レビュー

東京・吉祥寺に日本製の時計メーカーKnotがあることをご存知だろうか。本書は、Knotの社長である遠藤弘満氏が時計と出会い、Knotを軌道に乗せるまでの軌跡を、ジャーナリストである著者が描いたものである。


会社員の時代から外国産の時計を扱っていた遠藤氏は、順風満帆のようで度重なる「裏切り」に苦しめられてきた。会社をともに立ち上げた先輩に主力商品を奪われる。順調に進んでいた仕入れ先ブランドは急に消失する。オーナーからの一方的な通告で社長を解任される。無職になりどん底まで落ち込みながらも、仕事への、そして時計というアイテムへの熱意を失わなかった。ついには、日本製の時計ブランドの立ち上げを決意するに至る。
現在Knotは、海外含め17店舗を展開し、若者を中心に大きな支持を集めている。手軽で低価格ながら高品質でファッション性にすぐれた時計を身につけられるブランドとしてブームを作りだし、年商は20億円にも迫る勢いだ。その舞台裏には、日本の伝統工芸を守り継ぎたいと願う遠藤氏と、彼を支える家族、仲間たちとの熱く、ときには悲しいドラマがあった。ひとつの時計ブランドが生まれ、育っていくなかでの筆舌に尽くしがたい展開は、まさに「事実は小説より奇なり」という言葉が似合うほどにドラマチックである。
仕事への熱意を失いがちな人、日本の産業を盛り上げたいと考えている人、そしてもちろん、Knotの時計を愛するすべての人におすすめしたい一冊である。

本書の要点

・同僚との仲違い、契約していた海外ブランドの消失、社長解任と、遠藤には数多くの困難と挫折があった。

その経験から、遠藤は日本製の時計ブランドの立ち上げを決意する。
・創業後も、生産ラインの確立や下請け会社との確執、日本の伝統産業への働きかけなど、Knotには数多の試練が訪れる。
・課題のひとつひとつに向き合い、Knotは順調に会社として成長していく。日本のものづくりを若者に、ひいては国外に、と願う遠藤の挑戦はこれからも続いていく。



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