レビュー
日本人は非常にまじめで、きっちり仕事をする人々だと評されることが多いものだ。確かに街は清潔で、電車は時間どおり走り、お店にはキズひとつない商品が整然と並んでいる。
精神科医である著者によると、そのような人たちのなかには「発達障害」の傾向がある人も多い。自閉スペクトラム症や注意欠如・多動症、学習障害といった診断名がつくのは、発達障害の特性を持つ人の一部にすぎないそうだ。
本書は発達障害の特性のあり・なしに関わらず、「周りの人と同じようにできない・社交的にできない」と悩む人たちに向けて書かれた本だ。その要点を短く表現するならば、「周りの人と同じようにできなくてもいい。苦手なことはやらないと決めて心身の負担を軽くし、ラクに生きよう」である。
たとえば著者は、飲み会が苦手な人に向けて、参加しなければ仕事で不利になりかねない飲み会だけを選べばいいとアドバイスする。同様に、相手の顔色が気になりすぎてしまう人には、顔色ではなく相手の話に集中することをすすめている。
キッチリやることが得意な人もいれば、そうでない人もいて当然だ。やさしい文章で書かれた本書を読めば、がんばる自分をやさしく肯定してあげられるだろう。
本書の要点
・生きづらさを感じている人は、ただ他人の目を気にしすぎているだけかもしれない。
・「しなくていいこと」を増やしていくと、「本当にやりたいこと」に注力できるようになり、人生がラクに楽しくなっていく。
・対人関係の悩みを解決するためのポイントは、「協調性」より「ルール」を優先することだ。社会のルールから大きく逸脱しなければ、自分の生きやすいスタイルを選んでかまわない。
フライヤーでは、話題のビジネス・リベラルアーツの書籍を中心に毎日1冊、10分で読める要約を提供(年間365冊)しています。既に2,100タイトル以上の要約を公開中です。exciteニュースでは、「要約」の前の「レビュー」部分を掲載しています。