レビュー
「利益の95%は価格戦略で決まる!」本書を手に取るときに、オビのキャッチコピーが真っ先に目に入る。著者である小川氏は普段は大学院でブランド戦略やマーケティング理論を教えている専門家で、これまでにも多数の書籍を執筆している。
普段買い物をする時に、値段を見ないことはほぼないだろう。もちろん最終的な購入はその商品の質や他の商品との比較、自身の気分など様々な要素が絡み合って決定することになるが、価格は何よりも重要だ。お客がつい手を伸ばしてしまうような価格設定こそがマーケティングや店舗担当者の腕の見せ所であり、企業の業績をも左右する。本書では様々な企業の事例を紹介しながら価格戦略の極意を丁寧に説明している。本書を読めば、世の中の商品がなぜこの値段で売られているのか理解が深まり、自社の戦略に活かす応用力が培われるに違いない。
また、最近はメルカリのようなフリマアプリなどの流行により、誰でも簡単に物を売ることができる時代だ。いくらで出品すれば自分の利益を最大化できるのか、理論を意識して決めてみることで、少しずつビジネスのセンスも養われていくのではないだろうか。
本書の要点
・競争力の高いユニクロなどの企業では、まず消費者にとって「値ごろ感」のある価格を決め、それでも利益が出るように原価を逆算し、その範囲内で商品を作っている。
・販売をあえて限定することで購買までのハードルを高め、消費者に商品を手に入れたいという欲求を増大させる戦略もある。企業には、複雑な消費者心理を巧みに刺激することが求められる。
・企業は値引きやおまけなど様々な販促戦略を打ち出すが、「即時型」「延期型」のように効果の違いを理解した上で、複数の手法を組み合わせながら最適な戦略を打つ必要がある。
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