確実に「鯛」を釣るなら一つテンヤマダイで決まり！

2025年12月27日(土)12:00

タイの中でも正真正銘のマダイを高確率で釣るチャンスがあるのは、やはり一つテンヤマダイだろう。

外房大原沖では冬場に入っても1kg前後主体の数釣りが楽しめている。

釣り場は大原沖の根周り。

12月中旬の取材日は水深20mを切る浅場でも釣れたが、今後は水深30～50mのやや深場を狙っていく。

この日は中盤まではポツポツの食いだったが潮が流れ出した後半は1kg前後が連発して一人3～9枚の好釣果。

定番の高級ゲストやハガツオなども交じって花を添えた。

「底を取り直すのではなく回収してやり直すのがアタリを出すコツです」とは外房大原港・長福丸の野口智宏船長。

「鯛好き」ならぜひ初釣りに選びたい。

大型のチャンスもある！

確実に「鯛」を釣るなら一つテンヤマダイで決まり！の画像はこちら >>

手堅くマダイを狙うならおすすめの釣りだ

根掛かり対策を

根掛かりもあるのでテンヤは多めに用意したい。

百均やネットで格安テンヤを手に入れるのもアリだが、孫バリは要チェック。

結構プアな物が使われていることがあるのでできれば交換しておきたい。

親バリはハリ先をチェックし、刺さりが悪そうならシャープナーで研いでおこう。

ハリの写真

安価な製品の孫バリは交換をすすめる

魚の王様とも称され祝い膳には欠かせないマダイ。

正月用にと釣り求めたファンも多かったのでは？

王様と呼ばれるだけあって釣りではボウズ覚悟のこともあるのだが、そんな希少性を覆すように釣れているのが外房大原沖だ。

秋口にはトップ30枚とか40枚とか、とてもマダイの釣果とは思えない数が上がっていた。

さすがに冬場に入り多少数は落ちてはきたが、それでもトップ二ケタは十分に狙えるのだから、大原沖の魚影の濃さには驚かされる。

数年前の一時期は不調が続いたが、ここ数年で魚影は復活。

かつての輝きを取り戻すどころか、それ以上の釣果にファンにも大きなインパクトを残している。

釣り方は大原発祥の一つテンヤ。

ここでは大原港長福丸からの一つテンヤマダイ釣りを紹介しよう。

今や昔となってしまったが、大原沖のマダイ釣りといえばかつてはビシマ糸を使った手釣りでのビシマ釣りだった。

かみつぶしオモリが無数に付いた糸が、のずりという船ベリの竹をこするカラカラと乾いた音を懐かしむ方も多いのでは？

古くは紀州漁師が大原に移住してきたころに遡るが、その当時から大原沖はマダイの好漁場で、多くの船が相当数の水揚げをしていたと聞く。

遊漁においての釣り方は一つテンヤに取って代わったが、好漁場は健在で大原沖の広大な瀬を広く流して好釣果を連発している。

「大原のタイは根の釣りですよ」と断言するのは長福丸でマダイ船を担当する野口智宏船長。

テンヤを底に着けたままでは根掛かり必至で、岩礁帯や海藻の生い茂る根の上を釣っているイメージだ。

まずはこれが大原沖のマダイ攻略の大前提となる。

釣り場の水深は12月中旬現在で30～50m前後。

「ほんの1週間前までは20mを切るような浅場で食っていたんですが、ここにきて水温が下がって少し魚も深場に落ちてきたようです」と船長。

年明け以降も「水温次第だけど同じような水深だと思いますよ」とのことだ。

釣り場の写真

釣り場は大原沖の水深30～50mほどで根の上が中心

テンヤは5～6号がメイン

竿は全長2.4m前後のテンヤ専用竿。

この釣りの黎明期にはシロギス竿の代用もあったが、やはり専用竿がほしいところだ。

竿のタイプは中間調子のMHタイプで事足りるが、このエリアではテンヤを浮かせた縦の釣りが基本となるため、操作性を重視したHタイプなどを好んで使う人も多い。

リールは2500～3000番クラスのスピニングリールで予算の許す限りドラグ性能に優れたものを選びたい。

ドラグ設定は1kg程度に。

分からない人は船長に見てもらい、糸を引き出してみてその感覚を覚えておこう。

また、5号前後の軽いテンヤを使うこの釣りはベイトリールでは糸がスムーズに出ていかず不向き。

ただし春の乗っ込み期で深場をメインに狙うときにはベイトタックルも活躍する。

道糸はPE0.8号が標準で、先端のリーダーにはフロロカーボン2.5号を3m結ぶ。

PEとの接続は摩擦系ノットで結ぶこと。

結びコブが大きいとガイドを通らないのでPRノット、FGノットなどがおすすめだ。

テンヤのサイズは目下のところ5～6号が標準サイズと水深の割に軽めを中心に使われている。

慣れた人なら3～4号でもよく速潮時用には8号と、3～8号を用意しておけば事足りる。

ただし底を取ってナンボの釣りでもあるから、ビギナーなら保険として10号もあると安心だ。

テンヤは色いろなカラーや形があってどれがいいのか悩むところ。

船長に聞くと、「自分は色は気にしないですね。昔からの鉛のままのヤツでもバンバン食ってきますからね。まあ、しいて言えば潮が暗いときにはグロー系がいいかな？くらいです」との答え。

それよりも大事なのは形のほうだという。

「よくテンヤは小さいほうがいいって言うでしょ？それは大きさじゃなくて軽さのことなんですよ。軽いほうがフォールするときにゆっくりなので、ストンと落ちる重いテンヤよりマダイが反応しやすいっていうことです。ただいつも軽ければいいってわけでもなくて、3号だと食わなくて5号にしたら食ったとかもあります。ようはそのときの潮の具合やタイの活性にもよると思うんです」

一口にテンヤと言っても、テンヤ型とカブラ型があって、同じ号数でも海の中では落ち方が違う。

「これもどっちがいいかはそのときの状況によってなんですが、上手な人は状況を見ながら色いろと替えて当たりテンヤを見付けていきますよ」と教えてくれた。

ちなみにテンヤ型というのは円錐の上半分を切ったような形のもの。

広い底面が落下時に抵抗となり、落下スピードは遅く、また不規則に横揺れしながら落ちていく。

一方のカブラ型というのは丸に近い形状で、比較的落下スピードは速くそのぶん速潮時にも底ダチが取りやすいという特徴がある（元もとは鉛のテンヤオモリに親バリを固定したままの状態がテンヤ、その後テンヤオモリを金づちで叩いて成形したものがカブラと呼ばれた）。

仕掛けの図

3つの基本で攻略！

「この釣りはエサ付け、タナ取り、合わせの3つが基本で、これさえしっかりできていれば、まずだれにでも釣れます。誘いなんかはその次の次くらいですよ（笑）」と船長。

①正しいエサ付け

まずはエサ付けから。冷凍エビの尾羽根をハサミで切り、孫バリを腹側の頭付近に刺す。

次に尾羽根の切り口から親バリを刺し入れ、胴体の3節目辺りでハリ先を腹側に出す。

あまり深くハリを通すとエビが曲がったままの姿勢になり、海中で回ってしまうのでNG。

エビは真っすぐになるよう装餌するのが肝心で、孫バリ、親バリともに腹側にハリ先を出すのが長福丸流だ。

「よく孫バリは頭が取れないようにって頭の殻に刺す人がいるでしょ？でもタイはエビの頭がなくたって食ってきますよ」と船長。

それよりも殻にハリを刺していると、頭が取れたときに孫バリに殻だけ付いてブラブラしてる状態となり、エサの動きがおかしくなって食わないのだという。

②タナ取り

続いてタナだが、長福丸ではまず底ダチを取ってから50cmから1m巻いてタナを取ることを推奨している。

激しい根周りのときは海面からのタナで指示が出ることもあるが、ほとんどの場合は底を取ってからが基本。

「海面からだと確かに根掛かりはしなくなるんですけど、人によって糸の太さやテンヤの号数や形が違って、同じ30m糸を出したとしてもテンヤの位置は相当変わっていると思うんですよね。それと釣れないとどうしても『どのタナ釣ってるんだろう』って疑心暗鬼になるでしょう。なので確実に一度底ダチを取るように指示してます」と船長。

③合わせ

そして3つ目は合わせ。

アタリの出方は手にコツコツときたり糸がツツッと走ったり、食い上げたりと様ざまだが、基本はアタリがあったらビシッ！と即合わせ。

エサ取りが多いとまたベラかといい加減に合わせる人がいるが、どんなアタリでもマダイだと信じてしっかり合わせることが重要だと船長。

「合わせ損なっても、あーダメだったってすぐ巻いちゃわないように。それはもったいないです。エサが残っていればまた食ってくる可能性は高いですから、ハリ掛かりしなかったときでも一度はそのままフォールさせて待ってみてください」

船長が言うところの「次の次」の誘いだが、竿を目一杯持ち上げてフリーフォールさせるリフト＆フォールが基本。

底が取りづらくなったら一度回収して入れ直すのも重要だという。

少しでも底が分からないと思ったらどんどんやり直すことがアタリを出す鍵だ。

マダイが掛かったら竿を立てて一定のペースで巻き続けること。

ドラグが出るような場合は手を止め、魚が止まったら常にテンションをかけ続けて巻き上げる。

小型は抜き上げが基本だが、1kgを超えてきたら必ずタモ入れしてもらおう。

釣り方の図

エサの写真

冷凍エサでも孫バリは腹側に出すのを船長は推奨

1kg前後のマダイが安定　水深よりも軽めのテンヤが吉

いったいどのくらいのマダイがいるのだろう？と思わせるほど、秋口から絶好調が続く大原沖の一つテンヤマダイ釣り。

さすがに冬場に入り釣果は落ちたというものの、今だトップでツ抜けは当たり前というのだから驚きで、今回は外房大原港の長福丸にお世話になった。

朝イチの釣り場は40分ほど走った大原沖。

パラシュートアンカーが打たれ船が安定すると、「いいですよー。水深は30m。着底させてからタナを取ってください。根掛かりありますから注意して」のアナウンスが出る。

大原沖では基本的に根周りというか根の上での釣りになる。

それを証明するかのようにまずはカサゴが連続して上がったがその後のアタリは遠かった。

水深は刻々と変化し、その都度船長から「32m、33m」といった具合にアナウンスが出る。

そして30分ほどしてこの日初めてのマダイが右舷のトモ寄りで上がると、それを皮切りにポツリポツリとアタリ出す。

型は400～500g級と小型が中心だが、いい場所に入るとダブルヒットなどもあった。

何度かこの付近を流し変え、順調にマダイが上がっていく。

当日の紅一点、左舷トモ2番の半田さんは1kg弱級を頭に早くも4枚と数を稼ぐも、船長としてはまだ食いっぷりに納得がいかないようだ。

「潮が流れないんでちょっと沖目に行ってみましょう」と移動を告げる。

釣行の写真

ダブルで釣れた

潮が流れ連発！

今度の場所は水深40mから開始し、徐々に深くなり最深部は50mダチまでを狙った。

10分ほど走った程度なのだが、ここでは潮が流れている。

この場所から私も竿を出した。

5号テンヤでは最初の底ダチはどうにか取れるものの、その後は吹き上がってしまい釣りづらく、8号のカブラタイプに替えた。

船長からは「糸を出し過ぎるとオマツリしますよ。糸が斜めになるようだったら頻繁にやり直してください」と指示が出る。

この場所もゲストからのスタートでまずはマハタ。

冬場に入りマハタの交じりが多くなってきて、しかも型がよいとのこと。

これもkgオーバーはありそうでうらやましいゲストだ。

続いては右舷ミヨシの常連、成田さんが竿を大きく曲げる。

これは中ダイ以上間違いなしかと思われたが、残念ながら大型のイラで苦笑の一幕。

マダイも何枚か上がったが、型、数ともに不本意ということで再度のポイント移動。

朝の場所付近も潮が流れ出したとの無線情報で、30mダチへと出戻った。

そしてこの場所で好食いタイムが訪れる。

入れ食いとはいかないが、船中どこかしらで竿が曲がる展開。

ときにはダブル、トリプルヒットもあって、船長はタモ入れで大忙し。

型もよくなって1～1.5kg級が連発した。

好食いは沖揚がりまで続いて、釣果は一人3～9枚。

竿頭は成田さんとトモ寄りの方が分け合った。

女性釣り師の半田さんも7枚と気を吐き私は4枚だった。

「途中、浮気しないで朝の場所で粘っていればもっと釣れたでしょうけどね、すいませんでした」と船長だが、なんのなんの。

船中平均して釣れたし、ゲストもカサゴ、ハタ、ハガツオなどなど、アタリも多く楽しめた一日だった。

型のほうでもこの日は1.5kg止まりだったが、ほぼ連日2～2.8kg級の中ダイも上がっており、この数日後には4.2kgの大ダイも上がった模様。

これから厳寒期に入るが、まだまだ数、型ともに期待できそうで、ホットスポット大原沖はしばらく続きそうな勢いだ。