レビュー

ネットフリックスの創業者にして初代CEOのマーク・ランドルフによる回想録が登場した。マークがネットフリックスのアイデアにたどり着いてからサービスを開始し、株式公開を果たして同社を去るまでの約6年間を扱っている。

そこには「世界を変えた男」の激動のドラマがあった。
いまやサブスクリプションのビジネスモデルで覇者といえるネットフリックス。しかし、1990年代半ばの時点では、マークは、アマゾンの成功に触発されてeコマースのアイデアを探していた、おそらく数千人のひとりにすぎなかった。ではなぜマークは成功したのか。ひとつは、現CEOであるリード・ヘイスティングスとの出会いである。もうひとつは、著者がスタートアップ創業期と抜群に相性がよかったことである。
本書は「これがクライマックスか」と思われる場面の連続だ。まずアマゾンによる買収、ブロックバスターへの身売りを巡るやりとりがある。ついで、CEOの座をめぐる実に人間臭い、しかし決して陰湿ではないドラマがある。もちろんチームの友情もある。さまざまな画期的なビジネスモデルが生まれてきた背景とプロセスも実に興味深い。
本書のキーフレーズをふたつ紹介しよう。
ひとつは本書の原題にもなっている“That will never work”(それ、絶対うまくいかないわ)。そしてもうひとつは“Nobody knows anything”(先のことは誰にもわからない)である。これを念頭において、極上のビジネス・エンターテインメントを楽しんでいただきたい。

本書の要点

・マークとリードは、数々のアイデア出しと試行錯誤を経て、DVDを郵送でレンタルするというアイデアにたどり着き、マーケットを開拓していった。
・ドットコムバブル崩壊という逆風と、レイオフという痛みを乗り越え、サブスクリプション、マッチングサービス、翌日配送という独自のビジネスモデルを構築し、株式公開にこぎつけた。
・ネットフリックスでは立ち上げのときから、「徹底的な正直さ、自由と責任」という企業文化が生まれ、規模が拡大した後も、その文化が維持されている。



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