レビュー

人生には楽しいことも苦しいこともある。楽しいと思っていたことが苦しくなったり、苦しいと思っていたことが楽しくなったりするのもよくある話だ。

多くの人は、苦しいことばかりが続くと「なぜ私の人生には楽しいことが起こらないんだろう?」とあらゆることを試す。それでもうまくいかないと「私は人生というゲームの敗者だ」と落ち込んでは開き直って、自暴自棄な行動に出たりもする。
しかし、そもそも人生とはゲームなのだろうか? もしゲームだとしたら勝ち負けや、「あがり」とは何なのだろうか?
本書で著者は、「ゲーム」という、わかっているようで曖昧な概念を出発点に「哲学」する。それは高名な哲学者の思考をなぞることでも、抽象的な理論を組み立てることでもない。「人生」「料理」「宗教」「恋愛」とさまざまなものを「ゲームか?」と問うことで、ゲームという概念をどんどんクリアにしていく。その結果から、「さて、人生とはどのようなものか」を考えていく。
結論を言ってしまえば、「人生はゲームではない」。しかしこの結論にさしたる意味はない。なぜゲームではないのか、その理由が大事だ。
ゲームでないなら人生とは「何である」のか、あるいは「何ではない」のか。そのような疑問にひとつひとつ向き合うことこそ、「哲学する」ということであり、自分だけの人生を生き抜くための一歩である。この本は、それをともに歩んでくれる一冊だ。

本書の要点

・「人生はゲームなのか?」という問いは、「人それぞれ」で終わらせるわけにはいかない。本当かどうかわからない、ふわふわしたものに振り回されるのは困るからだ。
・「ゲームとは何か?」を考えると「人生はゲームではない」という結論になる。この結論に抱くモヤモヤを突き詰めていくと、より厳密な「ゲーム」と「人生」の要件がわかってくる。
・人生のルールはどれも揺れ動いており、ゲームのルールのようにハッキリとしていない。これが、「人生は非常に掴まえづらい」理由である。



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