深海のターゲットは食味のよさから近年注目を浴びており、自分で釣ってみたいという船釣り初心者も増えている。

そんな人におすすめしたいのが、300号ほどのオモリと5~8本バリ仕掛けを用いたライト系の深海釣り。



取材した相模湾小坪港の太郎丸では12月からキンメ・ムツ五目船をスタート。

釣り場は沖ノ瀬~城ケ島沖の水深300~400m前後だが、目下は沖ノ瀬の潮が速くて釣りにくいため、主に城ケ島沖を狙っている。

今シーズンは開幕して間もないが、28~40cm前後のキンメダイがトップ5枚ほど釣れている。

同船では貸し道具を完備、釣り方も船長が教えてくれるので初めてでも安心してチャレンジできる。

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▲アベレージは30cm前後

フルレンタルの利用がおすすめ

太郎丸の貸し道具は竿、電動リール、ロッドキーパー、マグネット板、オモリ(紛失時は有償)、仕掛け1組がセットで2000円。

予約時に申し込むと当日釣り座にロッドキーパーにタックルをセットし、マグネット板、氷、オモリ、タオル、オケ、バケツ、エサを用意しておいてくれる。

フルレンタルで楽しめる城ヶ島沖のキンメダイ
釣行の写真

▲船宿仕掛けは6本バリ。オモリは300号、潮が速いときは350号を使う/船で支給されるエサはサバの切り身

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▲レンタルタックルは深場竿と大型電動リールの組み合わせ/釣り座にはタックルやマグネット板などがセット済み。まさに至れり尽くせりだ

深海釣りの人気魚キンメダイは、沖釣りを始めたらいつかはチャレンジしたい憧れのターゲットの一つだが、ハードルの高さを感じるのも事実。

しかし今回取材した相模湾小坪港・太郎丸のキンメ・ムツ五目ならタックルもなければ釣り方も分からない入門者でも楽しめる。

深海のターゲットを狙う釣りとしては比較的軽量なオモリ300号前後の仕掛けを使うライトなスタイルで、「うちでは初心者大歓迎、貸し道具で楽しんでもらっています」と高橋船長が言うようにレンタルが充実しているうえ、釣り方を出船前にレクチャーしてくれるだけでなく、釣り場でも分からないことがあれば教えてくれるから初心者でも安心だ。

取材日の模様については35ページのレポートをご覧いただくとして、ここでは高橋船長に教わったタックルの使い方やエサ付け、釣り方のコツなどを紹介しよう。

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▲入門者は5~6本バリで始めよう

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▲脂が乗った白身は刺身、焼き物、煮物などどんな料理にも合う

初めてならフルレンタルを利用しよう

ライト系のキンメ釣りで使うタックルは、竿は全長2m前後、オモリ300号を背負える深海竿やキハダ対応の青物用など。

リールはPE8号の道糸を600m以上巻いた大型電動リール。



キハダタックルも流用できるが初心者や、年に一度くらいの釣行であればレンタルタックルの利用が断然おすすめ。

太郎丸では竿、リール、ロッドキーパー、マグネット板、オモリ(船宿標準300号、速潮時350号、紛失時は有償)のフルレンタルに仕掛け1組が付いて2000円。

予約時に申し込んでおけば、出船前に船長が釣り座にタックル一式をセットしておいてくれる。仕掛けは胴つき5~10本バリ。

自分が扱えるハリ数を選べばいいが、初めてなら5~6本バリの仕掛けがおすすめだ。

船宿仕掛けは初心者でも扱いやすい幹糸18号、枝ス10号、ムツバリ17号の6本バリ。

ひどいオマツリさえしなければ何回でも使い回せるので、修復不可能な状態になったら船にも用意があるので買い足せばいい。

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相模湾のキンメダイ基本仕掛け

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釣り座のセッティング例・仕掛けとオモリ・エサ

投入はミヨシから順番に合図と同時にオモリを投げる

出船前の準備は道糸側のサルカンに仕掛けを接続し、オモリを付けたら転がらないようにタオルの上に置いておく。

続いてエサのサバの切り身を付けてマグネット板に等間隔に並べていく。

釣り場に着いたら投入の準備。

船長の合図と同時に投入できなかったときは1回休みとなるため、投入に遅れないよう準備を終えておく。

まず投入時のトラブルを避けるため道糸が竿先に絡んでいないか確認し、足元に物は置かない。

次にロッドキーパーの糸止めに下から道糸を止めておく。



このほうが投入時スムーズに道糸が外れてトラブルも軽減する。

キンメ釣りは投入から巻き上げまでロッドキーパーに竿をセットしたまま行うのが基本となる。

投入はミヨシから順番に行うので、仕掛けが足に絡まらないようにマグネット板の端に立ち、オモリを持って投入の合図を待つ。

自分の番となり、船長から合図があったらオモリを軽く投げ入れる。

投入後すぐに動くと出ていく仕掛けを踏んでしまうなどのトラブルの元。

仕掛けがすべて海中に入ってから竿側へ移動し、リールのクラッチを切る。

投入直後はスプールを指で軽く押さえておき(サミング)、道糸がスムーズに出るようになったら指を放す。

全員の投入が終わると船長から水深がアナウンスされるので覚えておく。

実際の水深より道糸が出るので、リールのカウンターを見てアナウンスされた水深になったら再びサミングしながら竿先や海面を注視。

竿先が持ち上がったり、道糸の出が止まったら着底だ。

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便利アイテム

タナは底上5m指示があるまで巻かない

仕掛けが着底したら糸フケを取り、まずは底ダチを取る。

道糸が立ったら糸のマーカーを目印に5m巻き上げてアタリを待つ。

船長から指示があるのは、水深が浅くなったり、深みへ落ちていったりする急な崖のような場所を探るときで、浅くなるときは「だんだん浅くなります。

10m巻いてください」というアナウンスがあるので、底ダチを取り10m巻き上げる。

逆に深くなるときは「だんだん深くなります。2分に1回くらいタナを取り直してください」というアナウンスがある。

竿先を注視していると、小刻みにたたかれることがあるが、それがアタリ。

ただし船長から指示がない限り仕掛けを動かさずそのまま追い食いを待つ。

巻き上げは片舷ずつ行い、「右(左)舷の方から巻き上げてください。(しばらくしてから)続いて左(右)舷の方も巻き上げてください」といった具合に指示がある。

巻き上げ時のオマツリを防ぐため、魚が掛かっていてもいなくても中速で巻き上げる。

レンタルタックルの場合はあらかじめ巻き上げ速度がセットされているので、電動リールの巻き上げボタンを押すだけでOKだ。

巻き上げの時間を利用して、取り込み時にケガを防ぐための指サックをはめて、取り込んだ魚を入れる海水をくんだタルを足元に準備。

このタルは取り込みが終わったら再投入の邪魔にならない位置に移動する。

取り込みは、巻き上げが止まったら竿を立て、道糸をつかんでロッドキーパーの糸止めに掛けてから仕掛けをたぐる。


ハリはマグネット板の竿側から順番に並べていくが、1本回収するごとに一歩ずつトモ側へ移動し、仕掛けを絡ませないようにする。

キンメは取り込み時のハリ外れも多いので掛かっていたら船長がタモでサポートしてくれる。

取り込んだ魚は足元などに置くと暴れて仕掛けが絡まるので、先ほど用意したタルにいったん入れておき、オモリまで回収したあとにハリを外す。

取り込んだ仕掛けがヨレていたら、いったんオモリから仕掛けを海に下ろし直して、枝スのヨリを取りながら再び回収し、マグネット板にハリを並べていく。

このときは慌てずにゆっくりやればいい。

潮回り中にエサを付けて次の投入に備えよう。

フルレンタルで楽しめる城ヶ島沖のキンメダイ
キンメダイの釣り方例

フルレンタルでチャレンジキンメの多点掛けも夢じゃない

乗船した12月12日は私を含めて6名が集まり、左舷に並ぶ。

レンタルタックルがセットされているトモ2番に入る。

当日は4名がレンタルタックルでのチャレンジ。

出船前に船長から釣り方のレクチャーを受けて6時半に出船。

「近場からやっていきます」と船長からアナウンスがあり30分ほどで城ケ島沖のポイントに到着。

まずはクロムツ(ムツ)を狙うとのこと。

投入はミヨシから順番に行う。

私は5番目。

投入に失敗すると1回休みになるので、オモリを持って投入の合図を待つ間はいつも緊張する。

自分の番となり、「どうぞ!」の合図で300号オモリを軽く投げ入れる。

6本バリ仕掛けがスムーズに海中に沈んでいき、ひと安心していると、「水深200mです。着底したら5m上げてください」とアナウンスが出る。

次にクリアしなければならないのが着底の確認だ。

この釣りは着底が分からなければ始まらない。

比較的浅かったので着底も分かり今度こそひと安心。

底ダチを取り5m巻き上げるとすぐに竿先がたたかれた。

しばらくして船長から巻き上げの指示。

周りを見るとほとんどの方にアタリがあった様子。

やがて巻き上げが終わり、仕掛けをたぐると黒い魚影。


なんとクロムツが3尾も掛かっていた。

右隣の目黒さんもクロムツを取り込んでいる。

しかもうらやましい4点掛けだ。

「初めて訪れる船宿だったので不安だったのですが、道具もすべて借りられて、船長が親切ていねいに教えてくれるのでありがたいですね」と釣り上げた魚をうれしそうに見つめている。

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釣行の写真

▲クロムツ(ムツ)の4点掛け

いきなりクライマックス

8時半、キンメ狙いで城ケ島沖の深場へ移動。再開した1投目は水深400mを狙う。

これまで何度か投入しているので投入から着底の確認までスムーズにできるようになる。

底ダチを取り、5m巻いて竿先を注視していると、小刻みにたたかれた。

「アタってるよ」と船長に言われて期待が高まる。

私のほかにもアタっている方がいて、「少しずつ浅くなります。アタっている方は巻いてください。アタリがない方は10m上げて待ってください」とアナウンスがあり私は巻き上げ開始。

目黒さんと彼の友人である広瀬さんも隣で巻き上げ始める。

やがて80mまで巻き上げたところで竿が強くたたかれる。

大きなキンメかそれとも多点掛けか、とにかくバレずに上がってきてほしいと願うばかり。

巻き上がった仕掛けをたぐると赤い魚影を確認。

海水をくんだタルに取り込んだキンメを入れて、さらにたぐるともう一枚で2枚掛け。

広瀬さんは3枚掛け、そして目黒さんは4枚掛けを披露。

次の流しで私は2枚、広瀬さんは1枚を追加し、3人とも4枚で並ぶ。

さあこれからと思っていたが、このあと釣れたのはユメカサゴやギンメダイばかり。

アタリが遠くなりポイントを転々とするが、再びキンメの顔を見ることなく13時の沖揚がりを迎えた。

釣果は28~35cmのキンメダイがトップ4枚、28~38cmのクロムツがトップ6尾。

レンタルタックルを使い、船長に教わったとおりに釣れば初挑戦でもきっと憧れのキンメを手にすることができるはず。

さあ、次はアナタの番ですよ。

船宿INFORMATION

相模湾小坪港

太郎丸

0467・22・7662

備考=予約乗合、6時集合、6時半出船。

五目&アマダイへも出船

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隔週刊つり情報(2025年1月15号)※無断複製・転載禁止

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