ヨッシーこと吉岡進がルアー釣りを中心に色いろな釣り物を狙い、毎回釣りの楽しさを伝えていく当連載「Enjoy Every Fishing(略してE2F)」。
第11回はヨッシーが得意とする東京湾のシーバスジギング。
東京湾に点在する建造物周り(ストラクチャー)で40~50cm前後のシーバスを主体に60~70cm級交じりでトップ30~50本という釣れっぷり。
1月下旬に釣行したのはルアーシーバス乗合で出船している東京湾奥川崎つり幸。
水野聡船長が向かったのは東京湾アクアラインの橋脚周りの水深20m前後。
橋脚の際を狙いヨッシーは45cm級のシーバスを釣り上げる。
船内でもポツポツ釣れるものの長くは続かず、その後はアタリが遠のき風の塔や羽田沖などを転々とするが、潮が動いていないためか、魚探に反応があってもシーバスが口を使ってくれない。
午後になり上げ潮が動くタイミングに合わせて再び風の塔の水深25m前後へ移動。
開始の合図とともにアンダーハンドキャストでストラクチャーの際を狙う。
シーバスが掛かると捕食スイッチが入ったようでダブル、トリプルヒットと盛り上がり、巻き上げでもフォールでもなんでも食ってくるフィーバータイムに突入し、大満足の一日となった。
新色のジグを携えてシーバス釣りを心ゆくまで堪能したヨッシー。
詳しくはこのあと。
アベレージは40~50cm級
シーバスジギングの釣り方
底から水深の半分ほど巻き上げてジグを追わせてフォールさせると、ジグがヒラッと落ちたときに食ってくる。
巻きで誘うときは巻き上げ速度を早くしたり遅くしたりして変化を付けよう。
フォールと巻き上げ
シーバスはいいヤツだ。
なんと言っても性格が陽気である。
裏表がなく、ハッキリしている。
分かりやすくて、さみしがり屋で、かわいいところがある。
しかも力強くてカッコよく、申し訳ないが食べてもおいしい。
「いい友だちになれそうな魚ランキング」で10年連続第1位に輝き続けているのも分かる。
もちろん、そんなランキングはどこにもない。
でも、青春時代の男子的な、なんとも言えない憎めなさというか、バカッぽさというか、チャーミングな魚なのである。
東京湾にどれだけのシーバスが生息しているか分からないが、農林水産省「海面漁業生産統計調査」によると、2021年のシーバス(スズキ)漁獲高日本一は千葉県で、1495t。
2位の兵庫県は678tだから、ブッチギリのトップ独走である。
東京湾を圧倒的大多数のシーバスが泳いでいることは間違いない。
最近は減少傾向が懸念されているものの、釣り人を喜ばせてくれるには十分すぎるほどのストック量である。
東京湾・冬の風物詩としてシーバスジギングが人気の釣り物なのも納得できる。
何しろ、よく釣れるのだ。
しかも陽気なマブダチ的な存在感。
1月24日、東京湾奥川崎・つり幸のシーバスジギング船は片舷12名が並び、その中には、われらがE2F取材班ーーヨッシーことジャッカル・プロスタッフの吉岡進さんを筆頭にした4名が潜入していた。
いや、潜入ってこともなく、普通に乗船していたのだが、彼らの面持ちは割と真剣だった。
「シーバスなめるな」が、彼らの合い言葉なのだ。
シーバスジギングはイージー タックルもルアーもシンプル
シーバスは陽気なマブダチだが、だからと言ってなめてはいけない。
あらゆる魚と同様にシーバスだって釣れるとき、釣れないときがある。
冒頭の「シーバス推し」文章の中でも軽く触れたが、シーバスはハッキリしているのだ。
釣りとしてのシーバスジギングそのものは、非常にイージーだ。
まず、タックルからしてシンプルである。
使うルアーは金属製のメタルジグだ。
この時期は60gを主体に80gぐらいまでを用意しておきたい。
最近のルアーフィッシングはタングステン製が大流行している。
レアメタルだけあって、ひとつ3000円も珍しくない。
タングステンは比重が高く、同じ重さなら鉛製よりずっとコンパクトになるため好まれているが、シーバスは陽気なマブダチだ。
そこまでのシビアさは求められないので、鉛製ジグで十分に通用する。
フォール性能を重視した専用ジグも多く販売されていて、ジャッカルならシーバスアンチョビメタルが東京湾のテッパンだ。
鉛製のため、60gで定価924円と、タングステン製に比べると3分の1近いリーズナブルさである。
「シーバスは意外とセレクティブ。その日によって反応のいいカラーが違うので、色いろそろえておくといいよ」とヨッシー。
お手ごろ価格のジグなら、色んなカラーを用意しやすいというメリットがある。
タックルもシンプルだ。
まずリールだが、シーバスはジグが落ちていく(フォール)途中で食ってくることが多いので、ベイトリールを使うのが基本だ。
1.5号のPEラインを200m巻けるものならなんでもOKだ。
ロッドも、なんでもいい……と言ってしまいたい。
全長1.8~2m前後で取り回しがよく、80g(オモリにして20号前後)のジグを背負える竿なら、ライトゲームロッドからシロギス竿まで幅広く使える。
つまり、船釣りを嗜む人ならたいていは家にあるタックルで始められるのが、シーバスジギングなのだ。
#Enjoy Every Fishing Tackle guide
シーバスジギングタックル
「ジグを落として巻く」を繰り返す釣りなのでベイトタックルが基本。
竿をさほど選ばないのがシーバスジギングのいいところで長さは1.8m前後、60g前後のジグを背負えればなんでもOK。
専用ロッドもあるがヨッシーはSLJ(スーパーライトジギング)ロッドをチョイス。
釣り方は簡単、ジグを落として着底したら巻き上げるだけ
E2F取材班でライターのタカハシゴーは、「永遠の初心者」として知られる。
いくら船に乗っても一向に上達しないのは、すぐに釣り方を忘れてしまうからだ。
そんな彼でも、シーバスジギングだけは確信に満ち、堂々とした空気感さえ漂わせながら実釣に臨む。
「基本はジグを落として着底したら巻き上げるだけ。簡単だもん、さすがにゴーさんでも覚えられるよね」とヨッシー。
6時50分に港を離れたつり幸の船は、30分ほどして釣りが開始された。
東京湾ではおなじみのストラクチャー狙いだ。
水深は23m。
開始してしばらくは、あまりアタリが出なかった。
顔を見合わせるE2F取材班だが、タカハシゴーの表情にすら焦りは見られない。
「絶対釣れるさ」とうそぶくタカハシゴー。
「絶対釣れるよ」とヨッシーが調子を合わせる。
ほどなくして、船内のあちこちで竿が曲がった。
シーバスが元気な姿を見せる。
海面を割ってジャンプする。
つくづく、威勢のいい陽気な魚だ。
ヨッシーを始め、イチロウこと鹿島一郎さん、トモキこと板倉友基さん、そしてタカハシゴーで構成されるE2F取材班も、瞬く間に1本目を釣り上げる。
そう、「永遠の初心者」タカハシゴーですら、である。
「シーバスジギングは、みんなの共同作業なんだよ」とヨッシーが言った。
「開始してほんのちょっとの間は、船中だれにもアタリが出なかったよね。
お祭り騒ぎが大好きなシーバス。
だれかのテンションが上がると、もう我慢できない。
だからこそ全員でジグを落とし続け、お祭り開始のチャンスを増やす。
みんなで太鼓をたたき続け、場を温めるのだ。
……とは言っても、シーバスはハッキリしている。
食いが立つとワーイワーイとジグを追い回すものの、食わないとなったらパッタリと食わなくなる。
活性が下がったとみるや、船長はパッと見切りをつけ、次のポイントへと舳先を向ける。
リズミカルで飽きがこない釣りだ。
次のポイントでは、10分ほどたってシーバスたちが顔を出さないと、「はい、上げてください」とアナウンスが飛ぶ。
お祭りの気配を探して、移動を繰り返す。
そしてその場をどうにか温めようとする。
シーバスジギングのアングラーは旅芸人である。
1本釣れてひと安心
決して難しい釣りではないがめちゃくちゃ簡単でもない
1997年に完成した東京湾アクアラインは、房総半島の活性を高めると同時に多くの魚たちを呼び寄せる魚礁にもなっている。
橋脚を始めとする様ざまな建造物は物陰が大好きなシーバスの溜まり場だ。
「ここなら絶対お祭りが起こるはず」と思わせる魅惑のステージだが、そうは問屋が卸さない。
アクアラインの橋脚周りを攻めても、なんと船中ノーバイトという事態も起きた。
「これがシーバスの面白いところだよ」とヨッシーは笑う。
「シーバスなめるなってことですよね」と、イチロウとトモキが賛同する。
すでにクーラーの中には数本のシーバスが収まっているから、気持ちには余裕がある。
だが、もう少しシーバスの引きを味わいたいのが本音だ。
「どうやら今日はシーバスの群れが小さいみたいだね」とヨッシー。
「小さい群れが、比較的速いスピードで回遊しているイメージ。ちょうどいいタイミングでジグが落ちてくるとワーッと食いついてくるけど、長く続かないのはすぐに群れが抜けちゃうからだろうね。あんまり食い気は高くないみたいで、ジグを選んで食ってきてる。ガチでお食事しているというよりは、ちょっとつまみ食いしてる感じかな」
さすがのシーバスと言えども、のべつまくなし「祭りだ、祭りだ!」とどんちゃん騒ぎしているのではないのだ。
つまり、ムラはある。
釣れるポイント、釣れないポイントもある。
シーバスジギングは決して難しい釣りではないが、かといってめちゃくちゃ簡単なわけでもない。
そのサジ加減が絶妙だから、ビギナーからベテランまで多くのファンを惹きつけている。
我われのほうこそ、シーバスに釣られているのだ。
ヨッシーが繰り返す。
「鉛製の高くないジグでいいから、色んな重さ、色んな形、そして色んなカラーを持ってきておくといいよ」
シーバスの活性が低いときは波動の弱いバンブルズジグTG SLJ60gのタダ巻きで食わせた
風の塔で一大フェスティバル!入れ食いモードでシーバス爆釣
お祭り騒ぎになったときは、だれが何をやっても釣れるのがシーバスジギングだ。
ほぼ全員の竿が同時にブチ曲がり、カツオの一本釣り漁船さながらの勇壮さを見せる場面も少なくない。
しかし、「陽気なお祭り野郎」であるシーバスに勝ったと思えるのは、他の人があまり釣れていないときに釣ることである。
それをカッコよく成し遂げていたのが、トモのヨッシーとミヨシのお客さんだった。
二人に共通していたのは、釣り方を適宜変えていたことだ。
「落として巻くだけ」という超イージーな所作の中に、タダ巻き(速)、タダ巻き(遅)、早巻きからの止め、遅巻きからの止めなど、様ざまな工夫を織り込んでいる。
そしてシーンと静まり返ったシーバスにどうにか口を使わせるのだ。
トモのヨッシーとミヨシのお客さんは細かいテクニックを駆使しながら拾い釣りをし、ほかのアングラーたちを引き離していく。
「落として巻くだけ」という単純な作業だけについ単調になりがちだが、そこにどれだけ創意工夫を凝らせるかが大事なポイントなのだ。
「もともとよく釣れるシーバスジギングだけど、工夫がバチッとハマるともっと釣れるようになるんだよ」
静まった船中にドタバタとシーバスが暴れる音を響かせながら、ややドヤ顔のヨッシー。
釣れないときに釣る姿は悔しいが、カッコいい。
アクアラインの橋脚周りから羽田沖、そして再びアクアライン付近に戻ったころには、上げ潮が効き始めていた。
風の塔で、一大フェスティバルが始まった。
「キタ!」
「ほい食った!」
「こっちも!」
E2F取材班はもちろん、船中の全員がシーバスの引きを堪能している。
こうなるともう大騒ぎだ。
隣合ったお客さん同士がタモ入れを手伝うという、気持ちのいいシーンが連発する。
ヨッシーやミヨシのお客さんのカッコよさを忘れて、全員が主人公になっている。
「じゃ、揚がりましょうか」
お祭りは突然始まり、突然終わる。
時計を見れば14時。
沖揚がりの時間だ。
爽やかな充実感と満タンのクーラーを乗せて、船は港に戻る。
ミヨシの突き出しで釣りトップ33本
風の塔では巻き上げでもフォールでもよく釣れた
終盤にシーバスの捕食スイッチが入り、このサイズが連発
タダ巻きで50cm前後が連発
船宿インフォメーション
東京湾奥川崎 つり幸
044・266・3189
▼備考=予約乗合、6時50分出船
川崎駅から約3kmで電車でもアクセスがいい(送迎あり)。
シーバス船の舵を握る水野船長は、こまめなポイント移動でテンポよく釣りが楽しめる。
アナウンスでていねいにタナや釣り方などを教えてくれるからビギナーでも安心して釣りができる。
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隔週刊つり情報(2024年3月1号)※無断複製・転載禁止



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