテンヤスミイカ 不調はモンゴウイカがカバー
釣行の写真

2kgに迫る大型が当たり前のように釣れる

東京湾のテンヤスミイカ 不調はモンゴウイカがカバー
釣行の写真

当日のトップは6杯

東京湾のテンヤスミイカ 不調はモンゴウイカがカバー
釣行の写真

この日釣れたスミイカは 船中2杯。今や貴重品だ

INFORMATION

東京湾奥・金沢八景 一之瀬丸

045・782・3714

▼備考=予約乗合、スポット出船。出船状況はHPで確認

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隔週刊つり情報(2025年1月1号)※無断複製・転載禁止

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