レビュー

「お、ねだん以上。ニトリ」のキャッチコピーで知られるニトリは、国内外合わせて600を超える店舗を持つ国内のインテリア小売の大手企業で、中国や台湾、米国にも展開している。

ユニクロなどと同じ製造小売業(SPA)の経営スタイルだが、家具業界では珍しい。そのニトリは、本書の著者である似鳥昭雄氏が一代で築き上げた。この本には、創業者である似鳥氏の仕事への考え方、向き合い方、ロマンやビジョンなどがまとめられている。
1967年、30坪の家具店から始まったニトリは、「住まいの豊かさを世界の人々に提供する」という企業理念=ロマンを指針としている。ロマンとはいったい何か。それは決して絵空事ではなく、生涯をかけて追い続ける価値のあるものである。本書を最後まで読み進めると、似鳥昭雄氏がいかにそのロマンを大事にしているか、また、そのロマンがどれほど社員1人ひとりにまで行き届いているかがわかるはずだ。そのロマンを実現させるためのステップとしてビジョンが掲げられる。このビジョンの捉え方にもニトリならではのこだわりがあり、ニトリらしさの表れとなっている。
ニトリは、変化、挑戦、競争、対話(英語の頭文字をとって4C)を大切にしている。それぞれの章で、似鳥昭雄氏の考え方を知ることができると同時に、ニトリの社内風土をもつかめるだろう。その言葉の1つひとつは、これから長い社会人人生を送る若い方にも参考となるものが多い。
ルーキー、ベテラン問わず、多くのビジネスパーソンに手に取っていただきたい1冊だ。

本書の要点

・「住まいの豊かさを世界の人々に提供する」というニトリのロマン=企業理念は、同時に会社の存在意義でもある。
・個人も企業も、進化し続けるためには過去と現在を否定することが大事だ。「観察・分析・判断」を意識して業務に当たり、「現場・現物・現実」を徹底する。
・変化のスピードが激しい現代では、即断・即決・即行が必要だ。顧客視点で経営すれば利益は自然とついてくる。
・人が成長するために必要なことは、一歩先を意識して仕事をすること、良いものは素直に採り入れること、短所を克服するより長所を伸ばすことだ。



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