レビュー
「知的生産」と聞いて読者のみなさまは何を思い浮かべるだろうか。知的生産とは、頭を働かせ、新しい情報をつくりだすことだという。
著者の梅棹忠夫氏は、フィールドワークを基礎に文化人類学で多大な成果を挙げた研究者である。1963年の時点で『情報産業論』を著し、世界でもいち早く情報産業に注目していた。1969年にかかれた本書にもその示唆が含まれており、さすがの慧眼といえる。
本書は時代を超えた普遍的な知的生産技術の書であると同時に、その技術を議論するための土台でもある。時を経てさまざまな人が梅棹氏の提唱した技術をもとに、知的生産の方法を磨き上げていった。その内容は現代においても、いやむしろ情報化の進展した現代だからこそ、改めて見直す価値がある。
梅棹氏はまえがきで次のように、未来への期待をかいている。「今後たくさんの人たちの手によって、知的生産のさまざまな技術が開発され、その体系化もすすめられるようになるだろう。その日を期待している」
本書の読書体験が自身の力で知的生産の技術を開拓していくきっかけになることはまちがいないだろう。
本書の要点
・手帳やノートを活用している人は多いが、情報はあとから利用できるかたちになっていることが重要だ。
・知的生産で大事なのは、思ったものがすぐに取り出せる状態を保つ「整理」である。
・ものごとを客観的な既存の枠組みで分類すると、新しい発想が出てこなくなる。あくまで自分にとっての文脈で情報を組みかえていくことが知的な生産につながっていく。
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