レビュー

あなたのまわりに、気が滅入るほど複雑で改善の道筋が見えない課題はあるだろうか。それらはいったいどうすれば解決できるのか――? 変化の糸口はすでに組織の中に存在しているかもしれない。

同様に困難な状況にありながらその課題を解決した例外的なケースはないだろうか? この「ポジティブな逸脱者」を見つけることが解決の突破口になりうるというのだ。
著者らは、複雑で解決困難な課題の数々を、ポジティブデビアンス(PD)というアプローチによって改善してきた。たとえば世界中の飢餓をはじめ、製薬会社の業績不振、難民キャンプでの元子ども兵士の心理的回復などだ。
ベストプラクティスは外部の成功例をもとにするのに対し、PDは成功事例を同じ組織内で見つけようとする。PDの方法論は、一見インパクトが小さいように思えるかもしれない。だが、トップダウンによる抜本的な改革とは違って、長期的には、経営方針の転換といった環境の変化に左右されず、継続的な改善の可能性を秘めている。
本書に登場するPDアプローチが解決してきた数々の事例には、目を見開かされることだろう。目次をめくり、興味のある事例から読み始めてみてほしい。しかもビジネス視点の訳者解説が、その応用範囲の広さと奥行きを示してくれる。SDGs時代の「問題解決のバイブル」として本書を携え、より良い未来への一歩を踏み出していただきたい。

本書の要点

・ポジティブデビアンスのアプローチは、解決不可能に思われる課題に対して、成功した例外、すなわち「ポジティブな逸脱者」に焦点を合わせ、問題解決につなげる。これは、コミュニティの中に問題をすでに解決している人が少なくとも1人はいるという前提のもとで成立する。


・ポジティブデビアンスでは、コミュニティが自らの解を「発見」するプロセスが欠かせない。
・WhatからHowへのリフレーミングの中で、PDを特定し、それを普及させていくという現場での自律的学習がPDプロセスの本質といえる。



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